目次
[POINT2] 防水透湿性はもはやマスト!
外側だけではなく内側からの水分排出も重要だと知ろう
“ゴアテックス”という単語を見たことがない人はほとんどいないだろう。じつはこれ、もっとも有名な防水透湿性素材。“もっとも有名”と書いたのは、それ以外にも防水透湿性素材がたくさんあるからだ。
この防水透湿とは何ぞや? 読んで字のごとく、外は防水しつつ内側からの湿気は素材を透過させて外に逃がすというモノ。いわゆるベンチレーション機能を素材単位で行なうようなものである。
ビニール系素材を使うレインウエアは、ビニール素材の表地にメッシュ素材の裏地を合わせているモノが多い。ビニールもメッシュも防水性は高いものの、伸縮性が乏しい上に蒸れやすく、長時間使用していると内側が湿気でベト付いて、肌に張り付いたりしやすい。張り付くだけならともかく、蒸れると汗を誘発させ、その汗が体を冷やす原因にもなる。その問題を解決するのが防水透湿系素材である。
仕組みはじつは非常にシンブルで、生地の表面は水が入らない約0.1~5μmほどの、ごく小さな穴が開けられている。その穴は水より小さい水蒸気なら出入り自由。それまでは穴をふさいで防水性を高めるかといった発想だったが、まさに逆転の発想。開発されて以降、レインウエアはもちろんバイクカバーやアウトドア用具などにも採用されている。
一つ注意したいのが、生地そのものには吸水性がない点。水蒸気なら透過するが水は内側からも逃げないので、汗が内側に溜まってしまうこともあるのだ。夏場などは吸汗速乾系のインナーと組み合わせたい。
[POINT3] もっとも重要なのは“耐水圧”!
バイク用では最重要になる、染み込みを抑える性能
雨天走行時、ライダーは降ってくる雨を自然の状態のまま受けるわけではなく、走行速度に比例して強く打ち付けられる。そこで生地に染み込もうとする水の力を抑える性能を数値化したのが、ここで紹介する耐水圧なのだ。
数値の測定方法は下記の図のとおりだが、生地の上に1㎝四方の筒を立て、水を注いで何mの高さまで水圧に耐えられるかというもの。目安として300㎜で小雨、2,000㎜で中雨、10,000㎜で大雨に耐えられる、とされている。
この数値は水のみが1Gで受ける圧力なので、ライダーの動作によっては体重分の圧力が加わることになる。さらに走行風も加わるので、バイク用としては数値が大きなモノがお勧めとなる。
なお、一般的なナイロン傘の数値は250㎜/㎡程度といわれている。それでも耐水性だけを考慮すればまったく問題ないレベルといえるだろう。ただ、レインウエアにとって重要なのは内部が濡れないこと。耐水性を高めるためにどんな工夫がほどこされているのかがレインウエアを選ぶ際のポイントになるので、ただ“耐水性が高い”という謳い文句だけではなく、ピンポイントとして“耐水圧”の表記の有無に着目し、レインウエア選びの判断基準にすることをお勧めする。