教習所に入校し、必要な手続きを済ませたらいよいよバイクに乗れる。しかし、ひと目見ただけで街中を走っているバイクと違うことに気が付くハズ。そう、教習車は生徒の練習用バイクとして扱いやすく、かつ壊れにくく設計されているのだ。ここではその教習車を詳しく解説していくぞ!
教習車詳細図解 “これがCB400SF-Kだ!!”
市販車と教習車の違い
多くのライダーを世に輩出するために日々がんばってくれる“はたらくバイク”CB400SF-K。このバイクは先ほど紹介したポイント以外にも、市販車と教習車の違いが多数存在する。ここではその一部を紹介するぞ。
メーター
旧型のメーターボディを採用。かつての教習車はハイパーVテックと呼ばれる機構をカットしてパワーを抑えていたが、メーターの文字を見る限り現行型はカットされていないようだ
ヘッドライト
市販車のマルチリフレクターに対し、教習車はレンズカットを採用しているため、印象がずいぶんと違う。また、表示ランプを装着するスペースを確保するためか、外径はやや小さいモノに変更されている
ウインカー
ウインカーは転倒時によく破損するパーツのため、教習所ではひんぱんに修理することになる。そのため、低コストで交換できるように素材も安価なものが使われているそうだ
ブレーキ
市販車のブレーキキャリパーは両押し4ポットだが、教習車は片押し2ポットとなる。グレードは落ちるが、コース内は最大40㎞/hほどしかスピードを出さないので問題はないはずだ
リヤショック
リヤショックの違いはリザーバータンクの有無で一目瞭然。こちらもブレーキキャリパーと同様、速度域の低いコース内ではローグレードのものでもとくに問題はなさそうだ
教習用装備のため一般的な市販車よりちょっと重い
今回紹介している教習車のベースモデル・CB400SFを例に考えてみると、市販されているCB400SFの最軽量グレードの重量は197㎏。これは現行400㏄のなかでは軽い部類に入るけれど、初めてバイクを扱う人にとってはかなりの重量に感じるハズ。これにバンパー類などの重量を含めると約212㎏にもなるわけだが、市販バイクの中にはそれ以上の重量のバイクもある。そのためバイクを買うときは、教習車の重量を基準に考えて、自分に扱えるかどうかをシミュレートしておくといいだろう。また、250㏄クラスを選択するという手がある。軽いモデルになると教習車の半分ほどの重量しかないため、その違いにおどろかされるハズだ。
コケることも練習のうち、教習車で慣れておこう
市販されているバイクとの大きな違いは“転倒することを前提に作られていること”だろう。もちろん市販バイクにも同じことが言えるけれど、教習車はバイクに触れたこともないような人の練習用に使われるだけあって、バンパーでがっちりガードされている。そのため、軽い転倒くらいでは壊れない仕様になっているのだ。
転倒は誰だってしたくはないモノだけど、教習車は“転倒の練習”ができることも忘れてはならない。アクセルやクラッチの練習は公道に出てからいくらでもできるけど、転倒の練習ができるのは教習中しかないのだ。
わざと転倒して教習所に迷惑をかけるのはNGだけど“どんな操作をすればバイクは転倒するのか”といった感覚を知っておくことは、将来公道に出たときに必ず役に立つハズだ。
普通二輪以外の教習車
AT限定普通二輪の教習車
普通二輪小型限定の教習車
大型二輪の教習車
排気量制限がない分知っておきたいポイント
普通二輪クラスであれば、教習車と比べて極端にハイパワーな市販車は少ないため、教習車に慣れておけば、大抵のモデルも大きな差を感じることなく乗れるハズだ。ただし大型になると教習車の4倍近いパワーを持つ市販車もめずらしくはないため、教習車とのパワーのギャップにとまどうケースもある。慣れればどうということはないけれど、乗り始めたすぐは気を付けておきたいポイントだ。
また、普通二輪の教習車は、対象免許で乗れる最大排気量である400㏄のモデルに限定されているが(かつてはGT380の教習車もあったとか)、大型に関しては750㏄クラス以上であれば排気量の制限がないため、さまざまな排気量のモデルが教習車に採用されている。
※教習所によって教習車が異なる場合があります