コースの周回などでカーブでの姿勢・視点のとりかたがある程度わかってきたら、次はこの8の字に挑戦する。周回コースよりも道幅が狭く圧迫感も増すため、はじめは緊張するだろう。ここでは右へ左へと旋回を続けざまに行なうことで、カーブでの安定した走行を習得することが目的となる。安定した走行とは、頻繁にアクセルワークやブレーキングを行なうよりも、同じ速度・姿勢を長く保っていられること。単に“8の字ができる”だけでなく、“安定した状態で8の字ができる”ようになることに意味がある。
8の字の難しさとは?
“同じ操作・姿勢を一定に保つのは簡単そう”と思うかもしれないが、旋回する場合は重心をずらしてバランスをとる都合上、ちょっとしたアクセル操作のムラでバンク(バイクの傾き)に乱れが起きやすい。しかもただ同じ方向に回るだけでなく、切り返しも入るから最初はパニックになりがち。大きく動く切り返しとまったく動かない旋回をスムーズかつすばやく反復することが、この科目の難しさといえる。
8の字は旋回と切り返しの2動作でできている
①旋回
基本は上体と車体の傾きが一緒となるリーンウィズで実施する。アクセルを回すだけ遠心力が生まれ外側に膨らみやすくなるが、その分バイクを傾ければ膨らまずに済む。遠心力とバイクが倒れようとする力がピタリと釣り合う感覚をつかもう。釣り合う状態を維持できれば、スムーズに旋回できる。
②切り返し
旋回方向を変える切り返し。それまでバイクが傾いていた方とは逆方向へと一気に車体を傾けるため、動作は大きくなる。とはいえ力はそれほど必要ではなく、アクセルを回せば車体が自然と起き上がってくれるので、それをキッカケに上体を反対側へ倒すようにすればいい。キモはアクセルの絶妙な回し具合を知ること。アクセルを開ければ車体が起き上がらないし、開けすぎるとマシンの軌跡がふくらんでコースアウトしてしまう。
旋回中の手足はどう使う?
車両を傾けることなど、バランス操作にばかり気をとられがちだが、ブレーキやクラッチを司る手足はどうなっているのが望ましいのだろうか? 結論から言うと、使うのは右手のみ、すなわちアクセル操作だけでいい。旋回時はアクセルを一定に回し続け、切り返しで少しだけ回してエンジンの回転数を上げてやるのが理想的だ。とはいえ初めからそううまくいかないので、旋回しやすい速度をつかめるまではリヤブレーキで速度調節しよう。
アクセルは一定
クラッチは使わない
必要に応じてリヤブレーキ
目線はどこへ向ける?
フロントブレーキは厳禁!
8の字が苦手な人は定常円で練習しよう
はじめは一定のアクセル開度をたもつことや姿勢をくずさないことなど、旋回の操作に関わることに目いっぱいで、進行方向を変える切り返しまで気が回らない人もいるだろう。そういった場合、まずはパイロンの周りを同じ方向へグルグルと回り続ける、定常円の練習から始めるといいだろう。まずはバイクの傾き具合に応じて、どのぐらいアクセルを回せば姿勢が安定するのか、同じ大きさの円を描き続けられるのかを体に染みこませよう。下手に2つの動作をいっぺんに覚えようとするよりも、1つずつ覚えて行った方が上達スピードは速いぞ。