タイヤサイズ表記を理解して自分でタイヤを選べるようになろう

タイヤについて詳しくなるとバイクがより楽しくなる

消耗品であるタイヤはいつかは必ず交換しなければいけないパーツだ。しかし、いざ交換しようと思っても「どのタイヤを買っていいかわからない」という人も多いはず。バイクショップや用品店で「今履いてるのと同じタイヤで」と純正装着タイヤを買い直すのも悪くはないが、それを繰り返していたらいつまで経っても初心者のまま。せっかくなら自分のバイクに装着するタイヤは自分で選べるようになっておきたいし、機会があれば冒険をして他ブランドのタイヤを試したり、特性の違うタイヤで走りの変化を実感するのも楽しいものだ。

 

まずはスペック表やタイヤの側面に記載されているタイヤサイズ表記を理解するところから始めよう。表記が読めるようになれば、自分のバイクに合うサイズがわかるだけでなく、タイヤの構造や特徴も把握できるようになるぞ。

タイヤサイズ表記
これがタイヤサイズ表記の一例だ。この表記の中に様々な情報が含まれているので、順を追って説明していくぞ。ちなみに下線が引いてある「M/C」はモーターサイクルの略で、このタイヤがバイク用だという意味
サイドウォールに記載されているタイヤサイズ
サイドウォールと呼ばれるタイヤの側面に記載されている

タイヤの幅

タイヤサイズ表記のタイヤ幅

表記の先頭にあるものがタイヤの幅、太さだ。単位は㎜(ミリメートル)で110と書いてあればそのタイヤの幅は110㎜(=11㎝)ということ。フロントタイヤよりリヤタイヤの方が太くなる。フロントは排気量でそれほど差が出ないが、リヤは大型バイクほどより多くのパワーを地面に伝えるために太くなる傾向がある。

タイヤが太くなると何が変わる?

一般的には、タイヤが細いと転がり抵抗が減り燃費が良くなったり、ハンドリングが軽くなる傾向にある。タイヤが太くなると接地面積が増えてグリップ力が高まる傾向にある。しかし、これらはあくまで傾向であり、タイヤの形状や他の要因によっても変わるため一概には言えない。また太いと外観に迫力が生まれるためドレスアップ目的で好む人もいる。

太いサイズのリヤタイヤを装着したバイク
タイヤの許容リム幅

純正装着タイヤより太くしたい場合は、メーカーページなどで装着したいタイヤの“許容リム幅”を見よう。今乗っているバイクのホイールのリム幅がその数値に収まっていれば交換できる可能性が高い。しかし本来の指定サイズをくずすと車体姿勢や操縦安定性が変化したりするので慎重に。タイヤと車体各部のクリアランスがとれるかのチェックも必要だ。

扁平率

タイヤサイズ表記の扁平率

 

タイヤ幅を100としたときのタイヤの高さを比率で表したもの。100/70のタイヤなら高さは7㎝だ。扁平率の数値が小さい(扁平率が低い)ほど接地面積が広く、タイヤの側面であるサイドウォールの高さが低くなる。反対に数値が大きい(扁平率が高い)と厚みがあり衝撃吸収性がよい傾向にある。

 

タイヤの扁平率を説明したイラスト
タイヤの幅に対してタイヤの高さが何%かを示しているのが扁平率。乗り心地とともに見た目の印象も大きく変わる部分だ

構造

タイヤサイズ表記の構造

タイヤの構造を表し、タイヤの骨格を構成する“カーカス”というコードの配置の違いによって2種類に分けられる。表記の「-」がバイアス、「R」がラジアルを示す。250㏄クラスのロードモデルやオフ車の純正装着タイヤはバイアス設定が多く、排気量の大きいロードスポーツモデルになるとラジアルが採用されるケースが多い。

バイアス構造

バイアス構造図
カーカスをタイヤの回転方向に対して斜めになるように巻き付け、互い違いに複数枚重ねている。タイヤ全体がたわむような構造のためクッション性がよく乗り心地がいい。高価なラジアルに対して絶対性能で劣るものの、総合力は十分に高い
ラジアル構造

ラジアル構造図
タイヤの中心からラジアル(放射状)にカーカスを配置し、高強度なベルトで締め付けた構造。横方向からの力に対して変形しにくいためロスが少なく、グリップしやすい。250クラスのタイヤでも設定があるがコストが割高になる
なぜスポーツ走行にラジアルが向く?

タイヤは路面に押し付けられてつぶれることになるが、コーナーで横方向からの力が加わったとき、変形しにくい構造のラジアルの方が剛性感があってコーナリングでアクセルを開けやすいのだ。変形しやすいバイアスはそのぶんやわらかく、乗り心地がよいことが特徴。

リム径(ホイールサイズ)

タイヤサイズ表記のリム径

タイヤのリム径を示したイラスト

タイヤサイズで最も重要な部分がこのリム径、いわゆるホイールサイズだ。単位はインチ。このリム径が合っていないとタイヤをホイールに組み付けることができないので、間違えないよう注意しよう。

 

バイクのジャンルや車種によって大まかなサイズが決まっているので特徴の違いもおさえておきたい。

ホイールサイズによって変わる性格

ホイールサイズが大きいと段差を乗り越えやすく、サスペンションのストロークを長くできるので悪路に強くなる。ホイールサイズが小さいほど小まわりが利き、背が低くなるので足着き性もよくなる。

スクーター

スズキ 2019年式 アドレス125 ホワイト
前:12インチ/後:10インチ
小型スクーターなどは10〜12インチ前後が主流。まれにアドレス110のように前後14インチというモデルは“大径ホイールを装備”といわれる
ロードスポーツ

ホンダ 2020年式 CBR250RR ブラック
前:17インチ/後:17インチ
ロードモデルでは過去に16〜19インチまでさまざまあったが、現在では前後17インチがほとんど。このサイズが豊富で選びやすくなっている
アドベンチャー

ヤマハ 2020年式 テネレ700 マットダークグレー
前:21インチ/後:18インチ
オフ車やアドベンチャーモデルといった不整地走行を想定したモデルはフロントを大きくして21インチや19インチを採用するケースが多い

荷重指数

タイヤサイズ表記の荷重指数

これはタイヤ1本にかけられる最大荷重を示したもので、ロードインデックスとも呼ばれている。指定サイズで交換する場合は、十分に余裕があるため特に心配する必要はないだろう。

荷重指数 荷重(㎏) 荷重指数 荷重(㎏) 荷重指数 荷重(㎏)
    40 140 60 250
21 82.5 41 145 61 257
22 85 42 150 62 268
23 87.5 43 155 63 272
24 90 44 160 64 280
25 92.5 45 165 65 290
26 95 46 170 66 300
27 97.5 47 175 67 307
28 100 48 180 68 315
29 103 49 185 69 325
30 106 50 190 70 335
31 109 51 195 71 345
32 112 52 200 72 355
33 115 53 206 73 365
34 118 54 212 74 375
35 121 55 218 75 387
36 125 56 224 76 400
37 128 57 230 77 412
38 132 58 236 78 425
39 136 59 243 79 437

速度記号

タイヤサイズ表記の速度記号

走行できる最高速度を示した記号。と同様に、こちらもサイズやカテゴリーに連動して設定される数値のため特に心配する必要はないだろう。

速度記号 速度(㎞/h) 速度記号 速度(㎞/h) 速度記号 速度(㎞/h)
A1 5 D 65 Q 160
A2 10 E 70 R 170
A3 15 F 80 S 180
A4 20 G 90 T 190
A5 25 J 100 U 200
A6 30 K 110 H 210
A7 35 L 120 V 240
A8 40 M 130 Z 240超
B 50 N 140 W 270
C 60 P 150 (W) 270超

インチ表示って?

インチ表示のタイヤサイズ表記タイヤサイズ表記は、今まで説明したメトリック表示のものがほとんどだが、一部の小排気量車やオフ車などではインチ表示のタイヤが存在する。その場合、❶のタイヤ幅は1インチ=25.4㎜で計算できる。基本的にインチ表示のタイヤは、構造がバイアスで、扁平率は90〜100の間におさまっているのが特徴。

基本のタイヤ交換は❶❷❹が同じ指定サイズで

基本的にタイヤの選び方は、純正装着品を選ぶか、指定サイズに合う他製品から選ぶという2通りとなる。他製品から選ぶ場合は❶❷❹の数字が純正装着タイヤと同じものであれば、ほぼ問題なく交換できるはずだ。はバイアス、ラジアルどちらを選んでも問題ない。

※この記事では国内で一般的に流通している小〜中排気量の車両のタイヤサイズ表記について解説しています。海外モデルや、クルーザーなど大排気量車のタイヤサイズ表記には一部特殊なものがあります。

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