タイヤについて詳しくなるとバイクがより楽しくなる
消耗品であるタイヤはいつかは必ず交換しなければいけないパーツだ。しかし、いざ交換しようと思っても「どのタイヤを買っていいかわからない」という人も多いはず。バイクショップや用品店で「今履いてるのと同じタイヤで」と純正装着タイヤを買い直すのも悪くはないが、それを繰り返していたらいつまで経っても初心者のまま。せっかくなら自分のバイクに装着するタイヤは自分で選べるようになっておきたいし、機会があれば冒険をして他ブランドのタイヤを試したり、特性の違うタイヤで走りの変化を実感するのも楽しいものだ。
まずはスペック表やタイヤの側面に記載されているタイヤサイズ表記を理解するところから始めよう。表記が読めるようになれば、自分のバイクに合うサイズがわかるだけでなく、タイヤの構造や特徴も把握できるようになるぞ。
❶ タイヤの幅
表記の先頭にあるものがタイヤの幅、太さだ。単位は㎜(ミリメートル)で110と書いてあればそのタイヤの幅は110㎜(=11㎝)ということ。フロントタイヤよりリヤタイヤの方が太くなる。フロントは排気量でそれほど差が出ないが、リヤは大型バイクほどより多くのパワーを地面に伝えるために太くなる傾向がある。
タイヤが太くなると何が変わる?
タイヤの許容リム幅
純正装着タイヤより太くしたい場合は、メーカーページなどで装着したいタイヤの“許容リム幅”を見よう。今乗っているバイクのホイールのリム幅がその数値に収まっていれば交換できる可能性が高い。しかし本来の指定サイズをくずすと車体姿勢や操縦安定性が変化したりするので慎重に。タイヤと車体各部のクリアランスがとれるかのチェックも必要だ。
❷ 扁平率
タイヤ幅を100としたときのタイヤの高さを比率で表したもの。100/70のタイヤなら高さは7㎝だ。扁平率の数値が小さい(扁平率が低い)ほど接地面積が広く、タイヤの側面であるサイドウォールの高さが低くなる。反対に数値が大きい(扁平率が高い)と厚みがあり衝撃吸収性がよい傾向にある。
❸ 構造
タイヤの構造を表し、タイヤの骨格を構成する“カーカス”というコードの配置の違いによって2種類に分けられる。表記の「-」がバイアス、「R」がラジアルを示す。250㏄クラスのロードモデルやオフ車の純正装着タイヤはバイアス設定が多く、排気量の大きいロードスポーツモデルになるとラジアルが採用されるケースが多い。
バイアス構造
ラジアル構造
なぜスポーツ走行にラジアルが向く?
タイヤは路面に押し付けられてつぶれることになるが、コーナーで横方向からの力が加わったとき、変形しにくい構造のラジアルの方が剛性感があってコーナリングでアクセルを開けやすいのだ。変形しやすいバイアスはそのぶんやわらかく、乗り心地がよいことが特徴。
❹ リム径(ホイールサイズ)
ホイールサイズによって変わる性格
ホイールサイズが大きいと段差を乗り越えやすく、サスペンションのストロークを長くできるので悪路に強くなる。ホイールサイズが小さいほど小まわりが利き、背が低くなるので足着き性もよくなる。
スクーター
ロードスポーツ
アドベンチャー
❺ 荷重指数
これはタイヤ1本にかけられる最大荷重を示したもので、ロードインデックスとも呼ばれている。指定サイズで交換する場合は、十分に余裕があるため特に心配する必要はないだろう。
荷重指数 | 荷重(㎏) | 荷重指数 | 荷重(㎏) | 荷重指数 | 荷重(㎏) |
---|---|---|---|---|---|
40 | 140 | 60 | 250 | ||
21 | 82.5 | 41 | 145 | 61 | 257 |
22 | 85 | 42 | 150 | 62 | 268 |
23 | 87.5 | 43 | 155 | 63 | 272 |
24 | 90 | 44 | 160 | 64 | 280 |
25 | 92.5 | 45 | 165 | 65 | 290 |
26 | 95 | 46 | 170 | 66 | 300 |
27 | 97.5 | 47 | 175 | 67 | 307 |
28 | 100 | 48 | 180 | 68 | 315 |
29 | 103 | 49 | 185 | 69 | 325 |
30 | 106 | 50 | 190 | 70 | 335 |
31 | 109 | 51 | 195 | 71 | 345 |
32 | 112 | 52 | 200 | 72 | 355 |
33 | 115 | 53 | 206 | 73 | 365 |
34 | 118 | 54 | 212 | 74 | 375 |
35 | 121 | 55 | 218 | 75 | 387 |
36 | 125 | 56 | 224 | 76 | 400 |
37 | 128 | 57 | 230 | 77 | 412 |
38 | 132 | 58 | 236 | 78 | 425 |
39 | 136 | 59 | 243 | 79 | 437 |
❻ 速度記号
走行できる最高速度を示した記号。❺と同様に、こちらもサイズやカテゴリーに連動して設定される数値のため特に心配する必要はないだろう。
速度記号 | 速度(㎞/h) | 速度記号 | 速度(㎞/h) | 速度記号 | 速度(㎞/h) |
---|---|---|---|---|---|
A1 | 5 | D | 65 | Q | 160 |
A2 | 10 | E | 70 | R | 170 |
A3 | 15 | F | 80 | S | 180 |
A4 | 20 | G | 90 | T | 190 |
A5 | 25 | J | 100 | U | 200 |
A6 | 30 | K | 110 | H | 210 |
A7 | 35 | L | 120 | V | 240 |
A8 | 40 | M | 130 | Z | 240超 |
B | 50 | N | 140 | W | 270 |
C | 60 | P | 150 | (W) | 270超 |
インチ表示って?
基本のタイヤ交換は❶❷❹が同じ指定サイズで
基本的にタイヤの選び方は、純正装着品を選ぶか、指定サイズに合う他製品から選ぶという2通りとなる。他製品から選ぶ場合は❶❷❹の数字が純正装着タイヤと同じものであれば、ほぼ問題なく交換できるはずだ。❸はバイアス、ラジアルどちらを選んでも問題ない。
※この記事では国内で一般的に流通している小〜中排気量の車両のタイヤサイズ表記について解説しています。海外モデルや、クルーザーなど大排気量車のタイヤサイズ表記には一部特殊なものがあります。