メンテナンスをはじめる前に。ビギナーたちの素朴な疑問Q&A

メンテナンスとは? なぜそれが必要なの?

本題に入っていく前に、「そもそも…」という疑問を持っている人も多いのではないだろうか。まずは、そんな疑問を解決していこう!

Q1. そもそも“メンテナンス”って何ですか?

 A. ひとことで言えば、「愛車のコンディションを維持すること」です!

バイクは膨大な消耗品でできている

タイヤ・ブレーキパッド・プラグ・エンジンオイル…と、屋外を走るバイクという乗り物は膨大な可動パーツや消耗品でできている。「バイクは消耗品のカタマリだ」と言っても、あながちウソではないだろう。走れば走るほど、年月が経てば経つほど、本来の性能を失っていってしまう。その劣化を食い止め、本来の性能を取り戻すために行なわれるのがメンテナンスだ。

メンテナンス=「自分でバイクをいじること」ではない

よくカン違いされがちなのだけど、メンテナンスというと「自分でバイクをいじること」というイメージを持っている人も少なくない。しかし大切なのは“バイクのコンディションを維持すること”。100%ショップにおまかせでもいい。定期的にバイクショップに見てもらったり、もしくは自分で作業することで、愛車のコンディションが良好なまま維持することができていれば、つまりそれがメンテ上手なのである。

メンテナンスはなくならない

従来のバイクに比べて現行車はだいぶメンテナンスがラクになってきているけれど、どんなにバイクが進化しても、メンテナンスという作業が完全になくなることはないだろう。

 

エンジンだけに注目してみても、内部は膨大な金属パーツの集合体だ。それぞれが高温にさらされながら超高速で動いている。バイク全体はさらに膨大なパーツの集合体であり、極論すればあらゆるものが消耗品とも言える

Q2. どうしてメンテナンスをしなければいけないの?

A. 3つの大きな理由があります!

1. 危険なバイクになってしまう!

“止まれないバイク”だとか“すぐに転ぶバイク”に乗りたいと思う人はいるだろうか? 誰だって“危険なバイク”には乗りたくないよね。でもメンテをサボってしまうと知らないうちに愛車が“危険なバイク”になっているなんてことも。メンテナンスをしなければならない理由はいろいろとあるけれど、何より「自分と他者の命を守るため」というとてつもなく大きな理由があることを肝に銘じておこう。

2. 余計な出費が増える

「お金がないんだよ」という、オサイフ事情のキツい中でバイクライフを送っている人こそ、メンテナンスをおろそかにしてはいけない。というのも、バイクは放置し続けると、必ず最後には“破損”という結果が待っているからだ。修理のために大出費になることも普通で、「定期的にメンテをするよりだいぶ高くついた」というオチになってしまうこともめずらしくない。

3. バイクが楽しくならない!

「命に関わる部分はメンテするけど、重大な問題じゃなければ別にいいや」などという人もいるかもしれないが、動きのシブいアクセルやクラッチで疲れ、チェーンはガチャガチャと耳障りな音をたて、エンジンは本調子ではなく…。そういうバイクライフは、大いに損をしていることになる。ぜひ強調しておきたいのが「調子の悪いバイクに乗っていても楽しくない!」ということ。メンテ不足で本来の性能が発揮できていないバイクでは、ツーリングに行っても楽しさ半減だ。絶好調のフィーリングをず〜っと感じ続けるためにもメンテナンスは必要不可欠なのだ!

 

“なんとなく調子が悪い”という期間をさらに放置し続けると…。最後は事故に結びつくことになる。とくに車検のないバイクはノーメンテになりがち。自分の命に関わる問題だという意識を持とう

Q3. なんでみんな自分で作業するんですか? めんどくさくないですか?

A. 答えはカンタン“楽しい”から!

“趣味”に昇格させる

メンテナンスを“義務”や“責任”などと考えると、何だか気が重くなってくる。が、「バイクに触るのが楽しいからやるんだ!」と思えば、途端に“趣味”に昇格させることもできる。

バイクと対話

メンテナンス作業を通してバイクと対話するような、たとえば「いつもありがと、おつかれさん。今新しいオイルに交換してやるから、これからもよろしくな」と、胸の中で思わず愛車に語りかけたり。バイク乗りにとってこういう時間はとても幸せじゃないだろうか。

スキルアップを楽しむ

あとは「初めのころは丸1日かけてどうにかやってた作業を、今じゃ1時間で終わらせてるよ!」など〝自分の成長〞を感じられるというのもメンテの楽しさと言えるだろう。

安上がりは結果論?

一方で「安上がりだから」という理由から自分でやっている人もいるだろう。が、そこは下のQ4にもあるけどちょっと微妙なところ。けっきょく、そういう人もなんだかんだでやっぱり“楽しい”んだと思うぞ。

 

完全に自己満足の世界かもしれないけれど、これがバイク乗りにとっては、とても楽しい時間なのだ。

Q4. メンテを自分でやれば安上がりなんですか?

A. 必ずしもそうとは言いきれません。

まず、自分で作業するためにはある程度の工具が必要だ。一度買ってしまえばほぼ一生モノというくらい使えるけれど、ともかく初期投資のお金はそれなりに必要になるということ。また最初のころは技術もないし失敗もつきもの。ネジをナメたとかパーツを破損したとか、メンテにまつわる失敗談は実にたくさんあるのだ。当然、お手上げ状態になってしまったらプロに助けてもらうことになるわけで、本来必要なかった工賃なんかもかかったりする。…とまぁ、いろいろなことを総合的に考えると、必ずしも安上がりとは言えない気がする。もちろん技術が身に付いてくれば安上がりになるだろうが、初めのうちはいろいろと出費がかさむことをお忘れなく。ちょっとドライな言い方かもしれないが、メンテを覚えたい理由が「コストだけ」という人は、むしろチャレンジしない方がいいだろう。コストだけじゃない何かを求めているなら、きっと“メンテで遊べる”ことだろう。

 

自分でメンテナンスをするためには、まずは工具をそろえなくてはならない。作業内容によって必要な工具は違ってくるけれど、いずれにせよ工具を買うための初期投資は絶対に必要だ

Q5. 自分でイジってもいいの?

A. いけないところも多いので注意

「カンタンな作業くらいは自分でできるようになりたい」と思っている人は多いことだろう。しかし、そんな気持ちに水を差すようなことかもしれないが、機械をイジるというのは徹底的に現実主義な世界だというのも忘れてはならない。やろうと思った作業は、適切に完了して初めて意味がある。「がんばれば評価してくれる」というわけじゃないのだ。何かミスをすると余計に状態が悪化してしまうこともあるし、最悪の場合は破損や事故につながってしまうこともある。もしもバイクを壊してしまったらショップに持ち込むしかないし、高い授業料を払うことになるかもしれない。決して脅すわけではないけれど、自分で作業をするときは、そんなドライな一面があることも知っておこう。よくわからない場所を適当にイジったりするのは、避けた方がいい。ただし、自分でメンテナンスをしているという人は、多かれ少なかれミスを経験しているもの。ミスを恐がりすぎても前に進めないので、もしも失敗したら次回から注意すればいい話。成長するための試練として必要なことなのかもしれない。

 

代表的なところを挙げるなら、やはりブレーキは素人が触れてはいけないところだ。正しい知識と技術がないと、どんなにがんばって作業しても評価してもらえない

Q6. メカに詳しくないと、自分でメンテなんてできないよね…?

A. カンタンな作業もあります!

「みんなスゴいな…。でもボクはバイクのメカのことを何も知らないし、できないだろうな…」などと、あきらめてしまう人もいるのではないだろうか。しかし! メンテナンスは、なにもすべての作業にプロ並みのスキルが要求されるわけじゃないのだ。ビギナーでも、ビギナーなりにできることはある。メカニズムの知識がほとんどなくても、工具すら使わずにできてしまう作業だってある。まずは「自分にはムリ!」と決めつけずに、カンタンなものからチャレンジしてみてはどうだろうか。もちろん、冒頭で触れたとおり「すべてショップにお任せしてます」というのも立派なメンテナンス。自分でやるから偉い・ショップにまかせるとダメ…なんてことはゼッタイにないのだ。でも、多少なりとも自分でメンテナンスできると、ライダーとしての世界が広がるのも事実。もしも「少しは自分でやってみたい」という思いがあるのなら、ぜひカンタンなものから始めてみよう。最初からすべてできる人はいないのだし、一歩一歩ステップアップしていけばいいのだ。

メンテナンスの第一歩と言われる洗車。非常にとっつきやすいし、普段はじっくり見ない細部まで見れたり、構造など新たな発見も。また愛車の不調がわかることもあるのでぜひトライしてほしい。さて、愛車との距離も縮まったし今度の休みはツーリングにでも行きますか~♪

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