知らない道で迷う、よくあることだ。だけど少し立ち止まって考えてみよう。“道を間違える”と“道に迷う”。似たような言葉だけど、この差は実はとても大きい。それはなぜか?
道を間違えただけなら気付けばリカバリーできるが、道に迷うということは、もはやどちらに進んでいいのかもわからないということだ。つまり、自分がどこにいるのかも、どの方向へ進んでいるかもわかってない状況。英語で迷うことを“LOST”というが、自分の現在地を失ったという意味での表現だと言えよう。ツーリング中、道に迷わないためには、おおまかでいいので自分がどこにいるのかを把握し続けることが大切なのだ。
原因その1/スマホに頼りきりで道を調べていない
今やスマートフォン全盛時代。電波さえキャッチできれば、地図などなくてもナビが行き先を教えてくれる…。なんて考えのライダーが大半だろう。仕事であれば、効率優先で機械のいいなりで走るのもいいだろう。だけど、スマホの電源が切れたらどうなる? 電波のないところに入ってしまったらどうなる? 目隠しで放り出されたも同然だ。
対処法
地図を持っていく
正確には、持って行くだけでなく事前にルートを確認し、ルート周辺に何かおもしろそうなところがないかも確認しておきたい。それがスマホのナビ頼りでは、A地点からB地点への単なる移動である。せっかく機動性の高い世の中で一番自由な乗り物に乗っているのだから道中も楽しもう。
電源対策をしっかり!
オフライン対応の地図をダウンロードしておく
電波の届かない地域でも使えるナビアプリもある。これは事前に地図を携帯電話の中にダウンロードするタイプのもので、電波の届かない場所でもナビが停止しない。ただし、地図はデータが大きいので記憶媒体に十分な容量が必要になる。
一般ライダーの実体験
7年ぶりにバイクでツーリング、しかも初めて九州に上陸したとき。地図は持っておらず、立ち寄る所も地図もスマホで見ればいいと考えていた。しかし、九州の別府と湯布院の間の山間部や、阿蘇周辺の市街地から離れたところでは携帯電話の電波が入らないところが多々あり、地図が見れなくて困った。立ち寄る場所の情報も見ることができず、行こうと思っていた目的地の半分くらいしか行けなかった。電波や電池のない場所で見れる地図は必須だと痛感した。ハイテク機器に頼り過ぎないことが重要だと思う。
(ふぉりす/39歳/バイク歴14年/そのトラブルに遭遇したのはいつ?:乗り始めて3年以上)
原因その2/ルートの事前の調べ方が不十分
どこかへ行こうと思ったときに、経路や時間を調べるのに便利なのがグーグルマップ。最近では走行しながらのガイダンスのタイムラグもなくなり、随分と使えるようになっている。また時間計算も、渋滞やアクシデントがなければ、わりと正確なことに驚かされる。
アドバイス
到着時間を把握しておく
グーグルマップに出てくる到着予想時間はあくまで、その道の制限速度で計算した概算値。高速道路の要素が大半を占める行程であれば、ほぼそのコースタイムで到着できるが、一般道をメインに使うとなると話は別。バイクの車種やペースにもよるが、3割から2倍ぐらいに見積もっておこう。
対処法
周辺の地形や道路名も知っておく
事前に行程を調べる場合には、道路の名前だけでなく、川を越えたり、線路を渡ったり、大きな国道や高速道路を横切ったりといった、走っていて気付きやすいポイントを抑えておけば、走りながら「○○川を越えて左手に線路がみえてすぐの交差点で右折…」などと、走りながら現在地が把握できる目印をさがしておく。
実際の風景を見ておく
すごいのはやはりグーグルマップのストリートビュー機能である。これはもうスマホ世代も地図世代も積極的に使いたい機能である。なにせ曲がりたい交差点の進行方向の風景を事前にチェックできるから非常に迷いにくい。ただし、旅が知ってる場所をたどるだけになるので、なんとなく味気なくなるのは否めない。
原因その3/曲がるタイミングを間違える
道に迷う最大の原因は、曲がるタイミングを間違えることである。早すぎる、遅すぎるいろいろあるが、ナビ頼りに走っていると、これが非常に顕著に現れる。「次の交差点を右です」なんて標示されても、次は目の前の小道なのか、それとも少し先の十字路なのか非常にわかりにくい場合が多いのだ。
300mってどの位?
300mは300mで距離が変わることはないのだが、どこから300mなのかが問題である。クルマ用のナビアプリならともかく、汎用のナビアプリは少々標示タイミングが遅い傾向にある。そんなアプリごとのクセをふまえて使おう。