SYM JET14 200

SYM JET14 200 走行

ヨーロッパでビッグヒットになっているというSYMのスクーター・ジェット14 200。人気の秘密がどこにあるのか探るため、市街地から高速道路、郊外の道などさまざまなシチュエーションでテストライド。するとその魅力が見えてきた。

文・写真:横田和彦/写真:関野 温

充実したコミューターライフを実現

SYM JET14 200のスタイリング

力まず自然体で乗れるシティコミューター

台湾のSYMは近年、品質とコストのバランスが良好なモデルをリリースしている。その理由の一つは、台湾がスクーター大国なのでユーザーの目が厳しいこと。またヨーロッパなど競争が激しい海外で鍛えられているからだといわれている。そしてSYMが発売するジェット14 200は、輸入元のモータリストによるとヨーロッパ市場で最高販売台数を記録したモデルだという。その魅力がどこにあるのかチェックしていきたい。

 

まずは外観。凝縮感がありシンプルな面構成をしているというイメージ。クセが少ないデザインで安心して見ていられる。その中で目を引いたのが、LEDデイライトで縁取られたデュアルヘッドライト。夜間でもハッキリとわかる目力の強さは立派な個性だ。

 

またフラットフロアを採用していることも見逃せない。“スクーター最大の便利ポイント”という人がいるくらいフラットフロアは人気なのだが、多くの軽二輪スクーターは車体剛性を確保するためなどの理由で足元にフレームが通っている。しかしジェット14 200はフラットフロアだ。それが走りにどう影響するのか興味深い。

 

またがってみるとハンドルがライダーに近めで、幅が狭いと感じる。フットボードは広く、左右前方が斜めになっていて足を置くスペースがある。そのため足を投げ出すようにして乗ることもできる。車体がコンパクトなわりに、ポジションに自由度があるというのはうれしい限り。大柄な人でも窮屈な思いをせずにすみそうだ。

 

 

アクセルを開けるとスルスルっと進む。200という名ではあるが、実際の排気量は169㏄。そのため急激に飛び出すような感じはなく、なめらかに走り始める。速度コントロールのしやすさはアクセル開度の広さも影響しているように思う。全開にするには大きく回す必要があるが、市街地で四輪の流れに合わせて走るときには余計な気づかいをせずにすむ。

 

そして個人的にとても好感をもったのがハンドリングだ。コーナーや交差点に差しかかったとき、強く意識しなくてもスッとバンクして安定。その動きはライダーの感覚にシンクロしたもの。それが14インチ大径ホイールの恩恵であることは間違いない。小径ホイール車にありがちなバタつきや切れ込み感がないのは、荒れた路面や雨の日にも有効だ。なにより“自分が思ったラインを安定して走る”というのはライダーの負担にならない。あたり前のコトのようだけど、ここまで絶妙にマッチするモデルはそう多くはない。

 

また高速道路を走ったときに剛性の高さを体感。フラットフロアは振られやすいという先入観があったが、覆された。決してパワフルなパワーユニットではないので高回転域でのパンチはそれほどでもないが、クルージングするには十分。そのときスポーティとラグジュアリーの中間的な味付けのサスペンションも乗り心地に影響している。幅広いシチュエーションで十分な衝撃吸収性能を発揮してくれるのも、自然体で乗れる理由だと思われる。

 

ここではたと気付いた。尖ったところが少なく、多くの面で平均点が高いので、つねにライダーが安心して自然な気持ちで乗れるスクーターだということに。季節や天候に関わらず、毎日の足として稼働するコミューターとしてはベストなキャラクターではないだろうか。すべてにおいて自然で心地よいスクーター。ジェット14 200がヒットしている理由はそこなのだろう。

次ページ:SYM JET14 200のディテールと足つきをチェック!

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03-3731-2388
URL
http://www.sym-jp.com

※記事の内容はNo.240(2022年3月24日)発売当時のものになります

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