写真:関野 温
日常使いからロングツーリングまで幅広いシーンで活躍すること間違いなし
DUCATI デザートXのスタイリング
現在アドベンチャー系モデルは、1300cc前後から250cc前後までけっこうな機種がそろっている。そして、899cc前後に、フロント21、リヤ18インチホイールを履いたオフロードを強く意識したヤマハ・テネレ700、KTM・890アドベンチャーRといったモデル群がある。ドゥカティ・デザートXも車体構成を見るとその仲間に入る。ただし、他と一線を画すのは、そのデザインだ。ほとんどのアドベンチャーモデルは、スポーティな尖ったイメージが強いけれど、デザートXは、1980年代中ごろから90年代にかけて販売されていたカジバのエレファントをオマージュした、丸みがあってクラシカルな雰囲気を放っているのだ。なぜに他メーカーの車両を…、と思うかもしれないけれど、エレファントを発売していた当時、ドゥカティはカジバの傘下にあり、エレファントのエンジンはドゥカティのL型ツインが搭載されていた。このような歴史的背景があれば納得だろう。
今回はそんなオフロード色の強いデザートXのオンロードインプレッションだ。というのも国内のアドベンチャーモデルの利用状況を数年前に調べたメーカーがあって、そのデータによると、9割以上がオンロードユースだったのだ。それゆえ、デザートXのオンロードでの乗り心地が気になっている人が多いであろうことを予想してこの記事を用意した。
まずはエンジン。走行モードが選べるようになっていて、アーバン、ツーリング、スポーツ、エンデューロ、ラリー、レインの6つが用意されている。アーバン、ツーリング、レインは、発進時からかなり大人しいエンジンフィーリングながら低回転から十分なトルクがあって、静かかつスムーズに走ることが可能。ほかのドゥカティモデルに乗ったことがある人ならば“なんかパンチが弱いな”と思うかもしれないけれど、毎日乗ったり、ツーリングで長時間乗るような時は、静かで振動が抑えられている方が疲労がたまらなくていいのだ。そのあたり、まさにオンロードでの長距離ツーリングも意識していることがわかる。そしてクルーズ・コントロールが装備されているのも同様だ。走行性能においても高速道路の巡航から追い抜きをかけるのはラクラクだし、高速走行中に走行風が辛いなんてこともなかった。このあたりエアマネージメントにもしっかりこだわっていることがうかがえる。また、ブロック調のタイヤを装着しているけれど、短時間の乗車ではノイズ的な振動が気にならなかったことも付け加えておこう。もちろんスポーツモードにすれば、ドゥカティのL型ツインらしい鼓動感とトルク感を味わえるので、ワインディングとかでスポーティな走りも楽しむことができる。
スポーティな走りにも十分耐える制動力を有するブレーキは、レバーをにぎり込んでいった時の効き具合がわかりやすい。それゆえ、どんなシチュエーションでも安心していられる。安心という点では、トラクション・コントロール、ウィリー・コントロール、エンジン・ブレーキ・コントロール、コーナリングABS、クイックシフター・アップ/ダウン、といった電子制御がてんこ盛りなのも注目すべき点だろう。
21インチらしい安定感のあるハンドリングは、オフロードモデルらしさを感じるけれど、街中から高速走行まで、それがマイナスに感じるようなことはない。むしろ安定感があるのでプラスといえるのではなかろうか。何も考えることなく、ライダーの意志に沿ったラインを走ってくれるのでとてもラク。フレームとサスペンションの組み合わせも“硬すぎる”や“柔らかすぎ”といったような不満はなかった。ただ好みの差はあるところなので、前後ショックのプリロードと減衰の調整ができるフルアジャスタブルなのはありがたい。このように至れり尽くせり感があって、気負うことなく乗れるバイクというのが今回のトータルの印象だ。
DUCATI デザートXのディテール
DUCATI デザートXの足つき&乗車ポジション
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