HONDA DAX125

HONDA DAX125(2022年モデル)

今年春の東京モーターサイクルショーで公開されたが、コロナ禍の影響もあり夏の販売が延期され、ようやく9月に発売となった。新生ダックスは兄弟車とどこが違い、どういうところが魅力なのか、乗って感じたことを素直に書き綴っていく。

文:濱矢文夫/写真:関野 温

減点部分がない仕上がりのよさ!

HONDA DAX125のスタイリング

HONDA DAX125(2022年モデル)

よみがえったダックスはいろいろと完成度が高い

またがるとちょうどいいサイズ感。大きすぎず小さすぎず。モンキー125が登場したときと同様に、春の東京モーターサイクルショーで公開されると、昔のダックスに触れたことがあった世代からの“大きい”という声を耳にした。けど、これは50㏄や70㏄じゃなく125㏄だ。そのエンジン排気量から出せるスピードを考えると、このくらいの大きさがないとちょっと怖い。新生ダックスはタンデムすることも考慮したので、これはシートサイズとスタイルのバランスをとった結果でもあると説明があった。モンキー125からも感じたが、これが交通事情と使い方に合った現在のミニマムサイズだと思う。それはダックス125に乗っても実感した。筆者自身が昔のダックスを知っている世代だが、この大きさを否定する理由が見あたらない。

 

フロントの足まわりはブラケットからフォーク、ホイールまでグロムから流用されている。古きよきダックステイストをしっかり感じることができるデザインと、モダンすぎるフロントフェンダーが似合っていない気はするが、機能的にはまったく問題ないから否定するつもりはない、そこは社外品に期待しよう。何しろこの試乗会か開催された9月前半の時点で、注文数は3000台を超えているというから好調な滑り出しなのは間違いない。車両が売れると社外パーツも増えるから。

 

HONDA DAX125(2022年モデル)走行

 

走り出して最初に気が付いたのはスタビリティのよさ。直進安定性がいい。速度を上げても路面のギャップやうねりが気にならない。ハンドルを保持することに集中しなくていい。12インチと小径ホイールといえるサイズながら外乱に強い。これは安全であるだけでなく、走るのがすごく楽になる。走行距離を伸ばしたい気持ちにさえなった。フロントまわりなどのセッティングはグロムのままだというが、ホイールベースをモンキー125より55㎜長い1200㎜にしたことに加えて、しっかりとした剛性の車体があり、その下で前後のサスペンションがよく働いている。より排気量が大いクラスのバイクのようなフィーリングがある。

 

それはコーナリングでも感じられて、ステップ荷重による反応がよく、減速後にリーンさせていくと自然にハンドルが切れて安定して旋回。ペースを上げ、タイヤが少し心もとなさを見せても、その状況が伝わり、唐突な破綻にはならない。タイトコーナーで、可倒式ではないステップにのせたブーツの先が路面に接触するようにリーンさせても大きな問題はない。こうなれば走るのがとても楽しい。適度なスポーティさで自由自在。ハンドルウエイトの最適化でクイックすぎない落ち着いたハンドリングにしたと聞いた。前上がりのシート形状は座る場所を迷わないガイドがあって、そこに座るとシート先部分をニーグリップできる。

 

HONDA DAX125(2022年モデル)走行

 

兄弟車といってもいいモンキー125と違うのは、クラッチ操作が必要な5速トランスミッションではなく、自動遠心クラッチを使った4速トランスミッションだというところ。ここは購入候補としている人には気になるところ。スーパーカブシリーズと同じ操作。2016年に5万3000台だったホンダの原付二種モデルの出荷台数が、2021年には7万3000台にまで増えた中で、小型AT限定二輪免許を取得してデビューする人も増加したという。自動遠心クラッチはATで乗れるメリット。個人的には踏み込むとクラッチが切れてカチャリとギヤが入り、足を離すとクラッチがつながる自動遠心クラッチの乗り方は好きだ。だからダックスでクラッチ操作したいなんて少しも思わなかった。それがなくても走るおもしろさは変わらない。

 

ただし、一つだけ、ぜひ5速がほしいと思った。モンキーやグロムの3速〜4速でキビキビ加速して、5速でクルージングする使い勝手のよさを知ってしまうと、どうしてもそれがほしくなる。もちろんダックス125は4速で何の問題もない。4速に入れたままスロットルを開けてもノロノロと進みだして速度を徐々に上げるフレキシブルなところは、80年代に私が初めてスーパーカブに乗ったときから変わらない。1速の登坂能力も不満はない。

作り手のこだわりで実現したダックス“らしさ”

とても重要な項目なので最初に力説するか、最後のまとめにするか悩んだ末に、後を選んだ。この新しいダックスがちゃんとダックスだと思わせるのは、スチールプレスフレームを使ったからだ。笑いながらも“二度とやりたくありません”と開発に携わった人がいうほど苦労したが、開発初期からアイデンティティとして大切にし、コストや生産のことをクリアしながら情熱を込めて実現したことに拍手を送りたい。これじゃなきゃ絵に描いた餅みたいな気持ちがどこかに残ったかもしれない。機能とスタイルを両立させた構成だけでなく、新しい人にはそのマテリアル感が新鮮であり、古い人にはノスタルジック。これがダックス125のスタイルであり、ハートだ。

実現が難しくて開発途中でパイプフレームに樹脂外装を付けた仕様の検討も指示されたが、開発陣が情熱を持ってスチールプレスフレームを実現した。左右のパネルと底面のパネルを溶接で組み合わせた3ピース構造。上から見える溶接した部分の仕上げにもこだわった。これはスケッチからクレイモデルを作らず、すべてをコンピューター上で検討したという

次ページ:HONDA DAX125のディテールを紹介!

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Hondaお客様相談センター
電話番号
0120-086819
URL
https://www.honda.co.jp/motor/

※記事の内容はNo.246(2022年9月24日)発売当時のものになります

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