スクーターが得意な台湾のメーカーSYMから新たに日本市場に送り込まれるのは、124.6㏄の水冷4バルブエンジンを搭載したジェットX125。ホンダのPCXが隆盛を極める原付二種スクーター界に殴り込みだ!
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
目立ってナンボのエッジの効いたスクーター
SYM JET X125のスタイリング
スクーターに見えないフロントマスクが◎
車体を見た瞬間“こいつのライバルはホンダのPCXだな?”と印象付けられる製品コンポーネント。それでいてフロントマスクなどの細部に目をやれば、国産メーカーには決して真似できない凝ったデザインが採用されている。バイク乗りが好きそうなエッジを効かせたデザインというか“他人と同じモノじゃおもしろくないじゃん!?”というヤンチャな遊び心がそこかしこからあふれ出ている。
試乗前に気になったのは、ホイールベースの長さだ。数値的には1350㎜とそれほど長いというわけではないのだが、低く構えたデザインの要素もあるのだろう。ちょっと車体が長めに感じるのだ。そんなデザイン的な要素もあって、勝手に鈍重な乗り味をイメージしてしまったのだ。ところが、乗ってみたらまったく逆。むしろ軽快な部類のハンドリングだった。
極低速のスピード域ではもちろんだけど、ちょっとスピードを上げてもクイックなハンドリングのキャラクターは変わらない。どうやらこれは細身のリヤタイヤからきているようだが、ヒラヒラとなかなかスポーティな走りが楽しめるのである。
こうなると“リヤタイヤのエアボリュームが足りずに快適性が…?”なんてアラ探しを始めてみたのだが、とくに気になるような挙動もない。速度を上げて巡航域に達すれば、前後大径14インチホイールのおかげで車体はピシッと安定しはじめる。車体に関しても、この大径のホイールに合わせてきっちり設計されているようで、速度を上げていったときもなかなか快適なのだ。
一方の低速域は、細身のタイヤとしなやかな車体のおかげで、非常にクイック。Uターンも楽々と決められる。ここまでしなやかな車体でいいのなら“センタートンネルをこれほど持ち上げる必要ないんじゃないの? もっと低い方が乗り降りしやすいじゃない!”と、スクーターはフラットフロア至上主義の僕は思ってしまうのだが、まぁセンタートンネルが高い方がデザイン的によりスポーティに見えるのは間違いないからね。
エンジンは、最大トルク11.5N・m/6500rpmと、PCXにわずかに劣るものの、最高出力は9.3kW/8000rpmと、PCXを0.1kW上回る。走らせた印象もまったくそのままという感じ。フィーリングもどことなくPCXに似ているものの、ジェットX125の方が回転で稼いで走るような雰囲気があり、幹線道路を走っても、四輪をリードできるような性能はきっちり持っていた。
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※記事の内容はNo.239(2022年2月24日)発売当時のものになります