HYOSUNG GV300S BOBBER

HYOSUNG GV300S BOBBER(2022年モデル)走行

韓国メーカーのヒョースンから、普通二輪免許で乗れる水冷Vツインエンジンのボバースタイルクルーザーが日本市場に投入された。そのGV300Sボバーにさっそく乗ってみたので感想を詳細に報告する。

文:濱矢文夫/写真:南 孝幸

U4Vツイン搭載のクルーザー

HYOSUNG GV300S BOBBERのスタイリング

レブル250の手ごわいライバルとなりうる!

車名に“ボバー”と入っているとおり、低い車体に小ぶりのフェンダー、太い小径タイヤなどで前後を短くした、最近流行のボバースタイルになっている。このヒョースン製クルーザーの大きな特徴は、295.9㏄Vツインエンジンを搭載していることだ。少し前まで、国内メーカーからも400㏄以下のクラスにVツインクルーザーはあったのに、いつの間にかなくなってしまった。だから、ボバースタイルだけでなくVツインエンジンを積んでいることは、大きなアピールポイントである。

 

東京モーターサイクルショーで実車を初めて見てから、ずっと乗りたいと思っていた。ほら、今はホンダのレブル250が売れているじゃない。レブル250が好きな多くの人は、コンパクトな車体と足つきのよさに魅力を感じているはずだ。このGV300Sもそれを満たしている。モダンスタイルのレブル250とは違うが、個人的にはクラシカルなGV300Sの見た目は負けていない印象。だから、これでレブル250と同じように乗りやすかったら、強力なライバルになりうる。ディテールの仕上げもよく、作り込まれているという感想だ。

 

ということで念願かなっての実走だ。タイヤが太くて分厚いながら、フロント16インチ・リヤ15インチの小さいホイール径で、12.5ℓで存在感のあるティアドロップ型燃料タンクでも車体全体が低い。シートは低さだけでなく、十分な座面の広さがある。座ると、お尻がピタっとハマって安定したフィット感。人が乗っていない状態で上から車体を押すと、リヤサスペンションは硬いけれど、腰をおろすとショックユニットがライダーに向かって角度がついていることもあり、じんわり沈んで硬さなんてどこへやら。

スタイルだけでなく走りも抜かりなし

HYOSUNG GV300S BOBBER(2022年モデル)走行

 

Vの字になっているシリンダー間の角度が60度の水冷OHC・Vツインエンジンは、吸気2・排気2の4バルブ。クラッチをつないで走り出したときからしっかりとしたトルクで加速して、そのフィーリングが回していっても続く。大雑把でだるいところはなく小気味いい。レスポンスのいいスポーティさもある。その功罪として、回転が上昇するとスロットル操作に対してのトルク反応がやや機敏なので、街中でも発進したら早めに3速〜4速くらいに入れて、回転数の低いあたりで乗る方がクルーザーっぽい楽な巡航をしやすくなる。低回転域からしっかりと力があり、普段より1段、2段高めのギヤでも息切れせずに流して走れる。そうやって乗ればまったく不満にはならい。ただ個人的には“アクセル全閉から全開になるまでの角度をやや大きいものにしたロースロットルの方が、ビギナーやそれに近い人でも加速の爽快さとイージーなコントロールを両立させやすいのでは?”とちょっと考えた。Vツインエンジン特有のビートとサウンドもちゃんとあってクルーザーらしい雰囲気になれる。後輪をなめらかに回してスムーズに押し出していく気持ちよさもある。

 

エンジンは横積みで前から見たら腰上の幅が単気筒エンジンとほとんど変わらないから、車体は細身だ。そしてエンジン前後長が短く低重心。低速をキープしつつトコトコとゆっくり走行でもフラフラすることなく安定している。太い小径タイヤによるハンドリングはクセがありそうと予想していたが、そんなことはなかった。リーンしていくときの動きは自然で、急に倒れたり、倒れるのを嫌がったりしない。バイクが曲がるのに重要なセルフステアが速度に応じて自然に入り、気持ちよく駆け抜けられる。ブレーキの性能も十分。右側にあるエアクリーナーケースが出っぱっていて、ニーグリップ時の右足はそれをふくらはぎで押さえるかっこう。それでもホールドできるから問題なし。

 

ここまで低い車体で、イスに座るような無理のない姿勢になるミッドコントロールで、そこそこのリーンアングルを確保しているのは高評価。スポーツモデルほど深くはないのだが、旅先のワインディングでスムーズに楽しめるくらいはある。スタイルだけで終わらず、各機能もちゃんとして走りを楽しめる仕上がりをほめたい。

インプレッション by スタッフ・カトー

余裕のある走りが楽しめる!

HYOSUNG GV300S BOBBER(2022年モデル)走行

以前GV125Sボバーに乗ったことがある。その排気量もあって、若干物足りなさを感じた。しかし295㏄へと排気量がアップしたことで、車格は変わらないが、乗りやすさと快適性は格段に向上したと実感。クラッチミートするとスロットルを意識的に大きくひねらずとも力強く走り出し、スロットルを開けるとスムーズに加速してくれる。またライディングポジションは小柄なライダーでもなじみやすいのがうれしいポイント。ステップがミッドコントロールなので、シフトチェンジやリヤブレーキの操作がしやすく、コーナリング中の踏ん張りも利きやすいのは好印象。ハンドルはボバーらしく幅広く、若干遠く感じるものの、操作性には一切問題なし。

次ページ:HYOSUNG GV300S BOBBERのディテールと足つきをチェック!

※記事の内容はNo.244(2022年7月23日)発売当時のものになります

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