YAMAHA TMAX560 TECH MAX

YAMAHA TMAX560 TECH MAX(2022年モデル)走行

スポーティなスタイルと運動性能で新しいビッグスクーターの世界を作ったTMAX560がフルモデルチェンジ。スタイルを一新するとともにスマートフォンと連携可能なメーターなどを採用。足まわりの軽量化によって乗り味も大きく変化している。

文:横田和彦/写真:関野 温

スポーティさがさらに向上!

スポーツスクーターの名を不動のものに!!

初代TMAXがデビューしたのは2001年のこと。スポーティなスタイルと秀逸なハンドリング性能はビッグスクーターの常識をガラリと変えた。従来のラグジュアリーさを前面に押し出した他社のビッグスクーターとは異なるコンセプト“オートマチックスポーツ”という新しいカテゴリーを確立。先進性に満ちていて魅力的だったことから、個人的に購入しようかと真剣に検討した1台でもあった。

 

TMAXは欧州を中心にヒットモデルとなり、20年以上にわたってモデルチェンジを繰り返してきた。その間、ユーザーからの要求に応えてハイクオリティでラグジュアリー感が強まったモデルになったこともある。その落ち着いた乗り味に時代の流れを感じたものだ。しかし今回のモデルチェンジの内容を見て心がざわついた。新型のMT-09などに装備された軽量なスピンフォージドホイールが採用されたからだ。あの軽快感が盛り込まれたのかと思うとワクワクしてきたのだ。

 

YAMAHA TMAX560 TECH MAX(2022年モデル)7:3ビュー

 

まずは車両を眺めてみる。最初に感じたのは“シャープになった”ということ。二眼のLEDヘッドライトを中心としたフェイスまわりの造形がこっていて、スピード感あるデザインになっている。ボディラインも削ぎ落とされ引き締まったイメージに。アスリートのような雰囲気がイイ。まさにスポーツスクーターの正常進化型だ。

 

とはいえ排気量が561㏄もあるビッグスクーターだ。大柄なので押し歩きのときは重量感があり、軽々ととはいかない。スマートになったとはいえスペック上の車重は従来モデルと同じ。今回試乗したテックマックスは装備を充実させているのでスタンダードモデルより2㎏重い。追加されているのはグリップ&シートヒーター、電動式スクリーン、クルーズコントロールなど。ちなみに両車の価格差は18万7000円ある。それだけの内容差があるかのチェックもしてみたい。

 

またがると大型スクーターらしいボリュームを感じる。フットスペースが前後に拡大されているので、足の置き場は余裕が増した。スイッチ類が増えたハンドルを握りスタート。

オートマチックスポーツの正常進化モデル

YAMAHA TMAX560 TECH MAX(2022年モデル)走行

 

並列2気筒エンジンはパワフルさを継承。アクセルに対する反応がより鋭くなり、スクーターとは思えない中間加速力を発揮する。このレスポンスと俊敏さがスポーツスクーターたるゆえんでもある。好感を持ったのはハンドリング。荷重移動などライダーの動きに対してリアクションがいい。軽量化されたホイールや最適化されたサスペンションセッティングの効果か。寝かし込んでからの安定感も高く、ギャップ通過時の挙動も高級セダンのような趣き。スポーティさとハイグレード感がうまくバランスしていると感じた。

 

高速道路でもそのフィーリングは変わらず、ビッグスクーターらしい安心感に包まれたクルージングが可能。テックマックスにだけ装備されている電動式スクリーンとクルーズコントロールは好印象。中でもクルーズコントロールは体力のみならず精神的なストレスも軽減されるので、一度使うと手放せなくなる。また冬場に威力を発揮するグリップ&シートヒーターも快適さを知ると欠かせない存在だ。個人的にはすべてのバイクにグリップヒーターが装備されていてもいいと考えているので、シートヒーターまであるテックマックスには拍手を送りたい。スタンダードに追加できない装備があることを考えると、1年中乗る人や長距離を走る機会が多い人などはテックマックスを選ぶのが吉だろう。

 

低く抑えられつつもエンジンの回転数が上がるのにともない高揚感が高まるエキゾーストノートは、TMAXシリーズの特徴の一つ。内燃機関の先行きがハッキリしない時代ではあるが、今はその個性を満喫したい。

 

足まわりの改良などによってハンドリングがさらに軽快になったスポーツスクーターは、操っていて楽しいの一言。ワインディングを走るとシフト操作がないためブレーキングやライン取りに集中できる。そしてそれはマニュアルシフトモデルとは異なった新鮮な充実感となる。これがオートマチックスポーツの走りなのかと納得する瞬間だ。各部がアップグレードされた新型TMAX560テックマックスは、ヤマハが長年かけて築き上げてきたカテゴリーの新たな1ページを刻むモデルだと確信できる完成度だった。

インプレッション by 淺

大型ツアラー的キャラはメガスクーターの究極形か

YAMAHA TMAX560 TECH MAX(2022年モデル)走行

私見ではあるけれど、TMAXシリーズは初代が一番スポーティで、代を重ねるごとにラグジー方向にシフトしていったように思える。豪華で乗り心地もよく装備も快適、でも重く大きくなって振り回す楽しさがスポイルされたというか…。その点、新しいTMAX560は原点回帰というか、基本路線はラグジーだけどエンジンパワーの出方にしてもハンドリングにしても元気がいい。攻めても楽しい大型ツアラーっぽい乗り味だ。これがメガスクーターの向かう先なのか? 確かにATと長距離ツーリングって相性いいよね。ところで、クルーズコントロールが最高に便利で、すっかり魅せられてしまった。

次ページ:YAMAHA TMAX560 TECH MAXのディテールと足つきをチェック!

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

※記事の内容はNo.245(2022年8月24日)発売当時のものになります

この記事が気に入ったら
いいね!とフォローしよう

タンデムスタイルの最新の情報をお届けします