F.Bモンディアルは、1948年創業の歴史あるイタリアのバイクメーカー。現在は設計とデザインをイタリアで行ない、生産拠点を中国に置いて、中・小型モデルを生産している。その1台が、このHPS300だ。
文:淺倉恵介/写真:関野 温
過去と未来が交錯するアヴァンギャルドなフォルム
F.B MONDIAL HPS300のスタイリング
イタリアの古豪が復活その走りに興味津々!
イタリアの老舗メーカーであるFBモンディアル。これまで何度かのブランド消滅と復活を繰り返してきたが、現在の体制は創業者一族が関わっているとのこと。それはさておき作るバイクがカッコいい。今回試乗したHPS300は、世界的に大流行中のネオレトロ・ネイキッド。スポーツバイク的な車体構成になっているが、ブロックパターンタイヤを装備して、これまた人気のスクランブラーテイストも取り入れられている。人気要素全部載せ?
似たモノのない個性ああふれる造形と軽快な走り
さて、このバイク。ハンドルがチョットおもしろい。スポーツ志向のネイキッドカスタムに使われるような低めのバーハンドルを、上下逆にして取り付けたような形状。幼少期に愛車のチャリンコをスパルタンにしたくて、ハンドルをひっくり返した経験はないだろうか?(ないか…) あったら、そんな感じだと思ってほしい。
で、そのハンドルの具合がなかなかに好感触。最近のスーパースポーツのように低すぎず、ライダーに近い位置にあって絞りとタレ角もほどほど。上半身がツラくない範囲で軽く前傾するので、スポーティよりの万能ポジション。けれど、ステップがいただけない。位置が前寄りで高い。ハンドル位置とバランスさせるなら、もっと後方にあった方がいいと思う。
ここで触れないわけにはいかないのが、右足とマフラーの干渉。このバイクは右二本出しのアップマフラーが装着されている。なんともカッコよく、モンディアルのデザインアイコンとも呼ぶべき部分なのだが、ちょうど足に当たってしまう。ヒートガードを装備しているので、熱くて困るようなことはないのだが、どうしても右足が外側に広がってしまう。
この車両には右側ステップを外側にオフセットするパーツが装着されていたので、ステップを踏むこと自体に問題はないが、慣れないうちは右足の広がりが気になった。まぁ、逆にいえば、慣れてしまえばたいして気にならないのも事実。
まず、高速道路を走ってみたところ、直進安定性は及第点。ただ、ライダーの入力に対しては敏感で、意図的にステアリングに力を加えたときは落ち着きのない挙動もみられた。6速100㎞/hでの走行時、エンジンの回転数は6000rpmといったところ。
エンジンからは全域で硬質な振動が伝わってくるが、意外と不快には感じない。鼓動を感じるというエンジンでもないのだけれど、これなら“味の範疇かなぁ?”と思えた。まぁ、このあたりは個人的嗜好が強く反映する部分なので難しいところだが、少なくとも自分は嫌いじゃない。あと、高速道路を小一時間走っても、手がしびれたりはしなかった。
ワインディングに入ると、これが楽しい。ハンドリングはニュートラルで弱アンダーという基本に忠実なもの。軽い車体にモノをいわせてブンブン振り回せる。エンジンのパワー特性は、6000から7000rpmのあたりで少し中だるみを感じる。その代わりではないが、1万rpmを超えたレブリミット直前でもう一伸びし、これがまた気持ちいい。
サスペンションはスプリングが勝っている感じで、もう少しダンパーが効いてほしい。荷重がかかった状態でギャップを踏むと、タイヤが跳ねる感触があった。ただ、これは装着タイヤのせいもあるかも。グリップ感も弱め。なにせブロックパターンだから。スクランブラーテイストには必須アイテムだが、こうしたネガが出るのは否めない。スポーツ志向のオンロードラジアルタイヤを履かせて、もう一度走らせてみたいと思った。
と、細かい部分で気になる箇所はなくもないが、軽快な走りは楽しいし、何より唯一無二のスタイルがステキだ。“細けえコトはいいんだよ! 自分はカッコよく走りたいんだ!”的なライダーなら、たまらない1台だと思う。だってこのバイク、本当にカッコいいじゃないか!
インプレッション by 横田
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※記事の内容はNo.245(2022年8月24日)発売当時のものになります