免許区分:普通二輪免許
ハスクバーナモーターサイクルズ同様、KTM傘下にあるガスガスも、KTMとエンデューロモデルを共用している。ここでは2ストロークと4ストロークのキャラクターの違いを見ていくことにしよう。
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
2ストは4ストの倍近いパワー!
GASGAS EC250Fのスタイリング
排気量はほぼ一緒だが倍近いパワーの差を感じる
近年、ナンバー付きの市販車において2ストロークエンジンは排出ガス規制によってほぼ絶滅しているので、まず4ストロークと2ストロークの機構の違いからおさらいしよう。4ストロークはピストンの上下に“2往復”する間に、吸気→圧縮→燃焼→排気の1サイクルを行なうのに対し、2ストロークは“1往復”でサイクルが完結する。つまり、エンジンを5000rpmまで回した場合、4ストロークは回転数の半分の2500回しか燃焼していない。一方、2ストロークはその倍。エンジン回転数と同じ5000回の燃焼を行なうことになる。2ストロークは4ストロークに比べて圧縮比が低く、1発あたりの燃焼で発生させるパワーは低くなる傾向にあるものの、それでも4ストロークの倍数の燃焼を行なえば、それだけエンジンの吹け上がりも早く、ハイパワーになる…、というのが2ストロークの最大の特徴だ。
今回のEC250FとEC300の試乗でもその違いをもろに感じることになった。排気量は4ストロークのEC250Fが249㏄で、2ストロークのEC300が293・2㏄。もともと約44㏄も排気量が大きいことに加えて、燃焼が倍なのだから、EC300の方が圧倒的にパワフル。
燃焼サイクルが早ければ、それだけエンジンの吹け上がり具合も早く、スロットルに対するレスポンスがとにかくピーキー。よく“2ストロークは脳ミソが置いていかれるうような加速”なんて表現をされるが、倍の速度で吹け上がるのだからあたり前なのだ。とくにガスガスのエンデューロモデルは、車体を共有するハスクバーナMCやKTMよりも総じてフケが鋭く、伸び上がるような加速のキャラクターが与えられているだけに、なおさらEC300のエンジン特性はピーキーだと感じる。
正直いうと、EC300でウッズセクションやガレ場のようなテクニカルな場面を走ると、途端にパワーを持て余してスロットルが開けられなくなる。まぁ、これはマシンが悪いわけではなく、ウデの問題で僕がEC300を乗りこなせてないだけ(笑)。単純比較はできないが、前項で試乗したハスクバーナモーターサイクルズの4ストロークFE501の方がはるかに扱いやすいと感じたくらいである。
それに比べて4ストロークのEC250Fのなんと扱いやすいことよ(笑)。決してパワー不足というワケじゃないのだが、スロットル操作に対するエンジンのツキも2ストロークに比べれば随分穏やかで、スロットルワークに余裕が出る感じ。車名の数字はEC250FとEC300で“50”しか違わないものの、2ストロークと4ストロークのエンジン機構の違いで、パワー的には倍近い開きが生まれてしまっているような印象を受けた。
GASGAS EC250Fのディテール
GASGAS EC250Fの足つき&乗車ポジション
GASGAS EC250Fのスペック
- 全長×全幅×全高
- ―×―×―(㎜)
- 軸間距離
- ―㎜
- シート高
- 960㎜
- 車両重量
- 約105.6㎏(燃料除く)
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストローク単気筒・249.9㎤
- 最高出力
- ―kW(―㎰)/―rpm
- 最大トルク
- ―N・m(―㎏f・m)/―rpm
- 燃料タンク容量
- 8.5ℓ
- タイヤサイズ
- F=90/90-21・R=140/80-18
- 価格
- 130万4,000円
CONTACT
- 問い合わせ先
- GASGAS MOTORCYCLES JAPAN
- 電話番号
- 03-3527-8885
- URL
- https://www.gasgas.com/en-jp.html
※記事の内容はNo.247(2022年10月24日)発売当時のものになります