ほんの少し時をさかのぼれば、驚くほどのラインナップで盛り上がりをみせていた50㏄クラス。自転車から原付にステップアップするのは大人への階段を数段飛びで一気に駆け上がるようなワクワク感があった。高校生キッズあこがれの乗り物であり、仕事の移動手段であり、主婦の買い物の足でもある。そう、老いも若きもみんな大好き50㏄! そんな懐かしのカテゴリーに存在したモデルたちを、いま一度振り返ってみよう。Love Fifty!!
ギョロ目+ホネホネ+ファットタイヤの斬新なフィフティ
ズーマーが登場したのは2001年5月のこと。平成28年排出ガス規制をクリアするのが難しいことから2017年に生産終了となるまで、マイナーチェンジやカラーリング変更を受けながら16年もの間継続販売されており、日本の市場の中ではロングセラーモデルといってもいいだろう。このズーマー、ホンダの若手クリエイティブ集団“Nプロジェクト”が手がけたモデルだというのは有名な話。車名は造語で、所有する人のライフスタイルを拡大(ZOOM)してくれるツールとして、また既存のスクーターの概念を拡大する、という意味で名付けられたそうだ。
車両の特徴は、何といってもそのボディデザインだ。フロント部には箱のような形状のカウルを採用しているが、リヤまわりはほぼフレームのみでスッカスカ。まさに従来のスクーターの概念にはあてはまらない、まったく新しいスタイルといっていいだろう。
今回紹介するモデルは2005年からタイプ追加された“デラックス”。ホワイトシート採用やメタリック塗装をほどこすなど、スタンダードに比べゴージャスな雰囲気となっている。
HONDA ZOOMER DELUXE(2005)の主要スペック
- 全長×全幅×全高
- 1,860×735×1,025(㎜)
- 軸間距離
- 1,265㎜
- シート高
- 735㎜
- 車両重量
- 84㎏
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークOHC単気筒・49㎤
- 最高出力
- 3.6kW(4.9㎰)/8,000rpm
- 最大トルク
- 4.5N・m(0.46)/7,000rpm
- 燃料タンク容量
- 5ℓ
- 燃費(30km/h定地走行テスト値)
- 75㎞/ℓ
- タイヤサイズ
- F=120/90-10・R=130/90-10
- 発売当時価格
- 20万4,750円(スタンダードは19万9,500円)
ホンダの“Nプロジェクト”って?
Nプロジェクトとは、すでにバイクファンである人やベテランライダーではなく普通の若者をターゲットとし、若者のライフスタイルに合う魅力的な製品を研究・開発しようと結成された集団“NEWプロジェクト”の略。本田技術研究所 朝霞研究所の若手開発者で構成されており、まさに“若者による若者のための”物づくり集団だったのだ。このプロジェクトの手により2001年から約4年の間に市販車5モデルが開発されたほか、コンセプトモデルも発表された。いずれも一般的なバイクのデザインとは一線を画したチャレンジングなスタイルのモデルばかりで、今見てもそのビジュアルはかなり斬新。現在はすべて絶版だが中古車の人気は高く、価格も年々上昇しているぞ。
110㏄サイズの派生モデル・ZOOMER-X
2013年、ホンダが原付二種クラスに一挙6台(ディオ110、グロム、ズーマーX、CBR125、リード125、クロスカブの6台)をデビューさせたうちの一台がズーマーXだ。2012年よりタイにて先行販売されていたモデルの国内リリースで、Nプロジェクトではないがズーマーと同じく若者がターゲット。遊び心に満ちた斬新なデザインが特徴だ。ボディは肉付きのいい角張ったスタイルとなっているものの、シート下のフリースペースは50㏄モデルを踏襲していた。4年ほどの間ズーマーとズーマーXが同時ラインナップしていたが、2016年、50㏄に先立って生産終了となっている。
※本記事はNo.061(2007年4月24日発売)に掲載された内容を再編したものです
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