ハーレー・ダビッドソン2023モデルにおける注目株が新型FXBR“ブレイクアウト117ˮだ。ハーレー最大排気量のエンジンと240/40R18の極太リヤタイヤを履いた迫力のチョッパースタイルを味わった感想をお伝えしよう
文:濱矢文夫/写真:関野 温
スタイル&走りの仕上がりがGOOD!
HARLEY-DAVIDSON BREAKOUT117のスタイリング
大排気量と車両重量を忘れてしまう乗りやすさ
ハーレー・ダビッドソン史上最大排気量の新しいブレイクアウトが誕生した。“ミルウォーキーエイト117”と名付けられた空油冷式OHV4バルブVツインエンジンの排気量は、なんと1923㏄!? あともうちょっとで2リッターである。もう四輪と変わらない排気量だ。ちなみにネーミングの117はキュービックインチ(cu)で、アメリカで使われる排気量表示だ。日本で使われる㏄=約16.4cuなので、ハーレー・ダビッドソンに興味がある人は覚えておこう。
その排気量に萎縮する人もいるかもしれない。だが恐れることなかれ! 普通に乗りやすいマシンだから。いろいろなバイクを乗ってきたベテランだからそんなことを言えるんだと思うでしょ。いやいや、そうじゃない。低速でトロトロと走っても低重心なのが幸いして、安定していてフラフラとならない。アクセルを開けると310㎏の車両重量なんてものともせずに低回転域からぐんぐん加速する分厚いトルク。それがドカンといきなりきたら驚くけれど、アクセルの開度と比例するようにギクシャクせずなめらかに出るから、加減速が多い混雑した街中でもスムーズに走り回れる。
最高出力=103㎰・最大トルク=168Nmの数値で、アクセルをワイドオープンすれば後ろから蹴っ飛ばされたような加速をするけど、意図的にしなければコントロールは楽。高いギヤを使って、エンジン回転数を落としてのクルージングもいいし、積極的に右手をひねって回転を上げつつ加速を楽しむのもいい。シフトチェンジのタッチのよさと確実さも含めて、実にうまくまとめ上げられたエンジンだ。
洗練された印象はそれだけに終わらない。しっかりと効くフロントブレーキを強くかけての急な減速でもフレームと足まわりはしっかりしていて、速度を上げていくおもしろさもちゃんと味わえた。240㎜とそのへんのミニバンより太い18インチのワイドなリヤタイヤを履いているが、左右にリーンさせていく動き出しで引っかかったり、重すぎることはなく、レーンチェンジなどでのフットワークは、想像した以上にクセがない。リヤタイヤが倒れ始めて21インチのフロントタイヤがそれに付いてくるような感じ。実にクルーザーらしい直進安定性のいい穏やかなハンドリングである。
コーナリングでも手を焼くことはなく、バイクを寝かせていくとハンドルが内側に切れていくセルフステアは速度が遅くても自然だ。コントロールしやすいエンジン特性と低重心の安定感もあってUターンも積極的にやれる。リーンアングルは浅めだけれど、交差点を普通に曲がっていけるだけは確保されている。
1923㏄という排気量の大きさと、310㎏という車体重量と、低くて長い見た目から、乗りにくそうと思ったなら、それは思い違い。一般的なバイクと比べると少し直立したがるが、逆に言えば、それがスタビリティのよさにつながっている。
“自分に運転できるだろうか?”なんて心配することなかれ。個人的にはミドルクラスを普通に乗れる人なら、困るシーンは少ないと思う。それほど特別な運転テクニックはいらない。40㎞/hからセットできるクルーズコントロールを働かせて、生命感のあるはっきりとした鼓動と、低く太い音に包まれて風を受けながら走るのが実に気持ちよかった。排気量と車重を忘れてしまうほどに。
IMPRESSION by 吉田
“もうこのままでいんじゃね!”と思う完成度
ハーレー・ダビッドソンを所有したことはない。ただカスタム好きの自分が買ったら、いろいろとイジるだろうと思っていた。国産スポーツモデルと違ってパフォーマンス面ではなく、主にドレスアップになるが。そうすると新しくなったブレイクアウトは、工場出荷状態で“手を加えるところがないのでは?”と思うほど、完成度が高い。やるとしたらタンクとテールカウルを塗装するくらい。車両価格は300万円と決して安くはないが、最初からカスタム感ムンムンだから、追加で手を加えなくてもいいことを考えれば、意外にリーズナブルと言えるかも。
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※記事の内容はNo.251(2023年2月24日)発売当時のものになります