HONDA ADV160

HONDA ADV160(2023年モデル)走行

アクティブなライダーに支持を得ていたADV150は、スクーターというよりATアドベンチャーモデルといった方が適切だ。そんなADV150がモデルチェンジ。車体とエンジンを一新したADV160で街に飛び出した。

文:栗栖国安/写真:関野 温

さらなる進化をとげより遠くまで快適に!

HONDA ADV160のスタイリング

力強くなったエンジンでゆとりある走りを享受

“アウトドア臭がプンプン漂ってくるなぁ”というのが2019年に登場したADV150と、初対面したときの感想だ。バイクはもともとアウトドアな乗り物なのだから、アウトドアっぽいなんて表現はおかしいのだけど。“限界を超えていく都会の冒険者”をコンセプトに生まれたADV150は、スクーターの概念を打破した存在だった。

 

コミューターとして使い勝手がいいだけじゃなく、ツーリング、それも林道を走るようなオフロードツーリングにも出かけたくなる装備と雰囲気を持ち合わせている。最近はキャンプツーリングがはやっているが、まさにそんな用途にピッタリのモデルだったといえるのだ。そのADV150が登場から3年を待たずにモデルチェンジ! はたしてどのように進化したのか、期待を胸に走り出した。

 

HONDA ADV160(2023年モデル)

 

パッと見の印象は大きく変わらない。面構成のボディデザインはヘビーデューティなスタイルだ。しかしよくよく眺めてみると、ボディを構成するカウルのデザインは異なっているし、2段階に高さ調整できるウインドシールドも大型化されている。そしてシートにまたがってみると、明らかに足つき性がよくなっている。150のシート高が795㎜だったのに対し、160では780㎜になったのだ。わずか15㎜の違いだけど、乗降性や取りまわし性が向上しているのは確か。

 

外見からではわからないが、フレームも新設計されている。おそらく剛性バランスを高める方向で見直しているはずだ。まぁ、従来の150でもとくに不満は感じなかったけれど、進化してくれることは歓迎だ。

 

そして、なんといっても最大の変更点はエンジンだ。150と160を並べてよーいドンと走り比べたわけではないので、スペック上で比較すると、ボア×ストローク57.3×57.9㎜で149㏄のADV150のeSPエンジンから、60.0×55.5㎜で156㏄へと排気量がアップしたADV160の新型eSP+エンジンは、出力・トルクともに高まっていて、当然ながらその分ゆとりある走りができるようになっているのだ。街中を走らせた感じでは発進加速に不足なし。高い機動性を発揮してくれた。たとえば高速道路をクルージングする際にも余裕が増しているはずだ。気になる振動も発生していなかったので、ツーリングでの快適性が高まっているのは確かだ。

 

新たにホンダセレクタブルトルクコントロールを採用しているのもポイント。滑りやすい路面上を走行する際に大きな安心感を提供してくれる。またこの機能はメーター前方のスイッチでオン/オフの選択ができるので、オフロードをアクティブに走りたいライダーの要求にも応えてくれる。

 

サスペンションはフロントが130㎜、リヤが110㎜のストローク量を確保されている。今回はオフロード走行をしていないのでなんとも言えないが、少なくとも舗装路を走っている分にはしっかりと衝撃を吸収してくれ、不満を感じることはなかった。

 

HONDA ADV160(2023年モデル)

 

街中での快速モデルといえば、原付二種のスクーターがまず頭に浮かぶ。でもこのADV160だってシティスプリンターとして活躍してくれること間違いなし。なにしろ車重は原付二種と大差ない136㎏だし、ボディサイズも著しく大きいわけじゃない。加えてエンジンパワーが大きいのだから、日常ではむしろすぐれているといえるかもしれない。税金や保険の面では負担が大きいけれど、高速道路を走行できるぶん、ツーリングで行ける範囲が広い。文字どおりアドベンチャーツーリングが楽しめる要素が大きいのだ。シート下のラゲッジスペースに旅の荷物を収納してロングツーリングに出かける。キャンプ道具を積んで自然の中に分け入ってみる。ADV160にはそんな旅を手軽に楽しませてくれる素養が十分にある。モデルチェンジによって力に余裕ができた分だけ、もうちょっと遠くまで一緒に走ってみたくなってしまった。

次ページ:HONDA ADV160のディテールを紹介!

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Hondaお客様相談センター
電話番号
0120-086819
URL
https://www.honda.co.jp/motor/

※記事の内容はNo.252(2023年3月24日)発売当時のものになります

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