HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIAL

HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIAL(2023年モデル)走行

2022年に国内販売を開始したナイトスター。水冷60度Vツインのレボリューション・マックス975Tエンジンを搭載し、新時代のスポーツシリーズとして話題になった。2023モデルで新たにナイトスター・スペシャルが登場。さっそく乗ってきた。

文|濱矢文夫/写真:増井貴光・吉田 朋

コンパクトでもハーレー・ダビッドソンらしい味

HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIALのスタイリング

より魅力がアップしたナイトスターの新顔

やはりコンパクトだ。ハーレー・ダビッドソン(以下=HD)というと、未経験の人はイメージとして大きくて重い印象をもっていそう。ところが、現在のHDのラインナップの中でもっとも排気量が小さい、975㏄のレボリューションマックス975Tエンジンを搭載した、このモデルはそんなことはない。低いシートで足はしっかり届く。スペックの上ではスタンダードのナイトスターから10㎜シート高は上がっていても715㎜。座面の幅、車体の幅で足の伸び方が変わるからシート高を単純なスペックだけで判断をしてはダメだが、715㎜は原付一種スクーターと大差ない数値。またがってハンドルをつかんだ感想もコンパクト。車両重量225㎏は同じような排気量の国産ネイキッドとも大差ない。何を言いたいかというと“かっこいい、乗りたい”と思ったならばビギナーからでも勧められるHDだということ。

 

HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIAL(2023年モデル)

 

長年親しまれてきたスポーツスターのVツインエンジンが、空冷をやめて水冷の、これより排気量が大きなレボリューションマックス1250Tに変わり、スタイルはモダンになった。昔とは違う魅力を得たが、同時にクラシック感はなくなった。このナイトスターは、エンジンに空冷フィンはないけれども、全体のフォルム、燃料タンク風カバーやエアクリーナーカバーなどのディテールに古典の風合いがある。そこが個人的に気に入っている部分。

 

ナイトスタースペシャルでは、ビキニカウルがついて、タンデムシートとステップが追加されているのが、外から見たスタンダードとの違い。乗ってわかるのは、ハンドルクランプの上にある丸いメーターが、そのままTFTのカラーディスプレイになっているところ。ブルートゥースで自分のスマートフォンとつながり、専用アプリでナビゲーションマップなども表示することが可能。二人乗りできることも含めて使い方の幅が広がった。

 

厳しくなる排出ガス規制をクリアしていくために、安定した燃焼が求められる。そうなると空冷より水冷が有利なのは間違いない。ノスタルジックな気持ちはいったん置いといて、地球環境のためにも空冷から水冷に変わるのは正義。そんなDOHC4バルブ60度Vツインエンジンには、ライディングモードやトラクションコントロールシステムといった電子デバイスがつく。回転上昇が軽くて、低回転域から大きなトルクが出てくるというより、自然とアクセルを開け回して乗りたくなるフィール。それでも低回転で流して乗るのを無理なくできるくらいは確保。ただ“力強く押し出す”という言い方はできない。ビッグツインと比べてしまうと、力不足は否めないのは排気量が小さいのだからしょうがない。だけど、がまんするような部分を出さずに、低回転から高回転まで全体がうまくまとまっている。“スポーティで楽しいな”と思いながら乗れた。

 

HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIAL(2023年モデル)走行

 

ボタンひとつで簡単に変更できるライディングモードは、自分で好みにセットできるモードの他に、プリセットでスポーツ・ロード・レインがあり、当然ながらスポーツがもっともレスポンシブルで、キビキビした加速が得られる。街中でもぎくしゃくせずに使いやすく、気持ちいい加速。常時スポーツモードでいいと思った。ロード・レインとモード間には明確な違いがあるから、自分の感性やシチュエーションに合わせて選べるのはメリットだ。

 

もともとクランクシャフトの位置が低く、さらに11.7ℓ容量の燃料タンクがシート下に設置されていることもあって、歩くようにゆっくり走ってもフラフラしにくく安定している。前後サスペンションの印象は乗り心地重視というより伸び縮みの減衰が効いて、飛ばしても路面に追従してくれる仕様だ。“車体はコンパクトでもやや前傾になるな”と思った乗車姿勢は走り出してすぐに違和感がなくなった。しかしながら、身長170㎝の私より10㎝ほど小柄ならもうひと息グリップ位置が近い方がよさそう。

 

踏み込んで車体制御しやすいミッドコントロールのペグなのもあり、操作に対する動きは穏やかながら軽快。フロント19インチ・リヤ16インチのキャストホイールを履いた足まわりや、積極的にエンジンをストレスメンバーに使った車体はしっかりしているし、ブレーキの仕事も十分。不満はリーンアングルが浅いことくらい。交差点でも地面にペグが接触する場合がある。クルーザーとしてならこれでいいが、もっと元気に走りたい私のようなアマノジャクはカスタムでペグの位置をさらに高くしたくなるハズだ。

 

同じような立ち位置だった空冷時代のスポーツスター883とはまるで違うんだけれど、フレンドリーなところやテイスト、というか文化を確実に継承していて、間違いなく他メーカーにはないバイクになっているからおもしろい。流行っているネオレトロとしても強い存在感を放っている。

次ページ:HARLEY-DAVIDSON NIGHTSTER SPECIALのディテールを紹介!

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ハーレーダビッドソンジャパン カスタマーサービス
電話番号
0800-080-8080
URL
https://www.harley-davidson.com/jp/ja/

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