ブリクストンはイギリスのストリートカルチャーを意識して、数々のマシンを生み出している。日本にも2023年から導入が開始。その中の1台である、ビンテージオフロード色の強いフェルスベルグ125XCに乗ってみた
文:濱矢文夫/写真:関野 温
どこでも手の内にある感が◎
BRIXTON FELSBERG 125XCのスタイリング
見た目だけでなく“楽しい走り”がある
フェルスベルグとはドイツのまん中あたりにあるヘッセン州の市で、丘陵の広がる歴史ある街。砂礫の採取跡地としても知られているそう。余談だがディープなハードエンデューロ好きが知っている“エルツベルグ”はオーストリア。なぜフェルスベルグなのかはわからないが、バイクの中身はわかりやすい。
幅広いアップハンドル・アップフェンダー・ショートタンクのデザインは、昔のオフロード車を連想させるクラシックスクランブラースタイル。テールカウルを持たずに、トライアル用とも違うノビータイヤ、蛇腹のフォークインナーブーツなど、昔のテイストがふんだんに盛り込まれている。フロント18インチ・リヤ17インチとフロントのサイズを大きくしているところもスクランブラースタイルを際立たせている要素だ。
シンプルで軽快に動けそうな見た目。そしてその期待を裏切らないフットワークの軽さがある。空冷4ストロークOHC単気筒エンジンは少しざらついたフィールがあるけれど、それをものともせずビュンビュンと上まで回る。最高出力は8・2kWだから約11㎰。そうは思えないほど元気がいいのである。その11㎰のピークパワーを9000rpmで発生させ、1万rpmちょっとまできっちり回し切れるおもしろさ。マニュアル5速のつながりもいい。伸びのあるところをキープしていけば自然と速度が伸びる。物理的に“とても速い”とは言えないけれど、低回転域からクセもなく、高回転まで回して遊べる柔軟性がある。ライダーの気持ちがポジティブになれるユニットだ。
前後のサスペンションはストローク感があり、スピードをたもったまま、スロットルオフだけでコーナーへ突っ込んでいっても、出せるエンジンパワーとのバランスがよく、高性能ではないがへこたれるそぶりもない。見た目に反して舗装路もいけるタイヤで、グリップを突然失うようなところは顔を出さず。コーナリングGでじわじわと滑っていくから怖くない。
いつも言っているが、軽い車体は七難隠す。オフロード向けではなく、舗装路に軸足を置いたストリートスクランブラーながら、ダート林道に入っても車体やサスペンションはたおやかで突っぱねるような硬さがない。その軽さも加わって凸凹した荒れ地でも自分の手の内にある感覚で怖くない。スタイルも含めてプリミティブだけど不足を感じさせない楽しさがある。
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※記事の内容はNo.254(2023年5月24日)発売当時のものになります