モータリストが販売総代理店になっているオーストリアのブランド“ブリクストン”。そのラインナップの中から空冷単気筒エンジンを積んだクラシックスタイルの“クロムウェル250”に試乗した。
文:濱矢文夫/写真:関野 温
New Acoustic Camp 2023の会場で展示します
本記事で紹介しているBRIXTON CROMWELL250は、New Acoustic Camp 2023の会場内バイクエリアで展示します。ぜひ見に来てください。
走る楽しさをしっかりと味わえる
バランスのよさが光るレトロテイストのマシン
シンプルな空冷4ストロークOHC単気筒249㏄エンジンに、スチールのダイヤモンドフレームというオーソドックスな構成。幅広いアップハンドルを装着して、エキゾーストパイプにサーモバンテージを巻き、蛇腹のフロントフォークガード、タックロールシートなどディテールも含め、クロムウェル250はビンテージスクランブラースタイルに仕上がっている。
いわゆる雰囲気系だと思い、走りにはそれほど期待をしていなかったことを打ち明けよう。ところがどっこい。いざ走り始めるとおもしろいんだ、これが。エンジンの最高出力は12.6kWだから17㎰くらいで、最大トルクは16.5Nm。250㏄クラスとしては目覚ましい数値ではない。しかしながら低回転でゆっくりおだやかに流して走ることから、積極的にアクセルを大きく開けて高回転までブンブン回すのも楽しめた。
少しだけフィーリングに雑味があるが、レブリミットまで引っかかることなくスムーズに吹け上がる。ギヤチェンジの感触もよく、気になるところがないまとまりのいいエンジン。タコメーターは1万6000rpmまで表記されており、さすがにそこまでは回らないだろうと思ったら、やっぱり回らなかった。それでも1万rpmくらいまで針は無理なく上昇した。
ハンドリングは、軽快にリーンさせることができて難しくない。ツヤ消しブラックのワイヤースポークホイールに組み合わされるチェンシン製100/90-18・120/80-17サイズのタイヤは、デュアルパーパス風のデザインだけど想像したより舗装路でグリップして安定感がある。 強力と表現はできないけれど、路面をつかんでいる感覚がわかりやすい。
結果として、ワインディングでもかなり遊べるのである。スピードを落としすぎずにコーナーへ飛び込んで、前後のサスペンションをフルに活用して走り抜けていく気持ちよさ。エンジン・足まわり・フレーム・ブレーキなど、コストは高スペックとは言えない。だが全体が実にバランスよく機能していて怖さがない。そうなると左右へ倒し込みながら走り抜けるのが楽しくなる。
車両重量は145㎏。ハンドル幅が広いので、体感的にはもっと軽く感じるほど自由自在に動かせる。筆者の身長170㎝だとカカトまで地面に届くこともあり、走りの評価だけでなく、取りまわしのよさも好印象だ。旅先で細い道にひょいっと入ってみたり、コンビニにふらっとよったりなどが億劫にならない。幅広いライダーが気楽に動かすことができる操作性は日常使いでも役に立つ。とにかく、レトロなルックスだけで終わっていないことを強調したい。レトロでシンプルなバイクが流行しているところに、また新しい魅力的な選択肢が加わった。
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CONTACT
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- モータリスト
- 電話番号
- 03-3731-2388
- URL
- https://brixton.motorists.jp
※記事の内容はNo.255(2023年6月23日)発売当時のものになります