発表されたときから話題となっていたレブル250ベースのスクランブラー“CL250”にやっと乗ることができた。その感想が気になっている人も多いはずだ。どんなところに魅力を感じたのかをレポートする
文:濱矢文夫/写真:増井貴光
New Acoustic Camp 2023の会場で展示します
本記事で紹介しているHONDA CL250は、New Acoustic Camp 2023の会場内バイクエリアで展示します。ぜひ見に来てください。
名ばかりのスクランブラーではない!
HONDA CL250のスタイリング
レブルベースながら大きく異なるこだわり
ホンダがCLの名を初めて使ったのは1962年に誕生したCL72からだ。スクランブラーとは、まだオフロードに特化した機種がなかったころに、オンロード車ベースにアップハンやアップマフラーなどでオフロード仕様に仕立てた車両のことを指す。ただ、この新型CL250は、ダート走行を考慮して進化をしていった初期からの続きというより、90年代前半に盛り上がった、ヤマハSRのカスタムで一つのスタイルとしてもてはやされたスクランブラーと同じ流れ。自分を表現するファッションの役割もあったストリート系スクランブラーの続きだ。
もちろん、スクランブラーの機能性を無視したわけではない。サスペンションのストローク量はフロントが150㎜、リヤのアクスルトラベルは145㎜。ハンドルの幅が広く外乱を抑え込みやすいのもあって、フラットダートくらいなら覚悟することなく走り抜けられるのだ。最低地上高は165㎜あり、ホイール外径が同じで普通二輪免許で運転できるアドベンチャーツアラー、400Xの150㎜より余裕がある。ちょっとした段差やガレ場があっても大丈夫。
ダイヤモンドタイプのメインフレームがレブル250と共通でサブフレームは新設計。それに積んだ4ストローク水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンは、CRF250Lのカムシャフトを採用することで、より低中回転域のトルクを出してストリートでの使いやすさを強めた設定。さらにドリブンスプロケットをレブル250の36丁から37丁に変更して異なるタイヤ外径に合わせて最適化。右手の動きに対して反応のいい押し出しが得られて、いろいろな場面で実用的であり乗りやすい。
足まわりはホイールサイズが異なるだけで終わらず、φ41㎜インナーチューブを使ったフロントフォークのピッチがレブル250より狭くなり、当然それをクランプするブラケットも違う。オフセットも変えて、キャスターやトレールも共通ではない。
乗ってみて気に入ったところの一つ目は、堂々としているところ。ホイールベースは1485㎜で、1490㎜のCB1100EXとほぼ一緒。ベースとなったレブル250は前後16インチホイールだけど、CL250はフロント19・リヤ17インチと車輪が大きい。細身で気軽に扱えるとっつきやすさを持ちながら、存在感がある。
気に入ったところ二つ目はスタイル。ディテールの表情が意外なほど豊か。写真では抑揚のない退屈な造形と思っていた燃料タンクは、実際は丸みを帯びたピーナッツ型。ななめ後方から見るとアップした太いサイレンサーと相まって表情が豊かだと感じた。
気に入ったところ三つ目は排気音がいいこと。アクセルを開けていくと乾いた歯切れのいい音がライダーの耳に届き、それに包まれながら走るのが心地いい。
気に入ったところ四つ目。このフロントはロックまでの可動域が広い。簡単にいうとハンドル切れ角が大きい。左右それぞれ38度も切れる。狭い場所での方向転換や小さくUターンするのも楽。フロントは19インチだからロードスポーツモデルが履いている17インチより大径なのとホイールベースが長いことを意識させないほど使い勝手がいい。買い物に出かけたり、旅先で狭い道に入ったり、林道に侵入したりと、多用なシチュエーションで行動をためらわない。
ヒラヒラと動くが安定感もしっかりある
ヒラヒラと、ライダーの意志に従順に動いてくれるハンドリングで、クセらしいところがない。クイックすぎず、でもおっとりもしていない。深くリーンしても安定感があり、特別高性能なサスペンションではないけれど、バランスが取れている。レブル250ベースといいながらも多くが異なりこだわったことがうかがえるのが、最後、気に入ったところの五つ目だ。
ビギナーでも気軽に楽しめる懐の広さ。カスタムも楽しめる奥深さ。CL250はニクイくらいそつないマシンだ。
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※記事の内容はNo.256(2023年7月24日)発売当時のものになります