個性的なルックスと鼓動。扱いやすさは抜群
シンプルで高級感あるルックスの“V7 STONE SPECIAL EDITION”は、見た目も乗り味も個性的。迫力があるのに、意外なほど女性でも扱いやすい。人とは違う1台を求める人にオススメです
モトグッツィ広報さんのオススメポイント
- クラシカルスタイルとモダンな機能を完璧に融合させ、個性的かつシンプルな飽きの来ないイタリアンデザインは、高級感のあるルックスを際立たせます。
- 軽量で扱いやすく、人間工学に基づいた安全性にすぐれた車体は、ビギナーからベテランまであらゆるライダーに、快適で安心な心地よい走りを提供します。
- Vツインエンジンを縦置きする伝統のレイアウトによって、独特な鼓動感と抜群の直進安定性をもたらし、唯一無二のライディングフィールが体感できます。
MOTO GUZZI V7 STONE SPECIAL EDITION のスタイリング
高級感ある容姿とクラシカルな雰囲気がたまらない!
モトグッツィのアイコンになっているのは縦置きクランクのVツインエンジンです。このレイアウトはエンジンの搭載位置を低く、そして前方に積みやすかったりとハンドリングに大きく関わるいくつかのメリットがあるようだけれど、現在は極めて少数派になってしまいました。かさばったり、吹かすと車体が傾くトルクリアクションのせいでしょうか? でも古くからこのエンジンの特徴を活かして耐久レースで活躍したり、独特のハンドリングでファンを獲得してきたのも事実です。
その特徴的なハンドリングは、低い重心による手応えの軽いリーン、わりと長めのホイールベースやフロントにかかる多めの荷重を活かした安定性…、などといわれています。それに見た目の強烈なインパクトも魅力の一つ。タンク下から左右に立ち上がったシリンダーが独特の力強い雰囲気をかもし出しています。加えて絶滅危惧種になりつつある空冷エンジンの造形美…、メカニカルで迫力があり、カッコいい特徴です。
今年のV7シリーズはアドベンチャーモデルV85TT系の850ccエンジンを搭載しています。初期には750ccなのに50馬力そこそこのパワーしかない時代もありました。対して現行は65馬力と大きく向上し、ミドルバイクらしいパワーを手に入れています。
そもそもV7シリーズはかつての名車V7スポーツをオマージュしたネオクラシカルテイストを魅力としています。“ストーン”がスタンダードモデルに相当して137万5,000円。“スペシャル”はマフラーをはじめクロームメッキパーツでレトロな雰囲気を高めた仕様で146万3,000円。“ストーン・コルサ”はかつての耐久レーサーの雰囲気を演出したセミカウル、シングルシート風段付きシートで化粧。カフェレーサータイプで151万8,000円。そしてこの“ストーン・スペシャルエディション”はコルサと同じプライスですが、いくつかのパーツをメーカーがカスタムした仕様。重厚な雰囲気で、アロー製のマフラーやカフェレーサースタイルのミラー、アクセントステッチの入ったシートなどなど。マフラーで音とスタイルを引き締め、小物のグレードアップでスタイリングをより上品でカッコよくまとめられています。
カラーリングは光沢のあるブラックに、アクセントカラーのレッドが入り全体を引き締めています。ショックスプリングの赤も強烈なインパクトで、過度にクラシカルなイメージを誇張するのではなく、おしゃれだけど街になじむ自然体のカフェレーサーテイストといった感じです。しかも上質で深みのある雰囲気までただよっています。見た目にも個性を求めるこだわりライダーにはピッタリでしょうね。
鼓動を感じろ、走りを楽しめ それだけでワクワクする休日
個性があるのは音にもいえることです。アイドリングは静かでスムーズですが、ちょっと吹かすとドロロンッと重みのある音で吠えます。あまりほかのバイクで経験したことのない不思議な吹け方です。
でも昔のV7のように、鈍重とか重ったるいというような感触ではないから、そこは安心して大丈夫。深みがあるというのか、この排気量にしては重厚感があるというほうがいいかもしれないですね。抽象的だけど、この吹け方といい、音、車体の身震いなど、まるで生き物のようです。
たとえば、2,000rpm前後で高めのギヤを使って街中を流していてもよく粘るし、普通にクルマの流れに追従したり、リードもできます。おもしろいのはその時の表情です。スロットルを開けるとストトトッとツインらしい歯切れのいい音を発しながら、車体を左右に小刻みに揺すります。これはBMWのボクサーエンジンなんかにもある、クランクの回転慣性力が生み出すトルクリアクション。V7はこれがけっこうハデに出ます。でもこれが生き物みたいでおもしろいのです。ノッキングするほど回転を落としたところからでも普通になめらかな加速に移行します。街中を流しているだけで何となく楽しいのです。
3,000~5,000rpmあたりを使っていると力も十分。急なダッシュに必要な瞬発力もミドルスポーツなりの力強さで発揮してくれます。音もアイドリング時や低回転域を使用して走行する時とは表情が変わって、心地のいい重低音が体に響きます。
乗り心地も悪くありません。前後サスペンションはソフトめで、路面の継ぎめなどギャップを越えても衝撃を伝えて跳ねたり、ということはありません。落ち着いているというか、まったりとしています。また、シートの座り心地も悪くありません。ちょっとシートの角が内モモに当たって股が開くけど、シートのクッション自体は柔らかすぎたり硬すぎたりといったことはなく、ほどよく快適。ライディングポジションも私の身長(167㎝)だとハンドルも近く、ごく自然な弱前傾姿勢になります。わりとコンパクトなライディングポジションなので、多くの女性ライダーにフィットして、街中から峠道までノンストレスで快適な走りが楽しめると思います。
これならコミューターとして街中メインで使えるし、高速道路をサッと移動するゆとりもあります。さらには空いた田舎道などをのんびりとめぐるなど、ちょっとしたロングツーリングの相棒にもなります。
加えて峠道でのスポーツ走行も魅力です。これは昔からのモトグッツィの魅力で、左右への切り返しは意外と軽いのに、一度リーンが決まるとレールに乗ったような節度でコーナリングラインが決まります。今回の試乗では峠道と呼べるようなところに行っていないけれど、このストーンも伝統的なそのハンドリングを踏襲していると思っていいでしょう。旋回していると、それを感じさせる独特の安定感がありました。またラフなシフトダウンなどでホッピングしやすいシャフトドライブだけど、ちょっと元気に走行する程度なら何も気になりません。競走するような走りよりも、のんびり走ってモトグッツィテイストを楽しみながら“操る楽しさ”を味わうというのが正しいかもしれないですね。なにしろ素直で軽快なハンドリングが光るバイクですから。
このV7は、普通に使いやすいストリートバイクです。ただ、パワーフィーリングにハンドリング、そしてその姿と、豊かな個性があります。しかも、それらがいちいち濃くて圧が強い表情なのです。特別な速さとか、鋭くキレのいいハンドリングとかではないし、機能や装備も最低限で、至ってシンプルなバイク。でも走っていることを飽きさせない魅力は盛りだくさんなわけです。味気なかったり、無粋なスタンダードバイクではありません。見てのとおりおしゃれで、がんばらずに常用域で十分に楽しめる魅力付きです。
それに、気づいてほしいのは実用性です。意外とコンパクトで、シート高も低めというのもこのバイクの魅力の一つ。重量スペックの割に取りまわしがラクなのも光るポイント。非力な女性ライダーにも力強いサポートをしてくれます。街中でも使いやすいおしゃれな“イタリア”という響きも忘れてはいけませんよ。
MOTO GUZZI V7 STONE SPECIAL EDITION のディテール
MOTO GUZZI V7 STONE SPECIAL EDITION の足つき&乗車ポジション
MOTO GUZZI V7 STONE SPECIAL EDITION のスペック
- 全長×全幅×全高
- 2,165×ー×1,100(㎜)
- 軸間距離
- 1,450㎜
- シート高
- 780㎜
- 車両重量
- 218㎏
- エンジン種類
- 空冷4ストロークOHV2バルブ縦置きV型2気筒
- 排気量
- 853㎤
- 最高出力
- 49kW(66.6㎰)/6,700rpm
- 最大トルク
- 75N・m(7.65kgf・m)/4,900rpm
- 燃料タンク容量
- 21L
- 燃費(WMTC)
- ー
- タイヤサイズ
- F=100/90-18・R=150/70-17
- 価格
- 151万8,000円