かつて多くのライダーから支持を受け、のちに多大な影響を与えたアンダー400にスポットをあてる連載企画。19年もの長きにわたってビギナーからベテランまで幅広い層のライダーに愛されてきたセロー225。その誕生はトレールモデルの原点へ立ち還り、新たな価値観を呼び起こしたのである
木村圭吾:写真
扱いやすさと親しみやすさを武器にライダーを山奥へ誘う
軽量スリムさを活かして19年間進化し続ける
ヒマラヤ山脈に生息するヒマラヤカモシカのことを“セロー”と呼ぶが、そんな急峻な山岳地帯を自由自在に走り回るカモシカをイメージして名付けられたのが、1985年にデビューをはたすヤマハのセロー225である。
大自然の奥深くへと分け入っていけるトライアル的な特性を持ったトレッキングモデルを模索したヤマハは、XT200をベースとしたエンジンを、223㏄まで排気量を引き上げて力強さを得る。さらにトレッキングモデルには欠かせない軽量スリムな車体を実現すべく、高張力鋼管のダイヤモンドフレームを採用。そうして誕生したのがセロー225だ。
4ストロークOHC2バルブ単気筒というシンプルなレイアウトのエンジンは、最高出力20㎰とXT200の18㎰から2㎰アップをはたす。だが、数値的な面でほかのトレールモデルと競うのではなく、低速の十分なトルクとフラットな特性を持ち、扱いやすさや耐久面など実用性に重点を置いていた。6速ミッションを採用するが、1、2速を低速重視として、5、6速は高速走行を視野に入れる。軽量化のため始動方式はキックのみとしてデコンプを装着。サスペンションは、剛性を確保するインナーチューブ径36㎜のフロントフォークに、リヤにはモノクロスショックを組み合わせて走破力を高めている。
また、エンジンガードを標準装備し、ヘッドライト下部にはスタックバーも装着。大自然のより奥深くへと分け入るための装備である。ハンドルの切れ角も51度と、トライアル車並みに大きく設定されているのも特徴だ。それらの装備が、セローらしさを物語っているともいえるだろう。
YAMAHA SEROW225の主要スペック
- 全長×全幅×全高
- 2,055×825×1,160(㎜)
- 軸間距離
- 1,350㎜
- シート高
- 810㎜
- 乾燥重量
- 102㎏
- エンジン種類・排気量
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空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒・223㎤
- 最高出力
- 14.7kW(20ps)/8,000rpm
- 最大トルク
- 18.6N・m(1.9kgf・m)/7,000rpm
- タンク容量
- 7.6L
- 燃費(60km/h低地走行テスト値)
- 60㎞/L
- タイヤサイズ
- F= 2.75-21・R= 120/80-18
- 発売当時価格
- 32万9,000円(税抜き)
※本記事は『Under400』No.006(2007年10月8日発売)に掲載された当時の内容を再編しています