カタログやメーカーのHPを見ても載っていない、でも街で見かけることもある…。絶版車の中でも“旧車”と言うには古すぎない、1990年代のバイクたちをフィーチャー。スズキのSW-1は、それまでの価値観にはない、まったく新しい独創的な発想・コンセプトから生まれた、まさにセンセーショナルな1台。のちに起こる時代の礎を築いた先駆けだったのだ
ファッション性を追求した新感覚シティコミューター
89年の東京モーターショーでコンセプトモデルが発表され、91年の東京モーターショーでベールを脱いだSW-1は大きな反響を呼び、同年12月から予約受付を開始。それも従来の二輪販売店のみならず、LOFTなどを展開し、若者からの支持を集めていた西武百貨店でも受け付けるという、それまでにはない新たな販売戦略に打って出る。そして発売も翌92年2月という、スピーディーなものであった。
車体構成も外観に負けず劣らず個性的。まず一見するとスクーターのようにも思えるが、5速ミッションを搭載したマニュアル車。しかしギヤはシーソー式チェンジペダルを採用し、靴の甲を痛めない配慮がなされている。エンジンは空冷4サイクル単気筒のオーソドックスなもので、駆動方式は静粛性も高くメンテナンスの頻度も少ない、ベルトドライブを採用していた。
フロントトランクや両サイドの収納スペースを備えるというライダーのユーティリティ性の高さに加え、ゆったりとしたポジションも大きな特徴。また、広い座面やグラブバー、フットレストを装備することでタンデマーの快適性も考慮されていた。
街に違和感なく映えるスタイリングや、気軽に乗れるカジュアルテイストは、のちに一大ムーブメントを起こすストリート系に通じるコンセプト。SW-1は時代の先駆けともいえる存在なのだ。
足つき&乗車姿勢
タンデムスタイル
SUZUKI SW-1の主要スペック
- 全長×全幅×全高
- 2,105×840×1,095(㎜)
- 軸間距離
- 1,380㎜
- シート高
- 770㎜
- 乾燥重量
- 168㎏
- エンジン種類・排気量
-
空冷4ストロークOHC4バルブ単気筒・249㎤
- 最高出力
- 14.7kW(20ps)/8,000rpm
- 最大トルク
- 20.5N・m(2.1kgf・m)/5,500rpm
- タンク容量
- 10L
- 燃費(50km/h低地走行テスト値)
- 50㎞/L
- タイヤサイズ
- F= 2.75-21・R= 120/80-18
- 発売当時価格
- 68万8,000円(税抜き)
Buyer’s Guide
SW-1が発売された1992年の出来事
- 夏期、冬期五輪同年開催最後の年(アルベールビル、バルセロナ)
- 育児休業法施行
- 尾崎 豊死去
- ボスニア内戦勃発
- PKO協力法成立
- 星陵高校の松井秀喜が夏の甲子園で5打席連続敬遠される
- ヒット曲 浜田省吾『悲しみは雪のように』、平松愛理『部屋とYシャツと私』
- ヒット映画 『紅の豚』『エイリアン3』『氷の微笑』
- ベストセラー それいけ!!ココロジー編『それいけ×ココロジー』(1・2・3)、シドニィ・シェルダン『明け方の夢』(上・下)
- 流行語「きんさん・ぎんさん」「ほめ殺し」
※本記事はNo.51(2006年6月24日発売)に掲載された当時の内容を再編しています
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