人生でヒジ擦りをこれほど意識した日はない
なんだか今日はやたらと地面が近い!
今回のサーキット試乗会の主旨は、CBR1000RRが掲げる“トータルコントロール”の体感。まずはモード1のストックの状態で20分走り。その後、数々の電子制御装置を自身のライディングに合わせてセッティングを出して行くという流れ。
…だが残念ながら、僕にはセッティングの好みが言えるほどのスキルと経験がない。ただストックの状態で周回を重ねることになるのだろう。…ということで、まずはストックの状態、つまりモード1(パワーはフルパワーでレスポンスもリニア、トルクコントロールは介入が小、エンジンブレーキが小、電子制御サスはA1)でコースイン。2周目からタイヤが冷えないようにグッとペースを上げていくのだが、まず感じたのは、スリックタイヤによる恐ろしいほどのグリップ力だ。
CBR1000RRのノーマルタイヤでサーキットを走ったことがないのでなんとも言えないが、ビタッと張り付くような接地感があり、コーナリングペースをどんどん上げていける。
しかも、車体はコンパクトで意のままによく曲がる。まるで1000㏄のスーパースポーツに乗っている気がしない。2年前、ノーマルのYZF‐R1Mと、同じくYZF‐R1MベースのSSTクラスの優勝マシンに試乗したときも、ここまでの軽さと応答性はなかった。まるで600㏄クラスか、それ以下のような扱いやすさがあるのだ。
タイトめの低速コーナーで何度かトルクコントロール(ホンダのトラコン)の介入具合を確かめながら、スロットルの開け方を探る。…なんてことをやっているうちに、さらにひとつ上のギヤで速度を上げて曲がれること気付いた。それでも恐ろしく車体は安定している。フォトポイントであるいつもの左コーナーでヒザを擦りながらメーターを見れば数字は90㎞/h。…それだけスピードが出せたという自慢ではない。ハングオンでヒザ擦りしながらメーターを見ていられる余裕があることにビックリしたのだ。そんなもんだから、まだまだ速度も上がる。どんどんアクセルを開けていくのだが、今度は周回を重ねるごとに出したヒザがドンドン地面に押されて車体に近づいて来る。あれ? 今日はやけにイン側の地面が近くねぇか?
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年5月25日木曜日
そんなことを考えながら無心でコーナーの出口でアクセルを開けていると、今度はコーナーの立ち上がりで、ネックまわりを中心に左右に頭を振るような挙動が出始める。どうやらスリックタイヤのグリップ力が強すぎて、加速を受けて車体がしなりはじめたらしい。こんなアルミのごっついツインスパーフレームでもしなるんだ…。ただ、CBRがスゴいのはそれだけ首を振っているのに、変な恐さがないからアクセルを戻さずに済むこと。いやぁ、CBR恐るべし! ここまで体感したところで1回目の試乗が終わった。
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※記事の内容はNo.183(2017年6月24日)発売当時のものになります