国内モデルとしては久方ぶりとなる前後17インチホイールを採用したスポーツバイクの登場だ。え? 150㏄クラスのジクサーに似てるって? これがまったく別物だったんです!
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
エンジンも車体もスポーティ、キッチリ走る125が登場!
排気量が小さいのにジクサーより高い!?
2017年の春に登場した軽二輪クラスのジクサーは、31万6440円(ツートーンは32万1840円)という低価格と、高速も走れて車検がない154㏄という絶妙な排気量キャラクターでバックオーダーとなるほどの人気となった。そこで追い打ちをかけるように発売されたのが原付2種クラス、つまり124㏄のエンジンを搭載したこのGSX-S125ABS(以下:GSX-S)だ。ちなみに価格は35万4420円。
ハイ、ここで価格を見比べてみましょう。…うーん、排気量の大きなジクサーよりもGSX-Sの方が3万7980円も高い。ふつう排気量が大きい方が値段が高くなるのがバイクというものだ。2台とも同じジャンルのネイキッドだし、車格もアッというほど変わってるワケでもなければ、シルエットもどことなく似通っているのになんで…? スイもアマイも知りつくしたベテランライダーならともかく、そんな疑問を持つのも当たり前。今回はそんな疑問をスッキリさせるところからはじめていこう。
まず“空冷”154㏄のジクサー。確かにスズキの企業努力によるお値打ち価格ということもあるが、基本的にジクサーはビジネスユースを目的に作られたオートバイである。アジア諸国ではまだまだこれらビジネスバイクが庶民の足としての需要が高く、移動の手段としてたくさん作られている。ジクサーもその一台なのだが、いざ日本で乗ってみるとこれが意外な印象。硬めのサスペンションセッティングや、キチンと剛性が確保された安心感のあるフレームのおかげで、ビジネスバイクと思えないけっこうスポーティな走りが楽しめた。秘密は、国によっては3人乗り、4人乗りは当たり前なんていう使われ方。だからこその車体の剛性であり、硬めのサスペンションセッティングであり、リヤだけラジアルタイヤを履いていたりする。つまり、ねらってはないが結果的にスポーツ性が高まった“スポーツ風”バイクという印象だ。
一方、“水冷”124㏄のエンジンを積んだGSX-S125ABSはというと、完全にスポーツ走行の領域を意識した造り。つまり“風”ではなく、“ねらって”スポーツ性を上げている。というのもアジア圏では現在、レース活動が活発に行なわれており、それらへ出場するためのマシンとして生み出されたのがGSX-Sというワケ。
さすがレース用に作っているだけあって、乗ればコーナリングが楽しい。しなやかなフレームはスッと寝かし込めるし、キチンとサスペンションが仕事しているから路面をつかむタイヤからの情報が多くて安心してアクセルも開けられる。なによりすばらしいのは、水冷DOHC単気筒のエンジン。アクセル開け開けで高回転をキープしながらドンドン加速するように作られているから、ギヤのつながりがよくて加速感が気持ちいい。
また差を感じるのはコーナー直前でシフトダウンしながら旋回するような場面。スポーツバイクとして、このあたりの回転域によるバックトルクの出方も計算されているのだろう。ギヤを1、2段カンカンっと落としてクラッチを繋げば、「ウッワワワン…」とエンジン回転数は一気に跳ね上がるものの、車体の挙動は乱れず、そのままコーナーに進入できて実に気持ちがいい。
車体もよく見れば、リンク式のリヤショックを備えていたり、ステップがアルミ無垢だったり、チェンジペダルがリンク式だったりなどなど…。スポーツバイクとしてお金をかけるところにはかけてある。そんなところが理解できると、ジクサー比3万7980円の価格差も順当に見えてくる。
今回の試乗は残念ながら一般道だけだが、コイツはぜひともサーキットに持ち込んで遊んでみたくなった。回して楽しいエンジンと、その出力に見合った剛性が与えられた車体のおかげで、小さめのサーキットならかなり楽しく遊べそうなのだ。もちろんサーキット入門機としても最適だと思う。
スズキのニューモデル・GSX-S125 ABSの走りです。6速ミッションに水冷エンジン!スポーティな走りもOKな楽しいモデルに仕上げられていましたよー。詳細なインプレは次号(12月22日発売号)のタンスタでお送りします。
タンデムスタイルさんの投稿 2017年11月20日月曜日
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※記事の内容はNo.189(2017年12月22日)発売当時のものになります