車格を感じさせない乗りやすさに驚く
試乗はスペインはカナリア諸島・グランカナリア島で行なわれた。マシンはセミアクティブのスカイフックサスペンションやコーナーリングライト、クイックシフト等が装備された上級グレードのSモデル。このマシンにパニアケース、グリップヒーター、センタースタンドなどのツーリングパックを装着したもの。また、シートは日本仕様が欧州でのローシートとなるため、それぞれをチョイスしての走行だ。
スタートしてのファーストインプレッションはとにかくトルクが厚く力強い。しかし、ドゥカティらしさともいえる一発一発の歯切れのよさ的なフィーリングではなく、もっと当たりがやさしいのが特徴といえる。
それでいて3500rpmでその85%のトルクを発揮するパワフルさはだてではなく、立て続けにシフトアップを繰り返してトップに入れてしまうような走りにおいても、回転数の落ち込みにともなうトルクのやせ細りは殆んど感じられない。1200でも十分パワフルであったのだが、搾り出すことなくこの領域の厚みを増すことに成功している。のんびりと流すような走りにもマッチングしているし、それでも十分にパワフルでもある。
ドゥカティ・クイック・シフトはギヤセンサーなどの改良が行なわれ、スコンスコンと滑り込むように変速がなされていく。1速落とそうか、そのまま行こうか。ツーリングモードで走っていたときならギヤは触らない。なんたって図太いトルクはその必要性を感じさせ難い。しかし、スポーツモード(気持ち的にもね)なら、少しスポーツライディングを楽しみたい。そんなときに躊躇せずにシフト操作ができる恩恵は大きい。しかもギヤごとにエンジンブレーキのコントロールが変更される凝りようで、ギクシャクしてしまうようなこともないのがいい。最高出力は158㎰と一昔前のスーパーバイク並みとなっているのであるが、それが途方もないパワーのように感じられないのはマシンパッケージングがすぐれているからだろう。おかげで開けても戻してもマシンとの一体感が強く、怖さを感じさせることがない。これはスカイフックサスペンションによる、接地感の高さや乗り心地の上質さによるところも大きいだろう。
ハンドリングはディメンションの変更がやっぱり効いていて、リニアさのなかにもワンクッション入るような穏やかさ=安心感がある。スポーティさは従来モデルのほうが高かったようにも思えるのだけれど、安心感が高い分ライダーが積極的になれ、その旋回性を引き出していける痛快さもある。
また、路面状況が怪しくなってきた状況においては、とくにこのやさしさが大きなアドバンテージになった。
多くのアドベンチャーモデルが。そして、兄弟モデルであるムルティのエンデューロや950が装着する19インチのフロントホイールによる穏やかな味付け。このパートを17インチでまかなっているようなフィーリング。
さらにプラスして、従来のオンロードでのシャープさもしっかり感じさせる。
もちろんトラコンやコーナーリングABS、ウイリーコントロールにビークルホールドコントロールなど、安全性、快適性のための電子制御が満載であるし、少々わかりにくかったその設定や確認方法もイージーにたどり着けるようになったのもいい。
乗れるもんなら乗ってみな!? といった挑戦的なマシンが多かった以前のドゥカティであるが、1260は別格なほど乗りやすくて驚く。
ないものねだりのアマノジャクが多いライダーではあるが、冒頭に書いたように、自分にとっても多くのライダーにとってみても、さらに一歩進んだウェルカムなマシンとなっていたのだ。
次ページではMULTISTRADA 1260のディテール&足つきを紹介!
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※記事の内容はNo.190(2018年1月24日)発売当時のものになります