2014年に登場したフロント2輪のオートマチックコミューターのトリシティ125/ABSがフルモデルチェンジ。車体がトリシティ155ベースとなり、新設計エンジンで走りもパワーアップ!
文:谷田貝洋暁/写真:武田大祐
可変バルブ機構搭載でダッシュ力が大幅向上!
TRICITY125のスタイリング
可変バルブ装備で走りが力強くなっている
走り出した瞬間、加速のよさに驚いた。というのもこのヤマハのトリシティ125、コーナリング時にはフロントのタイヤの接地感が高く、安心してコーナーを曲がっていけるのだが、前作はその重さに起因する加速の悪さがちょっと気になることもあった。とくに流れの速い幹線道路などでは、一緒に走る125㏄のスクーターたちにスタートで置いていかれることもしばしば。もちろん、それでもクルマの加速よりは断然速いけどね。
それがどうだ。新しく搭載されたブルーコアエンジンの効用だろう。加速がものすごくよくなっている。実際、通勤にも使ってみたのだが、前モデルで感じたスタートダッシュ時のストレスがなくなっているのだ。
秘密はこのエンジンに搭載された可変バルブ機構。2バルブだった前作のエンジンから4バルブ化され、圧縮比も11.2へと高められハイパワー化。しかも低回転域と高回転域でバルブが切り替わる可変バルブ機構を搭載したことで、低速時のダッシュ力の力強さと高回転側の伸びのよさを両立。それが全域でのパワーアップとしてしっかりと感じられる。いやぁ、前作で気になったところが見事に改良されている。もうこれだけで前作のオーナーは悔しがっていい(笑)。しかも、燃費もより実走に近いWMTCモード値で38.8㎞/ℓから43.6㎞/ℓへとアップしているというから驚きだ。
車体の走行フィーリングも前作の125に比べると随分と変わった印象を受けた。というのもこの新型のトリシティ125の車体。実は、昨年春に登場した高速道路も走れるトリシティ155がベース。リヤタイヤが1インチサイズアップしたり、太くなっていたりして、ホイールベースも40㎜ほど延長されている。つまり車体そのものが少し大きくなっているのだ。おかげでもともとよかった巡航走行時の安定性がさらにアップしているような印象を受ける。コーナリングでもガシッとした剛性感も感じる。ただ、言葉を返せばその一方で前作のトリシティ125が持っていたフロント2輪とは思えない、自然な挙動で切れ込んでいく軽快コーナリング性能はちょっとなりをひそめてしまった。ただ、このあたりは正直、乗り手の好みの問題。スキルや路面状況にかかわらず、誰もが安心して走ることができる乗り物を目指すトリシティとしては、これが正常進化の方向だろう。
また乗ってみるとトリシティ155で採用されたハンドルのラバーマウントが、125ではリジットマウントのままであることに気がついた。てっきりこのモデルチェンジでラバーマウント化されるもの思っていたのだが…。加速性能などを加味した結果、あえて採用しなかったという。おかげでダイレクト感のあるハンドリングが味わえてコーナリングが楽しいのである。
今年は、LMW機構の車体に大型エンジンを組み合わせた、ナイケンも市場投入される予定のLMWシリーズ。排気量は小さいながらも先達の125はすでに熟成の域に入った。
TRICITY125のディテール紹介
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2016年9月10日土曜日
TRICITY125の足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS※[ ]内はABS仕様
- 全長×全幅×全高
- 1,980×750×1,210mm
- 軸間距離
- 1,350mm
- シート高
- 765mm
- 車両重量
- 159[164]㎏
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークOHC 4バルブ単気筒・124㎤
- 最高出力
- 9.0kW(12㎰)/7,500rpm
- 最大トルク
- 12N・m(1.2kgf・m)/7,250rpm
- 燃料タンク容量
- 7.2ℓ
- 燃費(WMTC)
- 43.6㎞/ℓ
- 価格
- 39万4,200円[43万2,000円](税8%込)
CONTACT
- 問い合わせ先
- ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
- 電話番号
- 0120-090-819
- URL
- https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
※記事の内容はNo.192(2018年3月24日)発売当時のものになります