DUCATI スクランブラー 1100 スペシャル

特集ビギナービッグバイクデビュー
あこがれの超大型

No.
193
特集ビギナービッグバイクデビューあこがれの超大型

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※公開中の誌面内容はNo.193(2018年4月24日)発売当時のものになります

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ドゥカティのスクランブラーの長兄として1,079㏄空冷Lツインを搭載したスクランブラー1100シリーズが登場。ボッシュ系コーナリングABS、切り替え可能なトラクションコントロールなど、大排気量ながらビギナーにもうれしい機能が満載なのだ。

文:河野正士/写真提供:ドゥカティジャパン

ヘリテイジなスタイルと最新技術をミックス

本質を突く乗り味を存分に味わう

さっそくだが、結論から申し上げよう。スクランブラー1100スペシャルは、初心者にお勧めできるリッターオーバー・マシンである。デザインについては、申し分ないだろう。新たに1100㏄の空冷L型2気筒デスモドロミック2バルブエンジンを採用し、それに合わせフレームやスイングアームも新作。外装パーツにはオーバーリッター・モデルらしいボリューム感を持たせながら、ドゥカティ・スクランブラーらしい、ツボを押さえたオーセンティックなスタイルにまとめ上げられている。もちろん800㏄モデルでは封印してきた電子制御技術の搭載も、初心者に対して太鼓判を押す理由のひとつだ。しかし個人的に太鼓判を押す大きなポイントは、ドゥカティらしい、角がピンと尖った空冷エンジンの鼓動感だ。初心者向けモデルというのは、扱いやすさを追求するがあまり、出涸らしの茶のような、薄味である場合が多い。でも個人的には、初心者にこそ各メーカーの“いい味または濃い味”を一番に味わって欲しい。そう考えると、ちょっと濃い味のエンジンとハンドリング、それをサポートする電子制御技術をあわせ持つこのモデルは、最高の組み合わせなのだ。

 

かつてドゥカティは、初心者を寄せ付けないオーラを放っていた。1990年代にはスーパーバイク世界選手権で日本車勢を抑え込み、数多くのタイトルを獲得していた。当時は並列4気筒エンジンの国産スーパースポーツモデルですら“シロウト”が手を出すべきモノではなかった。それを負かしてしまう、ビッグボア&ショートストロークのL型2気筒デスモドロミックエンジンを持つドゥカティはさらに特異な存在だった。またスポーツバイクの多くがアルミフレームを採用することが一般的だった時代に、ドゥカティはスチール鋼管を組み合わせたトレリスフレームを採用していた。ドゥカティは、国産メーカーとはまったく違った方程式で、そのパフォーマンスを追求していたのだ。当然のようにそれらのマシンは乗り手を選んだ。

 

そんなドゥカティが大きく変わったのは、電子制御システムが成熟した2000年代後半からだろうか。曖昧な人間の操作を許容しつつ、そのなかでライダーの意思をくみ取ったエンジンは格段に扱いやすさが増したのである。アクセル操作と直結するエンジンレスポンスと、バルブスプリングを持たないバルブ開閉機構/デスモドロミックやビッグボア/ショートストロークによる、日本刀のような鋭い切れ味を持つ高回転域でのフィーリングを維持したまま、低中回転域での扱いやすさを増したのは、紛れもなく電子制御技術の進歩によるところが大きいだろう。

 

また2015年から国内販売が開始されたスクランブラー・ファミリーのモデルラインナップの充実や、そこでのプロモーション活動もドゥカティのイメージを大きく変えた要因だ。熟成したモンスター796系の空冷エンジンをベースに、バルブオーバーラップ角の変更やシングルスロットルボディの採用、またスクランブラー用に開発したダブルアッパービーム式の鋼管トラスフレームなどによって、さらなる扱いやすさが与えられたのだ。またそのスタイルは、1960年代に北米に向けて開発された、アップライトなポジションの“スクランブラー”スタイルを採用していたことにも多くの人の心をつかむ要因となった。

 

この試みは成功を収め、スクランブラーはデビュー3年間で9モデルをラインナップ。2017年末までに4万6000台を販売した。単純計算でも1年1万2000台。2017年のドゥカティ総販売台数が約5万6000台であることを考えると、スクランブラー・ファミリーの成功を容易に想像することができる。

 

そして、その成功が“スクランブラー1100”の登場につながる…と言いたいが、開発陣に話を聞くと1100のプロジェクトは、スクランブラー800を発表した直後の2014年にスタート。スクランブラー800が発表された後には、より排気量が大きなモデルが、そしてその大排気量エンジンをサポートする電子制御技術が必要となる。そう読んでいたのだ。

 

スクランブラー1100スペシャルは、いい意味でドゥカティ成分濃い目の味付けになっていた。その一番の要因は、やはりエンジンだ。新たに採用した1079㏄エンジンは、ドゥカティのネイキッドスポーツモデル/モンスターが水冷化される直前のツインスパーク・エンジンがベースになっている。それをもとに2つのサブバタフライ・インジェクターを備えたφ55㎜のスロットルボディを持ち、エアクリーナーボックスも大型化。またバルブオーバーラップ角を16度に設定。低中回転域での分厚く、そして扱いやすいトルク特性が造り上げられている。

 

そしてスクランブラー1100スペシャルは、空冷のデスモドロミックエンジン特有の、いい意味で荒々しさを感じることができた。それが冒頭で書いた角がピンと尖った鼓動感だ。いまのドゥカティ・モデルはエンジンの水冷化や電子制御技術の進化などによって、この爆発感の角が丸くなってきたと感じていた。これは否定的な意味ではなく、工業製品が進化していくなかでは当然の出来事。それだけに角が尖った爆発感をスクランブラー1100で感じられたことは驚きだ。

 

また操作系からハンドリングまで、車体操作のあらゆることが軽かったことも、ドゥカティらしさを強調した。トルクフルなエンジンは、さほど高回転まで回さずとも車体をグイグイ前に押し出してくれるし、フロントまわりのアライメントは過激すぎず、しかし軽快で、セルフサーボ付きスリッパークラッチはレバーが軽く、またシフトダウン時も強力なバックトルクを軽くいなしてくれる。マッチョに見える外装類だが、じつはライダーが直接触れる部分は絶妙にシェイプが効いていて、いざ走らせてみるとその大きさを感じさせないし、20㎜高く/43㎜幅広くなったシートもその形状の良さから足つき性を損なっていない。

 

スタイルにもパフォーマンスにも、ドゥカティ成分がしっかりと抽出されていながら、近代的な技術をしっかりと採用することでライダーとリッターオーバーのバイクとの距離をグッと縮めているスクランブラー1100。しかし一度味わったら、病み付きになることだけは、覚悟しておいてほしい。

リッターオーバーを操る3つのライディングモード

Active

フルパワーの86psを発揮し、スロットルレスポンスはダイレクト。トラクションコントロールの介入度も少ない。スポーツライディングに適したモード設定と言える

Journey

エンジンはActiveと同じ86psを発揮。トラクションコントロールの介入度もActiveと同じだ。しかしスロットルレスポンスはややマイルド。ツーリングなどに最適

City

エンジンは800㏄モデルの最高出力と同じ75ps。スロットルレスポンスは極めてマイルドで、トラクションコントロールの介入度も他の2つモードより多い

 

SCRAMBLER 1100 SPECIALのディテール紹介

 

SCRAMBLER 1100 SPECIALの足つき&乗車ポジション

身長170㎝/体重68㎏
ややカカトが浮くものの、しっかりと両足を地面に着けることができる。800モデルに比べシートは20㎜高くなり、シートは幅は43㎜広がっているが、それを感じさせないほどの足つき性

 

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高
2,190×920×1,290(㎜)
軸間距離
1,514㎜
シート高
810㎜
車両重量
211㎏
エンジン型式・排気量
空冷4ストローク 2バルブℓ型2気筒・1,079㎤
最高出力
63kW(86ps)/7,500rpm
最大トルク
88N・m(9.0kgf・m)/4,750rpm
燃料タンク容量
15ℓ
燃費(WMTC)
価格
174万8,000円(1100:158万4,000円/1100スポーツ:183万5,000円)

SCRAMBLER 1100製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
ドゥカティジャパン
電話番号
0120-030-292
URL
https://www.ducati.com/jp/ja/home

※記事の内容はNo.193(2018年4月24日)発売当時のものになります

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