台湾で絶大な人気を誇るキムコ。ionex EVスクーターの販売がついに決まり、発表会でも注目はそのシステムだったが、マシン自体の実力はいかほどなのだろうか
文:桜井 大輔/写真:キムコジャパン
今後のコミューターのスタンダードになる?
New Many 110 EVのスタイリング
ニュースタイルのEVスクーターに注目
台湾のバイクメーカー・キムコが先ごろ発表したEVスクーター、キムコ New Many 110 EV。今まで世に出ていたような単なる電動バイクではなく、そのシステムこそが画期的なバイクなのだ。バイクに搭載されているバッテリーは交換式。それも自宅での充電以外に街中に設置されたスポットで充電ができるのだ。購入時に5年保証付きのコアバッテリーが一つ付いてくるが、着脱式個人用レンタル・バッテリーの場合、月間基本走行距離1000㎞で約1100円と非常に経済的。ついにそんな時代がきたか、と言ってもこれは台湾での話。日本導入はまだ先になりそうだ。
そして気になるのが実際の乗り味はどうなのか、というところ。今回インプレッションした場所は教習所内に設けられた特設コース。もちろん攻めたライディングはできないし、そういった目的のバイクではないため電動バイクで気になる発進時のレスポンスや制動性を重視してインプレッションしてみた。電動式はアクセルを開けると一気にトルクが上がるので心配する人もいるだろうが、そこはスムーズ。レスポンスが遅いわけではなく、無理な急発進をしないようにプログラムされているのだろうか、走り出しで腕がもっていかれることはない。フルスロットルの状態でいてもゆっくりと加速していく印象だ。台湾での主な用途は通勤・通学などの移動手段がメインとなるため事故防止につながるように考えられているのではないだろうか。そしてブレーキ。フロントのブレーキディスクは180㎜でブレーキキャリパーは片押し2ポットだが、非常に制動性にすぐれた感触だ。下り坂からのコーナリングでも怖さを感じることはなかった。もちろんエンジンブレーキは効かないし電気自動車などに見られる回生ブレーキでもないので、アクセルを戻すとニュートラルに入ったかのようにスーッと進んでしまう。ブレーキのみで減速しなければならないため慣れが必要に思えた。また、タイヤサイズは日本でいうと50㏄クラスのサイズ(10インチ)なので多少心もとない印象だが、小回りがききクイックに曲がることは可能。普段の取りまわしを考えると扱いやすいサイズだ。
実際、通常のバイクとそこまで乗り味が変わることなく、経済的であり環境にもやさしいコミューターと考えると非常にいいのではないだろうか。後はこのバイクが…、というよりもionexのシステムが日本に導入されれば日本国内の市場にも劇的な変化が現れるはずだ。日本では電気自動車の充電ステーションが増えつつあるが、バイクはまだまだ先だろう。しかしその流れが来はじめたと考えるとドキドキしてこないだろうか。高騰していくガソリンの価格に気持ちや懐が左右されることのない世界。今後の動向に期待してみよう。
ionex EVスクーター発表会の様子はこちらのニュースをチェック
次ページではNew Many 110 EVのディテールを紹介!
CONTACT
- 問い合わせ先
- キムコジャパンお客様相談室
- 電話番号
- 0120-046-165
- URL
- http://www.kymcojp.com/
※記事の内容はNo.196(2018年7月24日)発売当時のものになります