排ガス規制への対応のために、昨年から生産終了モデル扱いになっていたセローがようやく復活!8月31日より発売がスタートする。規制対応がその改変の主軸で、うれしいことに基本的なセローのキャラクターに変更はないようだぞ!
文:谷田貝洋暁/写真:武田大祐
セロー250は“オフロードのヤマハ”に、欠くことができない存在である
新型SEROW250のスタイリング
すでに初期ロットは予約済!? セロー250はやっぱり大人気!
※記事の内容はNo.197(2018年8月24日)発売当時のものになります
いよいよセローが復活する。昨年、WR250R/Xとセロー250の生産終了が相次いで発表され、多くのオフロードファンがため息をつくことになった。そんななか、ヤマハはセロー250の規制対応版の開発を発表。その復活を示唆したのである。
このセロー復活に関し、実にいろいろな憶測やウワサ話が飛び交った。
「2021年10月のABS義務化(新機種は2018年の10月から)に向けてABSが新装備されるのでは?」「温度コントロールが難しい空冷の弱点を補うため、オイルクーラーが追加される?」「いっそ新設計の水冷エンジンを開発しているだろう?」などなど。
フタを開けてみれば、セローはセローのままに、カタログ落ちの危機を乗り越えた。外観を見てわかることはガソリンの蒸散ガスをキャッチするキャニスターの追加と、リヤまわりをモタード仕様の兄弟車XT250Xから移植したぐらいで大きな変化はない。
ところがスペックを見ていて驚いた。最高出力がアップしているのだ。kW表示では新旧ともに14 kWと変わらないのだが、㎰表示では新型が20㎰。前作の18㎰から2㎰も上がっているじゃないか!? でもって最大トルクも18N・mから20N・mになってるじゃない? 食い入るようにスペックを見比べれば、エンジン内部の圧縮比も9.5から9.7とより高くなっている。…いったいどういうことなのよ? 当然ヤマハに聞いてみました! …が、ちょっと話がややこしくなるぜ?
まず旧型のエンジンのまま規制対応させようとすると、明らかに出力が低下してしまうことが予想できたという。そこでエンジンのシリンダーヘッドとシリンダーの間にあるガスケット(平たく言えばパッキンね)を肉薄化。これで燃焼室容積が減り、圧縮比が0・2ほどアップ。従来と同等のパワーを維持することに成功したというのだ。最高出力の2㎰アップに関しては、㎰換算時の四捨五入による切り捨て切り上げで、結果的に2㎰という数値の差にはなっているものの、実際は体感できるほどのパワーアップには至っていないということだ。
またこの規制対応により、2名乗車の定地走行燃費が、40㎞/ℓから48.4㎞/ℓへと大幅アップ。前モデルの実測燃費が30㎞/ℓをコンスタントに超えてくるセローだけに、実走燃費の伸び代も気になるところだ。
ただ残念なのは、やはりABSへの非対応だ。ライバルのABS装着が進んでいるなかでのこの選択は、どうしてもその場しのぎ感が拭えない。もともとオフロードバイクユーザーにはアンチABS派が多いものだが、“セローの今後の存続”を考えればABS装備は避けられないこと。ひとまず今回は延命できたセローであるが、次のモデルチェンジのタイミングが真の正念場。そこが“オフロードのヤマハ”の看板をかけた大きな分岐点となりそうだ。
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※記事の内容はNo.197(2018年8月24日)発売当時のものになります