ユーロ4の排ガス規制のあおりを受け、生産終了モデルとなっていたセロー250が新型となっていよいよ復活! 規制対応を受けてセローはどうかわったのか? 変わっていないのか? 林道ツーリングに出かけてその素性を探ってみた。
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
新型セロー250は林道デビューの決定版。セローらしさはモデルチェンジ後も健在だ
SEROW250のスタイリング
ABS義務化まであと2年。セロー250を買うなら今だ
ロングセラーモデルであるセローがラインナップから消えたとき、僕自身、ここまで衝撃を受けるとは思わなかった。思えばバイク雑誌編集者という仕事に就いて、最初にオフロードを走ったモデルもセロー(当時はセロー225WE)だった。“またセローに乗れている”という、うれしさで評価軸がずれてしまっている気もするが、そのあたりをちょっとだけ(笑)踏まえて読んでもらいたい。
走り出してみると相変わらずの親しみやすいセローの走りにニンマリとしてしまう。低いシート高による足着きのよさ。シートの居住性の高さ。そして舗装路はもちろん、ダートでも扱いやすいエンジン性能もそのまま、…なのだが、エンジンに関して言えば、燃焼のパルスが強まっているような気がする。きっちり旧型と比較したわけではないのだが、「トットットッ…」というエンジンのパルス感が単純に強まっているように感じるのだ。
理由はやはりエンジン内部の圧縮比の変更だろう。今回の規制対応にあたり、出力低下が予想されたため、ガスケットを薄くし、圧縮比を9.5から9.7へと変更するパワーアップが図られている。その結果がこのパルス感の強化に現れているというワケだ。ただその一方で圧縮比が上がったことで、ちょっとだけアイドリングから極低速に移るまでの粘りが薄くなったような気もする。だた、もともと扱いやすく粘るセローのキャラクターから大きく変わるものではない。
それよりも驚いたのは高速道路での伸びだ。旧型のセローは、110㎞/h巡航しているとちょっとエンジンに無理をさせているな…、と感じたものだ。ところが今回のモデルは、いたって普通に高速道路でアクセルを開けていられる。もちろん、ハンドルやレバーには振動も出るし限界点が近いのも間違いないのだが、バイクに対して「ちょっと無理させてるね。ごめんね」という、背徳を感じる域に入るのにプラス10㎞/hのマージンができたというか、そんなイメージである。
気になる燃費は、今回600㎞以上走って27.86㎞/ℓ。同じような走り方を前作でしたときと比べるとちょっと悪くなった印象。まぁ、けっこう最高速に近い状態の巡航走行が多かったから、燃費走行をすればもっともっと伸びるに違いない。
最後はダートセクション。やはりセローの車体の素性のよさはすばらしいと感じる。柔らかめの足まわりだが、少々速度をあげてもへこたれることはなく、それでいてしっかり路面をとらえ続ける感覚をライダーに与えてくれるので安心感が高いのだ。これから林道デビューして、積極的にダートを楽しみたいというライダーに手放しでオススメできる相棒はやっぱりセローなのだ。
この状態のセローが買えるのは、ABSの義務化の兼ね合いであと2年ほど。消費税の増税も気になるし、買うならやっぱり今しかない!?
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2018年9月9日日曜日
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※記事の内容はNo.198(2018年9月22日)発売当時のものになります