KAWASAKI ニンジャ ZX-10R/RR/SE

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
198
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.198(2018年9月22日)発売当時のものになります

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ZX-10Rシリーズ
左からZX-10R、ZX-10RR、ZX-10R SE

 

2004年に登場し、2017年モデルよりサーキット走行に特化した“ZX-10RR”、2018年モデルより電子制御サスペンションを搭載した“ZX-10R SE”を発売し、モデルバリエーションを拡大している。今回は、九州のオートポリスで行なわれた2019年モデルのニンジャZX-10RRの試乗の模様をおとどけしよう。

文:和歌山利宏/写真:カワサキ

リッタースポーツ最強マシンは優しい優等生でもあった

場所と乗り手を選ばない懐の深さが素晴らしい

今回、ZX-10RRにオートポリスで試乗し、昔からよく聞かされてきたことを思い出した。それは“よくできたレーシングマシンは街中でも乗りやすい”という言葉である。

 

スーパースポーツなのだからライディングポジションが強く前傾していて街中ではつらいし、ハンドル切れ角も小さいので取りまわしでも苦労することになる。ただ、それは致し方ないとしよう。それに、レーシングマシンが照準とした速度域は高いのだから、街中ではダルで重いと考えても無理はない。

 

でも、車種に限らず同じバイクである以上、ねらいや速度域が違ってもバイクとしての基本的な扱いやすい特性というのは変わらない。

 

ZX-10Rは現在、スタンダードの10R、装備を充実させた10R SE、サーキット走行に特化した10RRがラインナップされている。今回試乗した10RRは、サーキット走行を前提としているだけでなく、レースベース車としての役割もある。

 

今回は公道を走ったわけではないのだが、またがり具合をチェックし、ゆっくりピット内から発進して、ピットロードに向かって90度方向転換し、コースインを待ちながら停止寸前のノロノロ運転をすれば、その素直さと軽快さときたら、まるでよくできた街乗りバイクみたいなのである。

 

ピレリのハイグリップタイヤを履いているにも関わらず、である。この10RRは新しく採用された軽いチタンコンロッドのおかげで、その慣性力のハンドリングへの影響も小さい。その点で従来型の標準型Rよりも一層、洗練されている印象である。ショーワのバランスフリータイプの前後サスペンションも、サーキット走行を前提としたセッティングのはずなのに、心地よく動いて取っ付きやすい。

 

おまけに、エンジンの極低速域のスムーズさと唐突さのないシルキーな力強さは、新型になってさらに高水準化されている印象で、極低速走行でもこの上なく扱いやすい。

 

従来型から引き継がれたライディングポジションは3バリエーションモデルに共通で、足着きもリッタースーパースポーツのなかでも最良の部類に属する。身長161㎝の私でも両爪先が無理なく接地し、またがったままサイドスタンドを出し入れできる。サイドスタンドの出し入れしやすさは、他の現行カワサキ車に準じた美点である。

 

残念ながら、試乗した10RRはシングルシートを採用していたため、タンデム走行は実現できなかった。でも、新しいZX-10RRの特徴に注目すれば、10Rや10R SEならタンデムもこなしやすいと言っていいのかもしれない。

 

とは言え、この10RRが本領を発揮するのは、あくまでもサーキット走行だ。でも、特筆すべきことに、このモデルのサーキットでの乗りやすさは、今書いた取っ付きやすさの延長戦上にある。

 

最高出力204㎰のハイパワーマシンであっても、各パーツの動きはとてもスムーズで、ストレスなく無理なくそれを発揮してくれるので、凶暴さはない。低中回転域からのつながりもよく、あるコーナーを1速でも3速でもこなせるほど、ワイドレンジで柔軟だ。つまり、サーキットを照準としながら、ワインディングでも楽しみやすいということだ。

 

そればかりか、エンジンブレーキの制御もすばらしく、3速でメリハリよく楽しめる一方で、1速でもスムーズでギクシャクしない。その意味でもワイドレンジで柔軟なのだ。アップとダウン両利きのオートシフターも、乗り手へのストレスを格段に軽減してくれる。

 

スーパーバイク世界選手権4年連続制覇に王手をかけている、カワサキの強さを垣間見た気さえするのである。

 

NinjaZX-10Rに搭載されている電子制御サスペンションとは?

カワサキとショーワが共同開発した電子制御サスペンションを、10R SEに装備する。10Rや10RRに採用されるバランスフリータイプのサスペンションを基本に、電子制御機能を追加したものである。最大の特徴は、公道走行車としては初のストロークセンサーを内蔵していることで、IMU(慣性計測ユニット)が検知した車体の運動状態に加え、ダンパーのストローク位置や速度、加速度によってソレノイドバルブを制御。応答性の高い最適の減衰力を発生できる。

SPECIFICATIONS※[]内はRR、【 】はSE

全長×全幅×全高
2,085×740×1,145(㎜)
軸間距離
1,440㎜
シート高
835㎜
車両重量
204[206]【208】㎏
エンジン型式・排気量
水冷4ストローク DOHC4バルブ並列4気筒・998㎤
最高出力
149[150]kW(203㎰[204])/1万3,500rpm
最大トルク
114[115]N・m(11.6[11.7]kgf・m)/1万1,200rpm
燃料タンク容量
17ℓ
価格
未定
発売日
10月1日以降に導入国で順次発売予定、国内販売は2019年春ごろを予定

Ninja ZX-10R製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
カワサキモータース ジャパンお客様相談室
電話番号
0120-400819
URL
https://www.kawasaki-motors.com/mc/

※記事の内容はNo.198(2018年9月22日)発売当時のものになります

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