ドゥカティのスクランブラー・アイコンが登場から初となるモデルチェンジを実施。見た目はそれほど変わらないものの、乗ればその違いは歴然! 鈴木大五郎氏による海外試乗記をお届けしよう。
文:鈴木大五郎/写真:ドゥカティジャパン
大きな変化を感じるのはエンジン特性と足まわり
スクランブラー アイコンのスタイリング
乗ればわかる確実な改良ポイント
2014年に登場したスクランブラーはご存知のとおり、1962年からドゥカティが販売していたスクランブラーにインスピレーションを得たマシン。
スクランブラー系のマシンが流行りつつあった時期にタイミングをうまく合わせたこともあって大ヒットを記録。派生モデルが増えたこともあり、現在ではドゥカティの販売台数の3割に届くほどのセールスとなっているという。
発表後のテストで僕は、なんだかドゥカティらしくないほど乗りやすいし気軽でビギナーにもおすすめだと思った記憶がある。
ところが市場では、とくに発進時のアクセルワークに対するマシンの反応が過敏で、乗りにくいなんて声をよく聞くようになった。
正直、その点はさほど気にしていなかったのであるが、どれどれと注意深く探ってみれば確かにその領域はマニアックともいえ、とくにお勧めしたいと思っていたビギナーの方にはハードルがちょっと高かったのかもしれない。
さて。今回モデルチェンジされたスクランブラー・アイコン。実車は従来モデルから、さほど変わったようには見受けられない。調べてみると、シートやタンクのカバー形状。ヘッドライトやウインカー&テールランプのLED化etc。中身にしても、サスペンションが変更になっただけだとのことで、話題性が高いとは言えない。
しかし走り出すと、これがまったく違うマシンになっていたのである。
ユーロ4に対応するためにエンジンマネージメントを刷新したというのは2年も前の出来事。デザートスレッドやカフェにほどこされていた改良はアイコンも同様だと聞いていたのであるが、日本仕様は規制が異なるためこのモデルからの採用となっているそうだ。結果、ギクシャクする感じがまったくなく、格段にスムーズなパワーデリバリーとなっている。これなら胸を張ってビギナーにもお勧めできるといえるだろう。それでいて、ストレスなく高回転域まで回りきるエキサイティングな面もあるのが単なるファッションバイクと異なる点だ。
それにプラスして、足まわりの変更によって取っ付きやすさが格段にアップしている点も見逃せない。
走り始めはよりソフトな感触で、低速域でもしっかり接地感やフィードバックが感じられる。そして、荷重が増せばその分しっかり対応してくれるドゥカティらしさも併せ持つ。
自由気ままにまったく足かせなく走れるポテンシャル。想像以上に速く、そしてノンプレッシャーに楽しい。そのうえで、コーナリングABSの装備により、安全性もおろそかにしない姿勢は評価に値する。また、ウインカーのオートキャンセラーやブレーキレバーの調整機能。スマホと連動できるメーターなど、ユーザーフレンドリーとなっている点も見逃せない。
想像するに、スクランブラーがここまでヒットするとはドゥカティも思わなかったのかもしれない。走り重視のドゥカティ流で進められてきたものが、新しいユーザー層の獲得等で新たな要求や課題も出てきたのではないかと。そんな声に真摯に向き合い、熟成されたのが新型スクランブラーではなかろうか?
スクランブラー アイコンのディテール
スクランブラー アイコンの足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS※[]はオプションのローシート
- 全長×全幅×全高
- 2,100×855×1,150(㎜)
- 軸間距離
- 1,445㎜
- シート高
- 798[778]㎜
- 車両重量
- 189㎏
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストローク 2バルブL型2気筒・803㎤
- 最高出力
- 54kW(73㎰)/8,250rpm
- 最大トルク
- 67N・m(6.8㎏f・m)/5,750rpm
- 燃料タンク容量
- 13.5ℓ
- 燃費
- 20km/ℓ
- 価格
- 未定
CONTACT
- 問い合わせ先
- ドゥカティジャパン
- 電話番号
- 0120-030-292
- URL
- https://www.ducati.com/jp/ja/home
※記事の内容はNo.199(2018年10月24日)発売当時のものになります