ムルティストラーダシリーズの最高峰として、エンデューロシリーズは長い足まわり、スポークホイールの19インチタイヤなど“オフテイストが強め”のキャラクターに設定された。しかし、今回のモデルチェンジでは、シート高が下げられたり、サスペンションストロークが変更されたりずいぶんその方向性を変えたようだぞ?
文:鈴木大五郎/写真:ドゥカティジャパン
2年目のモデルチェンジで排気量アップ!
MULTISTRADA 1260 ENDUROのスタイリング
車体を見直すことでロードスポーツ性も向上
ドゥカティが誇るアドベンチャーマシン・ムルティストラーダ1200/Sは4Bikes in 1コンセプト=1台で4台分楽しめるマシンとして人気を博してきたのであるが、前後に17インチホイールを履くこのマシンの主戦場はやはりオンロードにあった。しかし2016年。フロントに19インチホイールを履き、サスペンションストロークをアップしオフロードでの走破性を高めたエンデューロが発売される。アドベンチャーマシンのベンチマークとされるBMWのR1200GSと同じ土俵に殴り込みをかけたのだったがそれから2年。早くもアップデートがほどこされることとなった。
17インチのムルティストラーダが1200から1260になったのと同様、エンデューロにも1260のエンジンを搭載。しかし、見た目はちょっと小振りになった印象だ。聞けば前後のサスストロークが15㎜短くなり、185㎜に。より多くのライダーになじみやすくしたのだと言う。これは、ある意味妥協案ともとれるような…!?
まずはオンロードでマシンを走らせ始める。排気量アップによるパワフルさ。とくにトルクの増大が印象的であるのはSTDのムルティ同様でもある。アップ&ダウン対応のクイックシフトもいいレスポンス具合で、トルク増によるシフトさぼりが可能なのにも関わらず、スポーティに走らせたくなるほど。そして、ハンドリングがロードマシン寄りになったことも大きい。従来モデルはいい意味でも悪い意味でもワンテンポタイミングが遅れるイメージ。これが大きなマシンを操っている感を演出していた面もあるのだが、1260ではサスペンションのムダなストロークがなくなり、ギュッと筋肉質に引き締まった印象である。足まわりの軽量化の恩恵もあるだろう。あきらかにオンロードでのレスポンスとフィードバック量が増しているのだ。
次にオフロードに繰り出す。サスストロークの少なくなった足まわりにネガティブな印象を持つライダーもいるかもしれないが、個人的にはそれによって手の内に収まる感が大幅にアップ。たかが15㎜と思うなかれ、それは想像以上に大きな安心感をもたらしてくれた。それでいて、ストローク量が足りないというネガもない。これこそ、セミアクティブサスであるスカイフックのアップグレードの恩恵だろう。
エンデューロの魅力が、オフロードにおける走破性ばかりにクローズアップされていたようにも感じる。しかし、このマシンの魅力は大型燃料タンクなどのツーリング装備の充実にもある。
1260となって、オフロードフリークだけでなく、コアなツーリングライダーにもより支持されるオールラウンダーとなっていたのだ。
MULTISTRADA 1260 ENDUROのディテール
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- ─
- 軸間距離
- 1,592㎜
- シート高
- 840/860㎜
- 乾燥重量
- 225㎏
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストローク L型2気筒・1,262㎤
- 最高出力
- 116kW(158㎰)/9,500rpm
- 最大トルク
- 128N・m(13.0kgf・m)/7,500rpm
- 燃料タンク容量
- 30ℓ
- 価格
- ─(国内未発表)
CONTACT
- 問い合わせ先
- ドゥカティジャパン
- 電話番号
- 0120-030-292
- URL
- https://www.ducati.com/jp/ja/home
※記事の内容はNo.200(2018年11月24日)発売当時のものになります