日々の通勤・通学・お買い物の足として選ぶライダーが多い原付二種スクーター。ユーザーの要望は多種多様で、それを満たすために各メーカーはさまざまなモデルをリリースしている。ヤマハも国内で5台展開しているが、その中のシグナスXが進化した。
文:吉田 朋/写真:関野 温・吉田 朋
スタイルのブラッシュアップと利便性が向上した五代目が登場
スポーツランも楽しめる原付二種スクーター!
ヤマハがリリースするスクーターのラインナップの中に“白鳥座”を指すシグナスの名前は1980年代前半から存在していた。爆発的な人気を集めるモデルではなかったようだが、2003年5月からシグナスXとなって、一気に人気が高まったのである。
その要因として考えられるのが、安定感と軽快感のバランスが絶妙に取れた前後12インチホイールや空冷OHC4バルブ&メッキシリンダーが採用されたエンジン、125㏄としては大容量なシート下ラゲッジスペースなどの充実した装備面であっただろう。加えて躍動感あふれるデザインもその人気を支える要素になった。
その後も定期的に変更を重ねつつ、ヤマハ125㏄スクーターの一角を担い続ける。2007年10月の変更で、吸気システムがキャブレターからフューエルインジェクションに変更された。駆動系のセッティング変更も相まって、街中で多様する低中速域でのパワーフィーリングの向上を果たす。これが二代目だ。三代目は2013年2月に登場。より洗練されたデザインが採用され、前ポジションとテールライトがLED化。同時にシート下ラゲッジスペースが拡大されるなど、スタイルと実用面の充実が図られた。続いて大きな変更を受けたのが2015年11月のこと。実用域のトルクを向上させつつ燃費改善をねらったエンジン。新作のフロントフォーク&リヤアームの導入をしつつ、各部の軽量化を進め、約4㎏のダイエットに成功した。加えてそれまでのドラム式リヤブレーキがディスク化。性能面をブラッシュアップされたのが四代目だった。
一部ではその125㏄スクーターの中でも高いスポーツ性能に着目し、スクーターレースで、ファイティングマシンとしてシグナスXを選ぶユーザーも増加。もちろん125㏄スクーターとしての利便性もあって、公道走行メインのユーザーにも支持されたわけだ。
そして2018年11月から五代目になった。今回の変更の主なポイントは三代目と同じく、デザインのブラッシュアップと利便性の向上だ。デザイン面では、ヘッドライトとリヤのストップランプがLEDになったことに加え、それまでアナログタコメーターとデジタルスピードメーターだったのがフルデジタルに。細かな点だがグラブバーのデザインも変更されている。利便性の面では、最近の125㏄スクーターで主流になっている給電システムが導入されたことに注目したい。スマートフォンの充電などに活用できる12VのDCジャックがフロントグローブボックスに設けられ、通勤・通学途中に電子機器の充電ができるようになったのはうれしい部分だ。
実際に乗ってみると低速からグイグイと加速してくれる。通勤途中のシグナルグランプリで、水冷エンジン搭載車に遅れを取るようなことはない。ただ60㎞/hからの加速や最高速の伸びはチェックできなかったが…。一方車体に関しては、安定感と旋回性のバランスのよさが光る。多少凸凹な路面も気にならないし、コーナーも不安なく旋回していく。前後ディスクブレーキの効き&コントロール性にも不満はなく“スポーツ”を好むライダーに支持されていることを納得することができた。
シグナスXのスタイリング
シグナスXのディテール
シグナスXの足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS
- 型式
- 2BJ-SED8J
- 全長×全幅×全高
- 1,890×690×1,120㎜
- 軸間距離
- 1,305㎜
- シート高
- 775㎜
- 乾燥重量
- 119㎏
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHC4バルブ単気筒・124㎤
- 最高出力
- 7.2kW(9.8㎰)/7,500rpm
- 最大トルク
- 9.9N・m(1.0kgf・m)/6,000rpm
- 燃料タンク容量
- 6.5ℓ
- タイヤサイズ
- F=110/70-12
R=120/70-12 - 価格
- 32万9,400円(税8%込)
CONTACT
- 問い合わせ先
- ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
- 電話番号
- 0120-090-819
- URL
- https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
※記事の内容はNo.202(2019年1月24日)発売当時のものになります