やってきたぜビーナスライン白銀の圧雪路はどこだ!
白銀の世界を求めて、いざ厳冬期の長野へ
ナイケンに、できたばかりのタイヤチェーンを積んで僕が向かったのは、長野県のビーナスライン。ライダーになったのなら一度は走ってみたいと思う有名なツーリングスポットだ、…夏場であれば(笑)。標高1700mにも達するこの高原道路は、当然冬季には雪が降るため、本来この時期にライダーが目指すような場所ではない。だが現場に到着して驚いた。雪がないのである。雨まじりのミゾレが舞う諏訪に着いたときから嫌な予感はしたのだが、大門峠からビーナスラインに入っても依然として路面は黒いまま。確かに所々、溶け出した水が凍結している箇所はあるものの、ナイケンの歩みを止めるほどじゃない。そのうち圧雪路が現れるだろうと信じて走り続けたのだが、結局、白樺湖のある大門峠から、核心部である霧ヶ峰のドライブイン“霧の駅”までノーマルタイヤで走り切ってしまえたではないか…。
“今年はなんだか山に雪が少ない”とは、ナイケンのチェーン製作に協力いただいた風魔プラス1の店長さんから聞いていた。そんな情報もあって、標高の高い場所を選んだのだが、まさかここまで雪がないとは予想外である。
今回のような圧雪路を目指すためにはコツがいる。完全な冬季閉鎖されるような道では除雪が行なわれないため走れない。とはいえ雪が降るか降らないか、わからないようなところを目指すのも確実性に欠ける。ということで、スキー場があるおかげである程度の除雪が行なわれる地域を選ぶのだが…。思わぬところで地球温暖化の影響を目の当たりにするとはねぇ。こんな状態が毎年続くなら、冬季のビーナスラインツーリングもアリだなぁ…、などと考えたところで我に返る。
よくよく考えてみれば、そもそもナイケンだからこそここまで到達できているのである。普通なら、凍結区間があっただけで、普通のライダーなら引き返す場面。いや、凍結が予想される場所にも寄り付かないだろう。
どうもLMW機構を持つナイケンと一緒に走っていると、なんだかこのあたりの感覚が狂ってくるようだ。
チェーンなしでもナイケンはそこそこ走る!?
慣れとは怖ろしいもんだ。出発前にはナイケンとの雪道ツーリングに恐れおののいて、「やっぱり無理かも…」なんて弱気にもなっていたハズなのだが、走るほどに、“こいつとならタイヤチェーンさえあれば、雪道も難なく走れるんじゃないか?”なんて気になってる。
ビーナスラインに目指すような白銀の圧雪路面がなかったとはいえ、凍結区間や部分的な圧雪路面には出くわした。そんな状況にはじめこそ恐る恐る進んだのだが、走るほどにナイケンへの冬道走行性能が信じられるようになってくるのだ。
やはりLMW機構は、冬の道にも効果的だと実感。少なくとも凍っているか凍っていないかわからないような場所を進むようなときの安心感が絶大なのだ。もし2つある前輪のどちらかが氷を踏んだとしても、フロントタイヤは滑る気配はなく、それどころが状況によっては両輪が氷に乗ったところで、変なハンドル操作をしなければ“思ったほど”滑ることもない。
後輪のスリップを抑制してくれるトラクションコントロールも凍結路面の上でいい仕事をしてくれる。もちろんトラクションコントロールは設定は介入度合いが強い「2」にしてはいるのだが、氷を踏んで滑り出したところで後輪の出力をほどよく抑制してくれるから不安なところがない…、と言い切ってしまうのはやや言い過ぎだが、走るほどに不安が薄らいでくるのもまた確か。すべてはトラコンの効き具合を信用できるかどうかなのだ(笑)。
インプレッションついでにブレーキの効きにも触れてしまおう。ナイケンは、電子制御でホイールのロックを抑制してくれるABS装備車。しかも、3つあるタイヤのそれぞれのブレーキへの介入度が変わる3輪独立制御式である。持ち前のLMW機構とあいまってその制動力は強烈で、通常の通常路面でがっつりフロントブレーキを握ればジャックナイフ気味に後輪が浮き上がるほど。介入具合はかなり低めに設定されているのが凍結路面でどう働くかは気になってはいたのだが、実際に試してみれば、思いのほかコントローラブル。まぁ、こんな路面ではがっつりブレーキを握ることはないので当たり前かもしれないが、それでもLMW機構からくる、制動力の高さはきっちり体感できた。
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※記事の内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります