圧雪路を探して長野から新潟県へ
いろいろ考えたが、明けて2日目は大門峠から佐久平へと向かい、戸隠、妙高方面へ進むことに決めた。松本経由で土地勘のある白馬へ出る選択も捨てがたかったが、雪がなかった場合のリカバリーがしづらいと考えたのだ。
戸隠、妙高方面なら上信越自動車道路を使えば移動はワケない。戸隠だめなら妙高へ。それもダメならさらに北上するかどうするか? 高速道路を中心に策をねろうという作戦である。
それにこのあたり一帯は西高東低の気圧配置が送り込む日本海からの湿った空気が、日本海側の山脈にぶち当たって冷えることで大雪となる。この周辺ならいくら雪が少ない今年だからといって、この地域に雪がまったくないなんてことはないだろう。
…しかし、実際には想定したカードをすべて使い切ることになるとは思わなかった。結論から先に言ってしまえば、戸隠にも妙高にも圧雪らしい圧雪が見当たらなかったのである。戸隠へは、より雪がありそうな北側からアプローチしてみたのだが、完全に道路が乾くほどの雪の少なさ。景色は冬というより、もはや春に近い。
スキー場職員の「周辺は圧雪路ですからチェーンは必ず持って来てください」なんて言葉に安心しきっていたのだが、よく考えてみればスキー場の人間としては、「OK、OK。雪ないからチェーンなくてもOKよ!」なんて調子のいいことを言って、お客が急な雪でスタックしてしまったんでは責任とらされても大変である。圧雪路があると聞いて油断したのだが、質問の仕方を工夫するべきだったようだ。
まぁ、ないものは仕方がない。さっさと頭を切り替えて妙高方面へナイケンのハンドルを切れば、いよいよ新潟県へ突入することになる。このまま圧雪路を求めて日本海まで出ることにならなければいいのだが…。
しかし、それでも妙高に圧雪路がなかったのである。正確にはちょっとだけあったのだが、“春の雪解け”みたいなシャーベット状の路面が少々ある程度。しかも、タイヤチェーンを取り出すことなく雪道区間を走破。恐ろしいことにナイケンの走破性能に僕が慣れ始めてしまっているのだ。
ここまで雪道探しに苦労するとは想定外である。ツーリングマップルを見ながら、次なる一手を考える。高速道路を北へ2~30㎞走れば、もうそこは日本海なのだが、時刻はすでに午後2時。圧雪路を見つけたとしても、タイヤチェーンの取り付けなどの手間を考えれば、次の移動がおそらく最後のチャンスになるだろう。
選んだ最後の目的地は志賀草津道路。北上しての雪道探しはあきらめ、再び上信越自動車道路で長野へ戻る。信州中野から志賀草津道路で再び標高を上げることで雪道を探すことにしたのだ。まさかライダーのあこがれの信州2大スカイラインを、この2月の厳冬期に走ることになるとはねぇ…。
志賀草津道路、国道292号線は、国道としての日本最高地点がある場所としても有名だ。さすがに冬季閉鎖でそこまでは到達できないものの、道中にはスキー場が点在。地図によれば標高2300mの頂上直下までスキーリフトが伸びている。うまくいけばビーナスラインよりも、さらに数百mほど標高が稼げるハズだ。これだけの高所なら、いくら何でも雪が溶け出すことも少ないんじゃないだろうか?
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※記事の内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります