カスタムビルダーとして知られるイギリスのマットモーターサイクルズが日本市場に上陸。オリジナルのビンテージカスタムモデルは、はたしてどんな走りを見せるのか?
文:栗栖国安/写真:関野 温
スクランブラー要素を加味した英国発のビンテージカスタム
サバス250のスタイリング
経験に裏打ちされたたしかな技術で作り込み
ボディ全体をブラックで統一したサバス250のスタイルは、4.00-18の太目のブロックタイヤを装着していることもあり、スクランブラー要素が強いビンテージカスタムといった印象だ。デザインはいたってシンプルで、いかにもトラディショナルな英国車の風情だが、装備一つ一つの仕上げが入念で上質。お手軽カスタムとはひと味もふた味も違う。
ダイヤモンドパターンのシートにまたがりハンドルに手を添えると、コンパクトなボディながらリラックスしたポジションがもたらされる。スクランブラー的なモデルながらハンドル幅はそれほど広くない。感覚的には普通のロードスポーツだ。
セルボタンを押しエンジンを始動すると、250㏄とは思えない迫力のあるエキゾーストノートを放つ。これまでに国内メーカーの250㏄空冷単気筒エンジンに乗ってきたが、それらに比べて劣るとは感じない。試乗したのはまだ寒さが残る時期だったが、フューエルインジェクションを採用しているため始動性もいい。また、空冷単気筒エンジン自体、決して高出力を発生させるタイプではないが、低中回転域にパンチがあり、100㎞/hのクルージングにも十分に対応するので、タウンユースからツーリングまで広範囲に使うことができる。
取りまわしは軽く、ハンドリングも基本的にはニュートラルで乗りやすい。ただしブロックタイヤを履いているため、ロードタイヤと比べるとゴロゴロとしたフィーリングを感じ、グリップ面でもロードタイヤに劣るので、ワインディングで積極的に攻める走りには向いていない。オフロード走行については、サスペンションストロークが短いのでオフ車並の走りには向いてないが、フラットダートであればまったく不安はない。ちなみにサスペンションの作動性、とくにリヤはスプリングが硬く感じた。走行を重ねれば少しはこなれてくるかもしれないが。
ともあれ、人気が回復しつつある軽二輪クラスに、ビンテージカスタムという新たなカテゴリーが加わったのは喜ばしいことである。
サバス250の足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,010×800×1,070㎜
- 軸間距離
- ─㎜
- シート高
- 780㎜
- 乾燥重量
- 130㎏
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストローク単気筒・249㎤
- 最高出力
- 15.6kW(21㎰)/─rpm
- 最大トルク
- 20N・m(2.04kgf・m)/─rpm
- 燃料タンク容量
- 12ℓ
- タイヤサイズ
- F=4.00-18・R=4.00-18
- 燃費(WMTC)
- ─㎞/ℓ
- 価格
- 64万2,600円(税8%込)
CONTACT
- 問い合わせ先
- ピーシーアイ
- URL
- http://www.muttmotorcycles.jp
※記事の内容はNo.204(2019年3月23日)発売当時のものになります