新世代のCB-Rは走行フィーリングも上質に
ミドルクラスのネイキッドモデルがモデルチェンジ。先代のストリートファイタールックから新世代CBシリーズ共通の近未来フォルムになると同時に、エンジンや足まわりもよりスポーティに進化。その乗り味はどう変化したのか。
文:横田和彦/写真:岩崎雅考・吉田 朋
CB650Rのスタイリング
新世代ネイキッドは軽快なフィーリング
ホンダにとって“CB”という名前はとても重要なもの。今までに多くのモデルにCBの名が冠されてきたが、その語源は明確ではないともいわれている。ひとつ確かなことは1959年に発売されたベンリィスポーツCB72以降、CBシリーズがロードスポーツモデルとして高いレベルを目指して作られているということ。時代ごとにマイルストーンとなるCBが存在し、ライバルたちと切磋琢磨してきた。
そして現在、ホンダはCB1000Rをトップに置いた新世代CBシリーズを展開している。そのコンセプトは“スポーツバイクの根源的な楽しさそのものを深める”こと。それによって今までのスポーツバイクの基準を塗り替えようとしているのだ。ホンダの開発者たちはそのゴールを“高性能スポーツバイクから感じ取る上質な手応え”と定めて各モデルで追求。そして今回試乗するCB650Rもその基本概念に沿って開発されている。
5年前にデビューした先代のCB650Fは異型ヘッドライトを採用したストリートファイタールックをまとっていた。CB650Rは、そこからガラリと印象を変えて丸型ヘッドライトやショートテールを採用。新世代CBシリーズの流れを汲んだ近未来スタイルとなった。しかもそれらは単なるデザインではない。重量物を車体の中心に近付けることによってマスの集中化を実現し、車体の挙動をより軽くするというメリットもある。
メカニズム的なトピックは倒立フォークを採用したこと。バネ下重量を減らしフリクションロスを低減。ダブルディスクブレーキでキャリパーもラジアルマウントされるなど今風の装備となり、頼もしいイメージのフロントまわりを構成している。
またがると並列4気筒エンジンを搭載しているとは思えないほどスリムな車幅だ。エンジンを始動すると、流れるようなラインを描く4本のエキゾーストパイプにつながれたサイレンサーから連続した排気音が響く。低回転からなめらかに湧き出るパワーフィールを味わいながら加速。コントロール性は良好でクルマの流れに乗るような市街地走行でも気分がいい。
高速道路など開けた場所でアクセルを大きめに開けると、抜けるような高い排気音とともに車速がグゥーーーンと伸びていく。この振動なく軽々と吹け上がっていく感覚は並列4気筒エンジン独特のモノでファンも多い。ミドルクラスのライバル車には2気筒や3気筒のモデルもあるが、このフィーリングが好きで並列4気筒を選ぶというライダーもいるほど。ちなみに兄弟車であるCBR650Rとは吸排気系が異なっていて、一般道でもファンライドを楽しめるキャラクターにチューニングされている。
ハンドリングは軽快そのもの。ただシーンによってはちょっと軽さが強く感じられるときも。好みの範疇なのだが、ほぼ同じディメンションのCBR650Rでは感じなかったのでライダーの姿勢による荷重バランスの差かも知れない。しかし、そのハンドリングを活かせばワインディングではキビキビと走れるのがメリットだ。バーハンドルを駆使したスポーツライディングはセパハンのそれとは異なったもの。アシストスリッパークラッチやトラクションコントロールなど、走りに対するサポートシステムが充実しているのもライダーにとってはうれしい。
並列4気筒エンジンを搭載したCB650Rは、日常にエキサイティングなバイクライフをもたらしてくれるネイキッドだ。バイクをさまざまな用途に使い込みたいというライダーのよき相棒になってくれるだろう。
ヒラオ’s IMPRESSION
CB1000Rゆずりのちょっとヤンチャな乗り味が魅力
基本的なエンジン&シャーシに変更はないハズなのに、CBR650Rとの乗り味の違いにビックリ! まず、エンジンはFIセッティングの変更によって元気な乗り味に仕上げられている。CBRから乗り替えるとアクセルのオンオフでギクシャクするような印象も受けたけれど、それがまたおもしろくも感じられた。ステップ&シートの位置はそのままに低めのバーハンドルを採用しているので、ポジションの自由度も高くタイトなワインディングなどではコッチの方が走りを楽しめる印象だ。
よっすぃ〜’s IMPRESSION
並列4気筒エンジンが心をゆさぶる
個人的に600~750㏄の中間排気量が好きだ。確かにパワー面だけ見てみればリッタークラスの方が上。しかし扱いやさと、その気になれば十分楽しめるパワーが同居しており、車体もコンパクトで割と軽い。とくにこのCBR650Rは中間排気量クラスで数少ない並列4気筒エンジンを搭載する。回せば回すほどパワーが出るのと同時に胸のすく排気音がたまらない! ネイキッドというオールランド性を持ちながらも、しっかりとスポーツランも楽しめる車体なので、いろいろな使い方ができるだろう。
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※記事の内容はNo.205(2019年4月24日)発売当時のものになります