KTM 790アドベンチャー/R

特別企画タンスタ的春の新車祭り

No.
205
特別企画タンスタ的春の新車祭り

誌面を“まる読み”できます!

※公開中の誌面内容はNo.205(2019年4月24日)発売当時のものになります

インプレッションの誌面を開く
次のページ
前のページ

2019年モデル KTM 790アドベンチャーR ダート走行

 

オフロード界の雄、KTMの最新作“790アドベンチャー/R”の海外試乗会がモロッコで開催。ダカールラリー18連覇中の砂漠の王者の血統を受け継ぐミドルアドベンチャーの実力をアフリカの大地で存分に味わってきた。

文:佐川健太郎/写真:佐川健太郎&KTMジャパン

ラリーマシンゆずりの筋金入り冒険マシン

790アドベンチャーRのスタイリング

 

地形など気にせずにアクセルを開けていける

2019年モデル KTM 790アドベンチャーR ダート走行

 

その気になれば地のはてまで連れて行ってくれる冒険マシンに人々はあこがれを抱く。だが実際のところ、長距離ツーリングを想定した従来のアドベンチャーモデルで“冒険”に挑もうと思う人は少数派だろう。夢と現実のジレンマ。そこを埋めるためにKTMが出した答えが790アドベンチャーである。

 

開発に先立ち、KTMでは世界中からライダーの意見を集めたという。軽くコンパクトな車体、走破性と足つきのよさ、トラクション性能にすぐれた扱いやすいエンジンなど、次世代アドベンチャーモデルに求める要素は、国は違えど同じだったとか。790アドベンチャーにはそうしたユーザーのリアルな声が反映されている。たとえば、新開発の水冷並列2気筒エンジン“LC8c”は単気筒並みにスリムで軽量だ。昨年登場した790デューク用をベースに出力特性が最適化され、75度位相クランク独特のパルスと路面をガッチリつかみながら進むトルク感がさらに磨かれた感じ。車体サイズもフラッグシップの1290アドベンチャーに比べるとひと回りは小さく軽い。20ℓ容量の燃料タンクはラリーマシンゆずりの左右振り分けとすることで450㎞の航続距離を達成しつつも低重心化に成功。同時にタンクまわりのスリム化により足つきのよさも実現するなど設計思想にも新しさを感じる。

 

790アドベンチャーの“Rバージョン”は高性能サスペンションとブロックタイヤを装備したガチなオフロード仕様である。見渡す限り乾いた大地が広がるモロッコの砂漠をスロットル全開で突っ走っていく。それは長年の夢がリアルになった瞬間だった。もちろん最初は恐る恐るであったが、超ロングストロークが与えられたWP製前後サスと低重心タンクの安定感、そしてLC8cのパワーに助けられ、自然の地形を気にせずに走破できることがわかってからは楽しくて仕方なかった。とくに印象的だったのがR専用のラリーモード。もっとも瞬発力がある特性を活かしてスロットル操作でフロントを軽くできるため、多少のギャップであればそのまま走破できてしまう。また9段階のトラコンレベルを手元で瞬時に切り替えられるため、舗装路はもちろんフラットダートや岩場、砂丘など刻々と変わる路面に応じて素早く対応して走破していくことが可能だ。まさにラリーを知り尽くしたKTMならではの発想といえる。

 

一方のRが付かないSTDバージョンはハイスクリーンやオン&オフタイヤを装備したツーリング仕様だ。サスペンションは前後WP製だがオンロード用に減衰力を高めた設定で、シートも高さ調整可能(830/850㎜)な前後分割タイプを採用するなど、高速クルーズ性能と快適性を強調している。砂塵が舞うすべりやすい路面でも低重心タンクとしなやかな前後サス、フロント21インチタイヤのおかげでつねに安定感があり、ライドモードやコーナリングABSなど最新の電子制御のおかげでモロッコの荒れた峠道でもリラックスして走りを楽しめた。STDは日常から林道ツーリングまで幅広く使えるモデルだ。そして、さらなる冒険への扉を開きたいのであれば、迷うことなくRをオススメしたい。

 

次ページ:790アドベンチャー/Rのディテール&足つきを紹介!

CONTACT

問い合わせ先
KTMジャパン
電話番号
03-3527-8885
URL
https://www.ktm.com/jp/

※記事の内容はNo.205(2019年4月24日)発売当時のものになります

この記事が気に入ったら
いいね!とフォローしよう

タンデムスタイルの最新の情報をお届けします