イタリアの“SWM”は2015年に復活をとげたメーカーだ。それ以来さまざまなモデルをリリースし、その一部が日本国内にも導入されている。2019年、新たにアウトロー125が加わった。その乗り味を紹介しよう。
文:吉田 朋/写真:南 孝幸
いかつい車名に反したやさしい乗り味
OUTLAW125のスタイリング
125㏄とは思えない迫力のある車体サイズ
SWMが復活をとげてから、徐々にラインナップが増えている。日本国内では中型クラスが中心で、397㏄空冷単気筒エンジンのクラシックシリーズと、124㏄水冷単気筒エンジンを搭載するオフロードシリーズに大別できる。それぞれ共通のエンジンとフレームを使い、外装や足まわりなどを変えて車種を増やしているのが特徴だ。
ただこれまではクラシックシリーズはクラシックシリーズ、オフロードシリーズはオフロードシリーズでエンジンとフレームを共有していたが、今回紹介するアウトロー125はクラシックシリーズのフレームと外装を用い、エンジンはオフロードシリーズに搭載される水冷125㏄エンジンを使用。“ハイブリッド”という言葉がふさわしい1台といえる。
そのため実車を前にすると、原付二種クラスとは思えない迫力のある車体サイズに驚く。同時に不安を感じてしまった。というのも125㏄の中ではパワフルなエンジンだが、400㏄クラスの車体だと“重さがどうしても不利になってしまうのでは?”と思ってしまったからだ。ところが実際に車両を取りまわしてみると意外と軽い。のちに諸元表で確認すると乾燥重量で130㎏。400㏄のクラシックシリーズのモデルよりも20㎏ほど軽い。
実際に走り出しても重さからくるネガな要素は感じない。諸元表に最高出力の表記はないが、ベースになっているオフロードモデルRS125Rは15㎰。それと遜色のないパワー感で加速していく。低速でもたついたり、ピーキーなパワーカーブではなく非常に扱いやすい。幹線道路で交通の流れもしっかりとリードできる。
車体に関しても扱いやすい。スタイル的にはスクランブラーに分類されるが、前後17インチホイールを履いていからロードスポーツ感覚で走れる。タイヤはブロックパターンのピレリ・スコーピオンラリーだが、ゴツゴツといったフィーリングはない。今回の試乗街乗りがメイン。ハンドリングは穏やかなので、神経質にならずにすんだし、グリップ不足とは感じなかった。ただ峠に持ち込んでスポーツ走行を楽しみたいなら、純然なロードタイヤ、デフォルトのタイヤよりワンサイズ細い方がマッチングがいいかもしれない。
サスペンションの動きは良好だし、ブレーキの効き・コントロール性も不満はない。街乗りから、ちょっとしたスポーツ走行が楽しめる。このアウトロー125にはABSでなく、CBSが組み込まれている。いわゆる前後連動ブレーキで、リヤを踏むとフロントにも制動力が発生。筆者はあまりリヤブレーキを使わないが、リヤブレーキを踏んでも、極端な違和感は感じなかった。ただダートでのテールスライドをさせにくいかもしれない。
車格が大きいために感じるネガな要素はなく、逆に窮屈な乗車姿勢にならずにリラックスして乗れる。また全体的に扱いやすさが光るので、ビギナーでも気軽に乗り回すことができるだろうし、ベテランでも十分満足できるだろう。名前こそ“アウトロー”といかついものの、実際に乗ってみると“見た目こそ怖いが、話してみるとやさしい人”的な1台である。
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※記事の内容はNo.207(2019年6月24日)発売当時のものになります