アンダー400 No.75掲載車両(2019年4月5日発売)
2016年にイギリスにて立ち上げられたマットモーターサイクルズは、空冷単気筒エンジンを搭載したレトロ&カスタムライクなモデルを中心に展開する。4月から日本国内でも本格的に販売がスタートしているが、今回はその中の1台“RS-13 125”の乗り味をお伝えしよう
文・写真:吉田 朋
オシャレな原付二種ミッション車が登場!
RS-13 125のスタイリング
気軽に楽しめる原付二種でビンテージ感を味わえる
マットモーターサイクルズはもともとカスタムショップとして活動していた。扱うベース車両はいわゆるビンテージモデル。それにメンテナンスを含めて手を加えるわけだから、どうしても高額になってしまいがち。また古いモデルがベースになっているため、メンテナンスをしっかりと行なっていても、何かしら不具合が生じる可能性は完全に払拭できない。こういったマシンは一部の好事家には受け入れられるが“気軽に楽しめる世界ではない”と思う人が多いだろう。
そんな中、ビルダーであるトーマス氏は“クールで、取りまわしが楽で、レトロな街乗りバイクが欲しい”と考え、試作マシンを作り出す。その流れをくむモデルが開発され、それらが日本でも手に入るようになった。手がけるのはノートンやモト・モリーニといった海外ブランドを取り扱うピーシーアイである。
ここで紹介するRS-13 125以外にも(以下=RS-13)、空冷単気筒エンジンを搭載する125㏄と250㏄モデルが新車で手に入れられる。ビンテージモデルのようにトラブルを心配しなくていいのは魅力だ。ちなみに昨今の排出ガス規制の影響で、空冷エンジンを搭載するレトロ系モデルは生産終了になってしまっている。そんな状況のなか、いろいろと選べるのはうれしいところだ。
さて今回メインとなるRS-13を目にすると、2000年代初頭に流行ったストリートカスタムブームを思い出す。オールドテイストを意識し、こういったスタイルにカスタムされた国産モデルを目にした記憶がある。そう。RS-13はそもそもがカスタムテイストが盛り込まれているのがポイントの一つだ。金属地を活かしたガソリンタンクやブラックアウトされた各パーツ、スリムな車体の中で目立つワイドなブロックタイヤなど。妥協することなく作り込んでいることがうかがえる。
“カスタム”というと身構える人もいるかもしれないが、またがってみるとリラックスしたポジションがとれる。車体も軽くスリムなので、取りまわしもしやすい。これなら街乗りからツーリングまで、万人受けするだろうと感じ、実際に走行してもそうだった。
エンジンを始動すると、パンチの効いたエキゾーストノートを放つ。ノーマルの状態だが、社外マフラーに交換したような印象だ。クラッチレバーを握りニュートラルからローにギヤを落とし発進。低速トルクがあるからスルスルっと前に出る。タコメーターがついていないが、とくに中回転域の伸びが気持ちいい。幹線道路で交通の流れをリードでき、125㏄という排気量を考慮すれば十分というレベル。
走り出す前に気になったワイドなブロックタイヤだが、オンロードでも違和感はなく、交差点で変な切れ込みもない。一般的なスポーツタイプと比べれば穏やかなハンドリング。逆に街乗りでは落ち着きがあるので、リラックスして走ることができた。ブレーキも前後ディスクで、リヤブレーキを踏むとフロントもかかるタイプ。フロントだけでも十分効くのであまりリヤを使う機会はなかったが、試しにリヤを使ってもフロントに違和感を感じることはなかった。
見た目こそレトロとカスタムがミックスされているが、クセのない乗り味を楽しませてくれるRS-13。原付二種ならではの気軽さでビギナーの練習用としても、ビンテージ好きなベテランライダーのセカンドバイクにもオススメできる1台だ。
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