KAWASAKI KLX230

2019年10月26日

2020年モデル 2BK-LX230A KAWASAKI KLX230 オフロード単気筒エンジン

連載新車体感ニューモデルインプレッション

No.
211

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※公開中の誌面内容はNo.211（2019年10月24日）発売当時のものになります

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水冷4バルブDOHCのKLX250が生産中止になってから久しく途絶えていた250クラスのカワサキ・オフ車。KLX250の大きく立派な外観とハイメカニズムもよかったが、KLX230はスタンスが異なる。純粋に軽量級オフ車としてのベストを求めた作り込みだった。

文：柏秀樹／写真：関野温

小柄なオフ車だが作りこみは本格派

KLX230のスタイリング

本格レーサー並みの一体感がすばらしい！

普通二輪免許で乗れる小粋なオフ系ニューカマー、カワサキ・KLX230が登場した。このクラスのオフ系って選択肢が少なかったから、気になっていた人には朗報かも。

結論を先にいうと、本気の作り込み。各部がしっかり信頼できる高完成度といい切れる。イマドキ本気って当たり前でしょ、と思うかもしれないがたとえばエンジン。少なくとも日本のバイク市場ではフルサイズ250㏄の方が受けるのはわかっているのに、なぜ230㏄としたのか。

125㏄や150㏄は軽量コンパクトだが坂道発進や登坂でパワー不足を感じ、テクニックがないとかえって難しい乗り物になることが多い。ならば250㏄というと今度は大きく重くなってライダーの体格や腕力を問うことになる。

実際に125㏄と250㏄のクランクケースサイズは段違いに違う。250㏄用エンジンを積むには車体を大きく、より頑丈に作らなければならない。まして水冷DOHC4バルブならばさらに大きく重く構造も複雑になる。軽量・コンパクトな車体と楽しく乗れるパワーのバランスがとれた純粋に走りが楽しめるバイクを！ということでKLX230が生まれたのだ。

では、ストリート、ワインディングから走行テスト。エンジンの回転がじつに滑らかだ。低回転の粘りもあるし、フラットなパワー特性でレッドゾーンまで淀みなく回る。コンパクトな車体だがコーナリングはじつにしっかりしている。操舵がふらつかず、タイヤの接地感が高いし、前後サスペンションがしなやかに動く。このクラス初のABSを試したがキックバック（上下に揺れる振動）がほとんどなく安心してフルブレーキ入力ができる。

これならストリートで足代わりに使えるし、ワインディングでもオフ車ならではのスリムな車体による軽快な走りが存分に楽しめる。高速走行に適した6速設定も関係して高速の流れに乗れるうえに、燃費も一般的な走りならリッターで30～35㎞／ℓは期待できるから財布に負担が少なくていい。タンク容量は7.4ℓ。流れに沿う走りなら満タンで200㎞以上は大丈夫となる。

オフロードでのKLX230はご機嫌だ。コンパクトながら車体の安定感が抜群。前後サスペンションの設定が絶妙で、しなやかだがコシもある。しかもフロントの切れ込みが少なく安心のコーナリングができる。ABSもレース以外ならオフにも絶対にあった方がいいと思うほど自然に使える。車体の前後重量配分や剛性バランスのよさも手伝ってつねに快適。もっとも魅力に感じたのはクラッチやミッションのシフトフィール、ブレーキ入力などそれぞれの節度だ。レーサーのようなシビアさはないうえに剛性感にあふれ、それでいて軽い操作性を持つ。地味なところだが、これらの節度の統合こそじつはシュアで楽しいライディングには不可欠。軽量級だから！なんて妥協がなく、ちゃんとツボを押さえた本格的な作りだ。灯火類は明るく、被視認性も良好。メーターの文字も読みやすいなど当たり前をちゃんとやっている。まさに高い完成度。テクニックを磨くツールとしてもオススメのオフだ。