フランスのプジョーは“四輪メーカー”というイメージを持っている人も多いだろう。しかし昔からスクーターを手がけ、ここ数年積極的に日本国内に攻勢をかけている。新たに導入されたツイート150を紹介しよう。
文:吉田 朋/写真:岩崎雅考・吉田 朋
ハイホイールならではの安定した“走り”が味わえる
ツイート150 ABS スペシャルエディションのスタイリング
ヨーロッパでは定番のハイホイールスクーター
2018年にアディバが本格的にプジョーのスクーターを日本に導入し始めた。その当初はオールドテイストの強い“ジャンゴ”シリーズ、シティランを想定して作り込まれた“シティスター”シリーズ、スポーツランを意識した“スピードファイト”シリーズの3シリーズだったが、新たにツイート150が加わった。
このツイート150はヨーロッパで人気の高いホイール径が大きい、いわゆる“ハイホイール”車だ。日本で流通している125㏄から200㏄クラス、いわゆる中間排気量クラスのスクーターのホイールサイズは10~14インチが主流。過去にも日本にヨーロッパのハイホイールスクーターが販売されていたが、日本人の琴線に触れなかったのか、いつしかその数は減少してしまった…。
そもそもなぜハイホイールが存在するのか。それはヨーロッパの道路事情にある。日本と違って彼の地は石畳が多く、小径ホイールよりも大径ホイールの方が石畳を安定して走れる。そのためヨーロッパではハイホイールスクーターの人気が高いのだ。ここで紹介するツイート150が前後16インチホイールを履く理由になっている。
実際、ツイート150に乗ってみて感じた最大のポイントは“安定感の高さ”だ。路面状況が石畳よりもいいアスファルトでも、場所によってはワダチや凸凹が生じている。そこを通過するときに感じる衝撃は、やはり小径ホイール車と比べれば小さい。ホイール径だけでなく、リヤツインショックも貢献しているのだろうが。また排気量的に高速道路走行も可能になっているツイート150。ハイスピード域での直進安定性も高く、路面からの衝撃も少ない。これならば長時間走っていても疲れにくいと感じた。これに加えて、十分に効くブレーキも相まって、走る楽しさも味わえてしまう。
エンジンに関しては決してパワフルといえないが、125㏄のジャンゴと比べると低回転域のトルクが増しているおかげで、交通の流れに遅れをとることもない。またジャンゴ125よりも軽量な車体もあり、大径ホイールにしては軽快だと感じた。これならば、ツーリングに出かけた際に遭遇するワインディングを楽しんで走れそう。高速道路も法定速度までスルスルと加速してくれるので、行動範囲も広がるだろう。スクーターというと“足”として活用するライダーも多いが、ツイート150なら休日にツーリングの相棒としても十分対応する素地を持つ。それでいながら税込で30万円を切る価格も魅力だ。
スクーターとして求められる収納スペースに関しては、決して高いレベルではない。しかし、ここで紹介するスペシャルエディションは30ℓのトップケースが標準装備。そのため積載面で不満を感じないですむだろう。
ツイート150 ABS スペシャルエディションのディテール
ツイート150 ABS スペシャルエディションの足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,000×690×1,125(㎜)
- 軸間距離
- 1,330㎜
- シート高
- 770㎜
- 乾燥重量
- 109㎏
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒・150.6㎤
- 最高出力
- 8.5kW(11.56㎰)/8,000rpm
- 最大トルク
- 11.2N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
- 燃料タンク容量
- 5.7ℓ
- 燃費(WMTC)
- ─
- タイヤサイズ
- 110/70-16(F)・110/70-16(R)
- 価格
- 29万7,000円(税10%込)
TWEET150ABS Special Edition 製品ページ
CONTACT
- 問い合わせ先
- アイディア
- 電話番号
- 03-6427-3600
- URL
- https://peugeot-motocycles.jp
※記事の内容はNo.211(2019年10月24日)発売当時のものになります