普通二輪免許で乗れる400ccバージョン登場
ここ数年、普通二輪免許で乗れる、いわゆる中型クラスは盛り上がりを見せている。ただ厳密に言うとそれは250cc以下の軽二輪クラスだ。250cc以上になると、極端に選択肢は少なくなってしまう。そんな中、2016年の東京モーターサイクルショーのMVアグスタのブースに展示されたSWMのグランミラノとシルバーベースには一瞬注目した。ところが話を聞くと排気量は440ccとのこと。落胆したが、すぐに希望がわいた。担当者から“日本向けに400ccをリリースする”という話を聞いたからだ。
その言葉どおりに400ccエンジンを搭載したグランミラノとシルバーベースが日本にやってきた。そして早速乗る機会を得た(発売は3月予定)。事前情報だと、空冷OHC4バルブエンジンとスチール製クレードルフレームは共通。その上でカフェレーサースタイルでロード寄りのグランミラノと、スクランブラーテイストでオフ寄りのシルバーベースに作り分けているとのことで、どのような違いがあるのか期待を寄せながら試乗に臨んだ。
どちらもオールドテイストに仕上げられているが、エンジン始動はキックではなくセルになる。キックの方が味はあるもののセルに比べると使い勝手は劣ってしまう。気軽に走り出せることに重点を置いたのだろう。実際に2台を走らせてみると、トルクフルで気持ちよく加速してくれる。振動も想像していたよりも少なく、むしろ心地よく感じるほど。またグランミラノの方が中速からの伸びがよく、シルバーベースは低速域での粘りがある。ギヤ比の違いもあるのだろうが、後日SWMを扱うMVアグスタジャパンの広報担当者に話を聞くと、車両に合わせて燃調を変えているとのこと。
車体に関してはフレームは共通であるものの、パーツの構成が大きく異なり(とくにホイールサイズ)、まったく別の乗り物といった感じだ。乗った印象はどちらも“考えて乗らなければ速く走れない”ということ。走り出してすぐの街乗りで、トコトコと走るならば感じないのだが、速く走ろうとすると最初は違和感を感じてしまった。ただ乗り込んでコツをつかめばそれはなくなった。
たとえばシルバーベースでスムーズにコーナーを曲がるには、タンク寄りに座るよりも意識的に着座位置を後方にした方が曲がりやすいなど。それを押さえれば、スポーツライディングを楽しめる。さらにシルバーベースはちょっとした未舗装路でも遊べるので、林道ツーリングを楽しみたいというライダーにはオススメだ。
普段、国産モデルに乗る機会が多く“どのレベルのライダーでも違和感なく乗り回せるな”と感じるのだが、SWMはそういったマシンと趣が異なる。先にも触れたが、考えながらマシンを操らなければ楽しめない。ある程度腕に自信のあるライダー向けの、玄人向けマシンと言うことができる。
またライディングポジションもアジア人向けの設定ではないように感じるし、タイヤも日本国内でメジャーなメーカーではない韓国製で、正直初めて聞くゴールデンタイヤというブランドだ。街乗りレベルならまだしも、攻めた走りを楽しむならば信頼の高いメーカーのものに履き替えたいところ。何を言いたいのかというと、オーナーの好みに合わせてパーツを交換すること。すなわちカスタムを楽しむ要素も多々あるのだ。マシンを進化させつつ、ライダーも成長していく。国産モデルでは味わえない楽しみ方がある。そんなことを感じた2台であった。
GRAN MILANO400
SILVER VASE400
SPECIFICATIONS※[ ]内はSILVER VASE440
- 全長×全幅×全高
- 2,082[2,142]×724[813]×1,110[1,170]mm
- 軸間距離
- 1,416[1,441]mm
- シート高
- 813[820]mm
- 車両重量
- 147[153]kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHC 4バルブ 単気筒・397.2cm3
- 最高出力
- 20kW(27ps)/7,000rpm
- 最大トルク
- 33N・m(3.36kgf・m)/5,500rpm
- タンク容量
- 22.5L
- 価格
- 69万9,840円[66万9,600円](税8%込)
メーカー製品ページ
https://www.swm-motorcycles.jp/lineup/
CONTACT
- 問い合わせ先
- SWMモーターサイクルズジャパン(MVアグスタジャパン)
- 電話番号
- 0538-23-0861
- URL
- https://www.swm-motorcycles.jp/
※記事の内容はNo.178(2017年1月24日)発売当時のものになります