この乗り味は新感覚。真のオン/オフ兼用マシン
ABSをカットして、まずはフラットダートでアクセルを開けていく。バララッ、バララララッと、ドゥカティらしい小気味よい駆動力が路面を蹴り散らす。エンジンはコンパクトな空冷90度L型ツイン。パワートレインはギヤ比もスプロケットも兄弟モデルと一緒のようだが、過不足を感じない。
またロードセクションでいい仕事をしてくれたピレリのスコーピオン・ラリーSTRの挙動もオモシロイ。モトクロスタイヤのように凹凸で路面を噛むわけではないのだが、車体の重さもあってよく路面をつかむ。加速に関しても、タイヤ幅などのサイズのマッチングが恐ろしくいいのだろう。グリップさせるか、スライドさせるかのサジ加減がアクセルひとつで行なえる。一気にパワーをかければリヤタイヤが空転しながらもグイグイと進むが、恐くはない。レスポンスのいい90度Vツインらしいパワーフィーリングもスライドコントロール向きなのだ。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年1月16日月曜日
さて、ずっと気になっていた強化フレームは、走り出せばまったく気にならない。…というか発想が根本的に僕が思っていた方向と違うことにすぐに気付いた。僕はスクランブラーがオフロード色を強めると聞いて、トレールマシンやモトクロッサー的なオフロードでの俊敏さを追求するのだと思っていた。しかし、乗ってみればその方向性はむしろ逆だったのだ。デザート・スレッドが目指したのは、むしろアドベンチャーツアラーといったモデルのダート走破性に近い。重めの車体をパワーとサスペンションにモノをいわせてグイグイ進んでいくイメージだ。ただアドベンチャーツアラー族よりも50㎏近くも軽く、細身でコンパクトな車体はアドベンチャーツアラーに比べるとはるかにコントローラブル。アドベンチャーツアラーでは難しい路面でもガンガンアクセルを開けて進んで行けるから、ある程度オフ車に乗り馴れたライダーならかなり楽しめるハズだ。もちろんアドベンチャーツアラーからの乗り替えなら、さらにアクセルアケアケのアグレッシブな走りを楽しめることだろう。
今回の試乗会では、いわゆるフラットダートの走りやすい林道から荒れた林道。また起伏に富んだ荒れ地に砂漠と、硬軟さまざまなダートセクションへと誘われた。なかでも印象的だったのは、砂というよりパウダーに近いダストと呼ばれる細かい砂が堆積した川床である。こんな砂場のような状況は本気のエンデューロマシンでもなかなか難しい場面だ。そんな場所も太めのタイヤを空転させながらグイグイ進むデザート・スレッド。僕の場合は先導ライダーの粋な計らいで、さらに1往復の補習を追加。計40㎞ほどそんな道を走ることになったが、最後にはずいぶんペースも上げられる…というか、必死になってついていく(笑)。そんな初めてのダストに苦労する僕を見て先導ライダーは「どうだ? これが本物のデザート・スレッドだ」と笑うのだ。“スレッド”とはソリのこと。つまり砂漠をすべるように進むソリというわけだ。
スクランブラーのニューカマー、デザート・スレッド。これだけオフロード性能が高く、しかもロードセクションもきっちり楽しめて高速走行もラクラクこなすキャラクターは、いままでありそうでなかった。しかも、これが意外と日本の道路事情にもマッチしそうな雰囲気である。僕は今から国内での試乗が楽しみで仕方ない。
SPECIFICATIONS※[ ]内はアクセサリーパーツのローシート値
- 全長×全幅×全高
- 2,200×940×1,213(mm)
- 軸間距離
- 1,505mm
- シート高
- 860[840]mm
- 車両重量
- 207kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストローク 2バルブL型2気筒・803cm3
- 最高出力
- 54kW(72㎰)/8,250rpm
- 最大トルク
- 67N・m(6.8kgf・m)/5,750rpm
- 燃料タンク容量
- 13.5ℓ
- 価格
- レッドダスク・135万4,000円/ホワイトミラージュ・137万2,000円(税8%込)
メーカー製品ページ
http://scramblerducati.com/jp/bike/desert-sled
CONTACT
- 問い合わせ先
- ドゥカティジャパン
- 電話番号
- 0120-030-292
- URL
- https://www.ducati.com/jp/ja/home
※記事の内容はNo.179(2017年2月24日)発売当時のものになります