ホンダに続き、スズキも1000㏄スーパースポーツモデルのGSX-R1000シリーズをリニューアル。スズキ初の6軸センサーを搭載し、各部もブラッシュアップ! 元開発ライダーでモータージャーナリストの和歌山氏に、オーストラリアで行なわれたプレス向け試乗会のようすをレポートしてもらおう。
文:和歌山利宏/写真:スズキ
乗り手に優しいから速く走ることもできる
GSX‐R1000が、MotoGPマシン、GSX‐RRの技術を注入した最新型へと生まれ変わった。最高出力202psに注目しても最強だ。となると先鋭化していて、ちょっとやそっとの腕前では乗れないのではないかと、身構えてしまいそうでもある。
ところが、この新型は最高に乗りやすく、ライダーに不安を抱かせそうな要素がことごとく排除されている。
エンジンはトルク特性もレスポンスもスムーズで、唐突さなどない。コーナーへのフルブレーキングでも、イメージに忠実にブレーキングでき、前後輪はしなやかに路面上を追従。リヤリフトやバンク角にも対応してくれるABSのおかげで常に安定している。
旋回性は高く、コーナーの脱出では、サスの動きとフレームのしなりが、トラコンの作動と同調し、ライダーにマシンの状態を伝えてくれる。とくに、試乗した上級型1000Rは、バランスフリーサスの動きが上質だ。
と、サーキットでは最高でも、公道では一般ライダーが乗れるものかと考えてしまう人も多いことだろう。
でも、そのあたりの気づかいもされていて、意外なほどフレンドリーなのである。アシスト機構を持つクラッチは操作が軽く、ローRPMアシストのおかげでエンストの心配もない。低回転トルクも豊かで、ドライブモードの切り換えでレスポンスをマイルドにすることもできる。上級型の1000Rには、アップダウンの両方で有効なオートシフターが装備され、一度走り出したらクラッチ操作は必要なく、左足の操作だけでシフトを操れる。
ライポジが前傾していて、街乗りバイクよりハンドル切れ角は小さいが、レーシーなスタイリングを見れば、そんなことにも納得できるというものだ。
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※記事の内容はNo.179(2017年2月24日)発売当時のものになります