特集401〜850ccクラスの 魅力を徹底検証!
人気モデルインプレッション
215
※公開中の誌面内容はNo.215(2020年2月22日)発売当時のものになります
インプレッションの誌面を開く思い通りに操れる素性に個性的でワイルドなルックス
シンプルなスタイルと成り立ちで乗りやすさと軽快さに定評のあるSV650 ABSにレトロ風味を加えたのがSV650X ABS。2019年1月にマイナーチェンジした現行モデルの魅力を味わう。
写真:増井貴光/文:濱矢文夫
SV650X ABSのスタイリング
充実したバイクライフを送るための選択肢
丸い顔つきは写真で見るよりは小顔。サイドビューでは、ハンドルマウントのビキニカウルとサイドカウルのラインがつながって、ロケットカウルっぽく見えてくるからおもしろい。長円が縦に並んだスリットは、その昔鈴鹿8耐で優勝したヨシムラスズキGS1000Rを彷彿とさせて、知る人たちをニヤリとさせる。タックロール表皮のシートもレトロ感をかもし出している部分。新しい見せ方と懐かしさが同居して、車体やエンジンなど多くを共有しているSV650 ABSとは雰囲気が異なる。これはワイルドさを加えたメーカーカスマイズモデルだ。
ハンドルをつかむと前にかがんで身構える。最近はセパレートハンドルでも、グリップ位置が高めの車種が多いが、こちとら正当派の前傾姿勢といった感じ。ハンドルバーは手前へ適度な絞りで、身長170㎝でやや腕が短めの自分でもヒジに余裕がある。
Vツインのビートと歯切れのいい排気音を出すエンジンは、トルクがしっかりありながら大きすぎではない。これが645㏄という排気量からなる絶妙な具合だろう。街中などで使うことが多い低中回転域は、出だしからスムーズに加速する押しの強さを持ちながらイージーに扱える。6,000rpmくらいから力強さを増し8,000rpmくらいになると一段と元気が出る。レブリミットの約1万rpmまでストレスなし。理論上、一次振動をなくせる90度Vらしいスムーズさと、パタパタと自分の足で地面を蹴って走るようなフィールが心地よい。
アップハンドルよりフロントタイヤに荷重が増えて重心が低くなったのも味方して、ダイレクトで俊敏に動く。160サイズという太すぎないリヤタイヤを履いており、それもあって400㏄クラスにも負けない軽快なフットワーク。ペタンと倒れたら前後輪でさっとムリなく向きを変えるような走りはベース車からある美徳だ。機敏すぎず、深くリーンしていっても安定していて、スロットルを戻してエンジン回転が落ち、駆動力が弱まってもグラッと内倒するようなそぶりは見せない。シャープさを安定して味わえるコーナリングがこのバイクの大きな魅力である。Vツインエンジンだからと特別に意識せずにどんなライダーでも取っつきやすい。コストがかかった高性能な足まわりを使わないで、そつなくよくできた走りのバランスを持たせたところに感心する。
バイクは車体や重量、排気量やパワーの大小なんて関係なく好きなのを選べばいいとつねずね思っているけれど、250㏄や400㏄からステップアップするのに少しでも戸惑いがあるならば、自在に扱いやすい機種を選ぶのは賢い選択。思うように動かせないとバイクに乗る楽しさには結びつかないからだ。そこで個性的でフレンドリーなこのバイクはうってつけだ。
SV650X ABSのディテール
SV650X ABSの足つき&乗車ポジション
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,140×730×1,090mm
- 軸間距離
- 1,450mm
- シート高
- 790mm
- 車両重量
- 197kg
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークDOHC 4バルブ V型2気筒・645cm3
- 最高出力
- 56kW(76.1㎰)/8,500rpm
- 最大トルク
- 64N・m(6.5kgf・m)/8,100rpm
- タンク容量
- 14L
- 燃費(WMTC)
- 26.6km/L
- タイヤサイズ
- F=120/70-17・R=160/60-17
- 価格
- 79万6,400円(税10%込)
- COLOR VARIATION
- オールトグレーメタリックNo.3
CONTACT
- 問い合わせ先
- スズキお客様相談室
- 電話番号
- 0120-402-253
- URL
- https://www1.suzuki.co.jp/motor/
※記事の内容はNo.215(2020年2月22日)発売当時のものになります