特集401〜850ccクラスの 魅力を徹底検証!
人気モデルインプレッション
215
※公開中の誌面内容はNo.215(2020年2月22日)発売当時のものになります
インプレッションの誌面を開くストリートがメインフィールドの上質なミドル・スプリンター
写真:関野 温/文:横田和彦
NINJA ZX-6Rのスタイリング
走りの自由度が高いミドルスーパースポーツ
600㏄のスーパースポーツは、凝縮感のあるコンパクトなボディにパワフルな高回転型水冷4気筒エンジンを搭載している魅力的なマシン。しかしリッタースポーツモデルに比べるとパワーバンドが狭いため「パフォーマンスを最大限発揮させるにはそれなりのテクニックが必要」と言われることも。実際、レースを主眼に置いたスパルタンな乗り味のマシンも少なくない。
しかしZX‐6Rはちょっと違う。そのヒントになるのが排気量だ。レースのレギュレーションを満たすためには600㏄以下でなければならない。しかしZX‐6Rは636㏄。それは“ストリートを重視している”ことを意味しているのだ。わずかな差ではあるが、ギヤ比などのセッティングも相まって市街地で多用する低中回転域での力強さと扱いやすさはかなりのもの。また、ETC車載器やヘルメットホルダーが標準装備であることも街乗りを意識している証拠。さらにアシスト&スリッパークラッチによってクラッチレバーを引く力が非常に軽いことも、街乗りではメリットになる。スムーズな発進や疲労の軽減に役立つのだ。
ポジションは腰高で前傾度が高いスポーツバイクらしいもの。積極的に身体を動かして車体コントロールするのに向いているが、アップライトなツアラーのように長距離ランを快適にとはいかない。しかし乗り方を工夫し、力が抜けるフォームを見つけられればツーリングもそれなりにイケる。個人的に前傾ポジションが好きなので今までいろいろなスポーツバイクを所有してきたけれど、不自由を感じるシーンは少なかったことを記しておこう。
なめらかに吹け上がる4気筒エンジンは振動が少なく、トルクを後輪にスムーズに伝えてくれるため、市街地はもちろん高速道路も快適に走れる。それには剛性が高いアルミ製のフレームやスイングアーム、そしてなめらかに作動する前後のフルアジャスタブル・サスペンションの影響も大きい。路面の凹凸を柔らかく吸収し、その情報を乗り手にリアルに伝えてくれるため、どんな速度域でも安心できるのだ。
走っていてとくにすばらしいと感じたのがブレーキだ。どんなに速くてもコーナーを曲がるときには減速しなければいけないし、危険を察したら止まらなくてはいけない。ブレーキは何よりも大切なシステムなのだが、ZX‐6Rのそれは絶品と言っていい。
まずブレーキレバーに軽く力を入れた瞬間に減速し始めたことが伝わってくる。交通の流れに合わせるだけなら指先のわずかな動きだけでこと足りるほど。さらににぎり込んでいくと、さほど力を入れずとも路面に張り付いたかのように安定しながら急激に車速が落ち、最終的に停まる。まるでタイヤが地面に噛み込んだかのように。そしてその間のコントロール幅は一般的なマシンが10段階くらいだとするとその倍、20段階以上の細かさがあるような上質なフィーリングだ。そのため初めて走る峠道でコーナーの奥が回り込んでいることに気づいたとき“ほんの少し”の追加ブレーキングが不安なくできることに感動した。
走る・曲がる・止まるを徹底的に追求し、クラスを超える極上の装備類や電子制御システムを備えたZX‐6Rは、ミドルクラスならではの爽快なスポーツフィーリングを存分に味あわせてくれる。価格もクラストップレベルに高いけど、納得できる以上の価値があることは実際にZX‐6Rに触れてみればわかるはず。研ぎ澄まされた至高のミドル・スプリンターを操る快感をぜひ体感してもらいたい。
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※記事の内容はNo.215(2020年2月22日)発売当時のものになります